Advanced Geophysical Continuum Mechanics

Numbering Code U-SCI00 22411 LJ58 Year/Term 2022 ・ Second semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year 2nd year students or above Target Student
Language Japanese Day/Period Fri.4
Instructor name MIYAZAKI SHINICHI (Graduate School of Science Professor)
Outline and Purpose of the Course  地球物理では,固体地球を弾性体や粘性流体で,大気や海洋を流体で表し,運動を理解している。また,上空の超高層大気や磁気圏では気体が電離したプラズマの状態になっている。この授業では,地球連続体力学からの展開として,地球上で起こっている様々な現象を理解するために必要な弾性体力学と流体力学の基礎,そして,その発展として電離気体の力学の初歩を理解することを目的とする。
Course Goals (1)弾性体や流体(電磁流体を含む)の運動方程式と,それから導かれる変形,波動,流れについて習得する。
(2)弾性体や流体の力学でよく使う物理数学(ベクトル解析,テンソル)に習熟することができる。
(3)レポート課題を通して,学習した概念や方程式の意味を理解することができるようになる。
Schedule and Contents 以下の各項目について講述する。各項目には【 】で指示した週数をあてる予定だが,授業で扱う順序も含めて,進度や受講生の理解の状況に応じて変更することもある。したがって,下記の一部の 項目を扱えない場合もある。

1. 流体力学の諸概念【1週】
  ひずみ速度,渦度,循環,応力,ラグランジュ形式とオイラー形式,運動学的な概念
2. ニュートン流体の基礎方程式【1週】
  連続方程式,ナビエ・ストークス方程式,エネルギー方程式,状態方程式
3. 静止流体【1週】
  静水圧
4. 完全流体の力学【2週】
  方程式系,静止流体,ベルヌーイの定理,圧力方程式,ポテンシャル流
5. 粘性流体の力学【2週】
  方程式系,簡単な流れに対する厳密解,レイノルズ相似則
6. 渦【2週】
  渦度方程式,渦の凍結と拡散,ケルビンの循環定理
7. 磁気流体力学の基礎【2週】
  方程式系,誘導方程式,磁場の凍結と拡散,エネルギー方程式
8. 弾性体力学【2週】
  方程式系,点荷重による静的な変位場,荷重分布に対する静的な変位場
9. 波動【2週】
  弾性体中の実体波(P波,S波),流体中の音波,弾性体の表面波(レイリー波),流体の重力波(水面波),磁気流体を伝わる波(Alfven波)

また,各項目で地球で生じる現象も紹介したい。
Course Requirements 「地球連続体力学」を履修していなくても本科目を履修できるように各項目で必要な概念の説明をするが,各自でも連続体力学の参考書で自習して補って欲しい。

「物理学基礎論A」(全学共通科目)程度の力学の知識を前提とする。基礎的な微分積分や線形代数の知識は前提とするが、授業計画に物理数学と書いた項目など授業中に説明しながら進める。また,必須ではないが,「熱力学」(全学共通科目),「力学続論」(全学共通科目),「物理学基礎論B」(全学共通科目)を履修していると理解の助けになる。
Study outside of Class (preparation and review) (1)特定の教科書に沿わずに基本的に板書で進めるので,ノート・配布資料・参考書をもとにして復習することを勧める。
(2)学期中に4回程度のレポート課題を課すので,学んだことを理解するきっかけとして利用してほしい。
(3)予習する場合は,適当な参考書(ここに挙げた本である必要はない)中の,上記「授業計画と内容」に挙がっている項目をあらかじめ読むと理解が深まる。
References, etc. 流体力学(新物理学シリーズ21), 巽友正, (培風館), ISBN:978-4563024215, 流体力学を学ぶ方は必ず読んでおきたい名著。手許に置いておくことを勧める。
連続体の力学(岩波基礎物理シリーズ 新装版), 巽友正, (岩波書店), ISBN:978-4000299046, 連続体力学の基礎から流体力学と弾性体力学の基礎に至るまで丁寧に書かれており,連続体力学未習者にも読みやすい。
地球連続体力学(新装版 地球惑星科学 6), 松浦充宏他, (岩波書店), ISBN:978-4000069960, 連続体力学の視点で地球惑星科学で用いられる流体力学,電磁流体力学,弾性体力学などがまとめられている。1ー5章の一部が本科目に関係する。かなり難しいが,本科目では物足りない場合は挑戦して欲しい。(ただし現在は絶版)
流体力学 (物理テキストシリーズ9), 今井功, (岩波書店), ISBN:978-4000077491, 流体力学の基礎がコンパクトにまとめられている。
流体力学(前編)(物理学選書(14)), 今井功, (裳華房), ISBN:978-4785323141, 厚い本だがその分説明が丁寧でわかりやすい。
弾性体力学, 中島淳一・三浦晢, (共立出版), ISBN:978-4320035157, 固体地球物理学者が書いた演習形式の弾性体力学の教科書。応力,歪,構成方程式なども含まれている。
プラズマ物理入門, Francis F. Chen,内田岱二郎(訳), (丸善), ISBN:978-4621042557, 原書第1版の訳書。原書は第3版が出版されている。
Elasticity and Fluid Dynamics: Volume 3 of Modern Classical Physics, K. S. Thorne and R. D. Blandford, (Princeton University Press), ISBN:978-0691207346, 物理の古典論の6分野が1500ページにわたって網羅された本の分冊第3巻。弾性体力学が11-12章,流体力学が13-18章,電磁流体力学が19章にあてられている。
連続体力学や流体力学・弾性体力学・プラズマ物理学の教科書はいろいろと出版されているので,上にあげた参考書にとらわれず,気に入ったものを使うことを勧める。
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