Evolution of Biosphere

Numbering Code U-SCI00 22506 LJ58 Year/Term 2022 ・ Second semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year 2nd year students or above Target Student
Language Japanese Day/Period Thu.3
Instructor name MATSUOKA HIROSHIGE (Graduate School of Science Assistant Professor)
Outline and Purpose of the Course  「生物圏」とは地球上で生物が生活する区域のことであり、気圏-水圏-地表-地殻上部が相当する。それは地球全体から見たら表層部のごく一部にすぎないが、「生命の星・地球」を特徴づける存在となっている。たとえば、地球の大気組成はたいへん酸化的であるが、これは光合成する生物が作り上げてきたものである。生物圏は「地球の地球たるゆえん」とも言える。
 このように地球上の生物は、気圏・水圏・地圏の無機的環境と他の生物の有機的環境との相互作用を通して進化してきた。長い地球の歴史の中で生物の進化はどのような経過をたどり、それは地球環境の移り変わりとどのように関わっているのかを学習する。生物を中心においた地球の変遷史を学ぶと言っても良い。
 
Course Goals “生命の星・地球”の歴史性と天体としての特異性を理解する。地球の歴史・生命の歴史は長大であるが、いずれも「自分の住む星の歴史」「自分につながる進化史」として実は身近で人類生活に不可分の存在であることを知る。そしていわゆる「環境問題」にも、自分なりの視座を持ち考えられる人となる。
Schedule and Contents  地球は太陽系の他の惑星とは全く異なった特徴を有する。液体の水が大量に存在し、それを元にした生命活動が豊かに持続していることである。「生物圏進化史」では、生命の材料である元素の形成、地球表層の水と有機物の起源からはじめ、約46億年前に誕生した地球の創成期と、初期の海を「ルツボ」として進行した化学進化と生命誕生に関する現在の知見をまず講術する。そして、同位体比、化学化石、体化石の研究の現状を概観するとともに、およそ35億年前の岩石中から知られる最古の生物(原核生物)化石、光合成するシアノバクテリアの誕生と酸素の増加、海洋中にとけ込んでいた鉄が酸化鉄として沈積(=縞状鉄鉱層の形成)、大気中への酸素の放出、先カンブリア代の大型生物群である「エディアカラ生物群」、カンブリア紀の“生命大爆発”、オゾン層の形成と生物の陸上進出・・・と続く生物と環境の相互作用の下で展開された進化・放散の歴史を、時代を追って講述する。
 地球の歴史の区分法として、大型生物の化石が豊富に産出する時代を「顕生代」と呼び、それ以前を「陰生代」あるいは顕生代の最古の地質時代名にもとづいて「先カンブリア時代」と呼ぶ方法がある。両者の境界はおよそ5億5千万年前である。「生物圏進化史」では、太陽系の誕生から説き起こし、先カンブリア時代から顕生代について、重要な事項を講義していく。具体的には、地球の歴史を下記のように大別し、それぞれ1~4回ずつ講義する。
(1)太陽系の形成と生命誕生・初期進化
(2)酸素を放出する生物の出現-大気中への酸素の放出-オゾン層の形成
(3)多細胞生物への進化:原生代の地球環境
(4)古生代の生物相:海中の多様性-陸上に進出する植物と動物
(5)中生代の生物相:恐竜など爬虫類が占める生態系。大絶滅と新しい生物の放散
(6)新生代の生物相:哺乳類と鳥類の放散。寒冷化の進行と生物界のレスポンス。人類の発展と自然の関係
具体的な授業回は、
第1回 地球の誕生:ビデオ教材を用いた、太陽系と地球の誕生のイメージ化
第2回 生物が創った地球生物圏:地球に独特な、生命の存在と惑星環境の関係
第3回 生物圏への物質深化:隕石の組織観察と、惑星の成り立ち
第4回 生命の誕生:化学進化と初期生命
第5回 スノーボールアースとエディアカラ生物群:プレカンブリア時代後期の生物
第6回 古生代前期:カンブリア紀の生命大爆発・無脊椎動物の多様性
第7回 古生代中期:魚類の多様化
第8回 古生代後期:陸上に広がる生態系・古生代末の大絶滅
第9回 中生代の世界:爬虫類の多様性・海洋生物の生態
第10回 中生代末の大絶滅:哺乳類の初期進化
第11回 新生代1:大陸分裂と始新世/漸新世境界
第12回 新生代2:寒冷化と陸上生態系のレスポンス・中新世の地史的特異性
第13回 新生代3:第四紀:氷河時代・更新世末の絶滅
第14回 新生代4:日本列島の動物地理・琉球列島の動物相の歴史
第15回 日本列島の人類史の見通し
(試験期間の1週目は授業を行う)

実物標本を提示するなどビジュアルなものとしたいと考えている。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review) 地球の歴史・生命の歴史は長大である。講義で扱える内容はどうしても最小限の内容や教員が重要と考えることに限定されてしまい、一つの事象に対して他の重要な仮説を紹介できないことも生じる。受講者は、「授業だけ」あるいはその逆に「たまたま見聞きした情報だけ」に凝り固まることなく、広く見聞を広め、むしろ授業に対し批判的に参加してほしい。そしてそれを「5行レポート」に反映させ、自己の理解に役立ててもらいたい。
Textbooks Textbooks/References 毎回の授業に関する資料(レジュメ)は授業当日までにPandAの授業資料(リソース)にアップするので、対面授業の場合はノートパソコンなどPDFファイルを見られる準備をして受講すること。
References, etc. 下記の書籍は、広く地球環境に関する基礎知識を得る上で良書である。授業内容そのものにかかわる部分も多い。準教科書として薦める。
『海は百面相』京都通信社 本体2200円+税
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