無機化学1
授業の特色
周期表や元素の成り立ちなど,無機化学の基礎を量子力学的な観点から後述する.特に角運動量と磁気モーメントの量子力学に注目して説明し,遷移金属イオンの電子状態や磁気的性質まで概説する.後半では,有効核電荷,電気陰性度,化学結合論と進んでいく.
授業の紹介
化学の基本となる“周期表”を中心に,元素の性質(電子状態,原子およびイオンの大きさ,イオン化エネルギー,電子親和力,電気陰性度など)を量子力学的に論述する.特に,角運動量・磁気モーメントの量子力学によって遷移金属などの電子状態について概説する.また,簡単な分子および結晶の構造と化学結合を説明する.水および非水溶媒中における簡単な無機反応を取り上げ,その平衡および酸化・還元,酸・塩基などについても講述する.
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- イントロダクション
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- 1章.原子の構造:1-1,1-2,1-3
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- 1章.原子の構造:1-4:1-4-1〜1-4-3
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- 1章.原子の構造:1-4:1-4-4〜1-4-5
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- 1章.原子の構造:1-5:1-5-1〜1-5-3
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- 1章.原子の構造:1-5:1-5-4〜1-5-5
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- 1章.原子の構造:1-5:1-5-6
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- 2章 元素の一般的性質と周期律:2-1有効核電荷(有効原子番号),2-2原子とイオンの大きさ
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- 2章 元素の一般的性質と周期律:2-3イオン化エネルギー(+イオン化エンタルピー),2-4電子親和力(−イオン化エンタルピー)
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- 2章 元素の一般的性質と周期律:2-5電気陰性度
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- 3章 分子および固体結晶の構造と化学結合
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- 4章 溶媒および酸・塩基
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- 量力Appendixレポート
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- 無機化学1試験問題(平成18年度)
講義詳細
- 年度
- 2006年度
- 開講部局名
- 理学部
- 使用言語
- 日本語
- 教員/講師名
- 吉村 一良(理学研究科 教授)
シラバス
教員 | 吉村 一良(理学研究科 教授) |
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授業計画と内容 | 1章 原子の構造 1.1 はじめに 1.2 水素の原子スペクトルの古典的説明 1.3 量子力学序論 1.3.1 ド・ブロイの関係 1.3.2 不確定性原理 1.3.3 シュレディンガー方程式 - 一次元の箱の中の粒子 - 1.4 水素類似原子の電子構造 1.4.1 シュレディガー方程式の解 1.4.2 水素原子の電子構造 1.4.3 運動量のベクトル模型と磁気モーメント 1.4.4 角運動量の量子力学 1.4.5 電子スピンとスピン・軌道相互作用 1.5 多電子原子の電子状態と周期表 1.5.1 多電子原子のエネルギーレベル 1.5.2 角運動量の合成 1.5.3 フント結合とJJ結合 1.5.4 磁性イオンとフント則 1.5.5 交換相互作用 1.5.6 フント結合と結晶場分裂 - Low Spin State vs High Spin State - 1.5.7 結晶場と軌道角運動量の消失 2章 元素の一般的性質と周期律 2.1 有効核電荷(有効原子番号) 2.2 原子とイオンの大きさ 2.2.1 原子半径 2.2.2 イオン半径 2.2.3 共有結合半径 2.3 イオン化エネルギー(+イオン化エンタルピー) 2.4 電子親和力(−イオン化エンタルピー) 2.5 電気陰性度 2.5.1 Paulingの電気陰性度 2.5.2 Mullikenの電気陰性度 2.5.3 Allred-Rochowの電気陰性度 2.5.4 Sandersonの電気陰性度 2.5.5 電気陰性度の化学結合への応用とその後の発展 3章 分子および固体結晶の構造と化学結合 3.1 分子の化学結合に関連した実験事実 3.2 分子の形(構造)の古典的理解 -八隅則とVSEPR則- 3.3 簡単な無機結晶の構造 3.4 イオン結合 3.5 化学結合の量子論 4章 溶媒および酸・塩基 4.1 物質が溶解するとは? 4.2 溶媒としての水と水和 4.3 溶媒としてのアンモニアと硫酸 4.4 酸と塩基 第1回 1章.原子の構造:1-1,1-2 第2回 1章.原子の構造:1-3 第3回 1章.原子の構造:1-4:1-4-1〜1-4-3 第4回 1章.原子の構造:1-4:1-4-4〜1-4-5 第5回 1章.原子の構造:1-5:1-5-1〜1-5-2 第6回 1章.原子の構造:1-5:1-5-3〜1-5-4 第7回 1章.原子の構造:1-5:1-5-5 第8回 1章.原子の構造:1-5:1-5-6 第9回 2章 元素の一般的性質と周期律:2-1有効核電荷(有効原子番号) 第10回 2章 元素の一般的性質と周期律:2-2原子とイオンの大きさ 第11回 2章 元素の一般的性質と周期律:2-3イオン化エネルギー(+イオン化エンタルピー) 第12回 2章 元素の一般的性質と周期律:2-4電子親和力(−イオン化エンタルピー) 第13回 2章 元素の一般的性質と周期律:2-5電気陰性度 第14回 3章 分子および固体結晶の構造と化学結合 3.1 分子の化学結合に関連した実験事実 3.2 分子の形(構造)の古典的理解?八隅則とVSEPR則? 3.3 簡単な無機結晶の構造 3.4 イオン結合 3.5 化学結合の量子論 第15回 4章 溶媒および酸・塩基 4.1 物質が溶解するとは? 4.2 溶媒としての水と水和 4.3 溶媒としてのアンモニアと硫酸 4.4 酸と塩基 |
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成績評価の方法・観点 | レポート,出席と期末試験によって評価する. |
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教科書・参考書等 | [1] D. F. Shriver, P. W. Atkins, C. H. Langford 「Inorganic Chemistry」 Oxford, (訳あり)東京化学同人版 [2] J. E. Huheey 「Inorganic Chemistry」(訳あり) 東京化学同人 [3] R. T. Sanderson 「Inorganic Chemistry」(訳あり)広川書店 など |