物理化学I(量子化学)【H30以降入学者用】
Numbering Code | U-PHA00 2C101 LJ86 | Year/Term | 2022 ・ First semester | |
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Number of Credits | 2 | Course Type | Lecture | |
Target Year | 2nd & 3rd year students | Target Student | ||
Language | Japanese | Day/Period | Thu.1 | |
Instructor name | KATOU HIROAKI (Graduate School of Pharmaceutical Sciences Professor) | |||
Outline and Purpose of the Course |
本講義で受講者は、分子とは何か、原子をつなげて分子を構成する化学結合とは何かを学ぶ。すなわち、分子の構造・性質・反応を理解するための法則原理である量子化学の基礎事項について理解できるようになる。量子化学の基盤となるのは量子力学である。まず始めに、物質の運動を規定しているのはニュートン力学だが、それを分子に適用しようとすると破綻するために量子力学が生み出された過程を学ぶ。ついで、量子力学の基本原理と波動方程式を学ぶ。さらに、波動方程式で記述される分子の振る舞いを学び、量子化学計算によって分子の構造や性質そして化学反応性を予想できることを理解する。 分子と分子中の電子の振る舞いを理解するには量子化学が必要である。すなわち、量子化学は、物理化学、無機化学、有機化学、生物化学を問わず、すべての化学の基礎であるばかりでなく、分子から生命現象を理解し、医薬設計へと応用する場合の基礎となっている。 |
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Course Goals |
1.なぜ、量子論が必要となるのか、古典物理学の破綻を基に説明できる。 2.シュレディンガーの波動方程式の基本を説明できる。 3.分子軌道に基づいて化学結合の説明ができる。 4.フロンティア軌道理論で化学反応の起る仕組みについて基本を説明できる。 |
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Schedule and Contents |
1.量子化学を学ぶ意義 2.量子論の誕生の背景と量子論の基本概念 (1) 3.量子論の誕生の背景と量子論の基本概念 (2) 4.量子力学の基本原理について 5.井戸型ポテンシャルとシュレディンガー方程式 6.水素原子の波動方程式 7.水素原子の原子軌道 8.多電子原子の量子状態と近似法の基礎 9.水素分子イオンと分子軌道法 10.二原子分子の分子軌道とσおよびπ結合 11.炭化水素分子の混成軌道 12.簡単な分子軌道計算と分子軌道法に基づく化学反応論 13.原子価結合と交換相互作用 14.分子の電子状態計算の方法と実際 15.軌道相互作用に基づく分子間相互作用 |
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Evaluation Methods and Policy | 小テストを5回程度実施(30%)、定期試験(70%)の割合で評価する。小テストでは、講義内容のうち重要な問題について理解度を問う。定期試験では、量子化学の基本原理を理解しているか、波動方程式を解けるか、分子が安定な理由を量子化学的に説明できるか、原子軌道と分子軌道の性質や特徴を説明できるかが問われる。 | |||
Course Requirements |
1.高校生レベルの古典物理学に関する学習を終えているように努めていること、全学共通科目の初習物理学または物理学基礎論AB履修を推奨する。 2.微分方程式(微分積分学)と行列・行列式(線形代数学)に関する数学の準備、全学共通科目の数学(微分積分学AB・線形代数学AB)の履修を推奨する。 |
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Study outside of Class (preparation and review) |
教科書を基に予習を行うこと。特に、数学的な背景については、理解した上で授業に出席することが望ましい。 講義内容を整理して理解するため、ならびに理解内容を定着させるために復習を欠かさないこと。 |
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Textbooks | Textbooks/References | はじめて学ぶ量子化学, 阿部正紀, (培風館), ISBN:4563045470, 記述は平易だが、理系の化学の学生が基礎として必要な量子力学の内容を網羅している優れた入門書。ただし、自習する場合は、参考書による補足がいる。 | ||
References, etc. |
物理化学(上), マッカーリ、サイモン, (東京化学同人 (1999)), ISBN:4807905082, 化学の専門家をめざす量子化学の初心者が自学自習するために適した名著。本講義の教科書の詳しい説明が得られる。数学の補足も充実している。 量子化学 基礎から応用まで, 金折賢二, (講談社), ISBN:9784065133309, 高校物理の内容から量子化学まで平易に書かれているが、理系学部で習得すべき量子化学がきちんと学べる 入門 量子化学, D.O. Hayward、立花明知 訳, (化学同人 (2005)), ISBN:4759810099, 初年時に化学の基礎事項を学んだ学生が、その基本原理としての量子化学の初歩を学ぶために適している。 化学結合論入門-量子論の基礎から学ぶ-, 高塚和夫, (東京大学出版会(2007)), ISBN:4130625063, 量子化学に基づいて化学結合とその反応性を学べる優れた入門書 物理化学(上), アトキンス, (東京化学同人), ISBN:4807909088, 物理化学の標準的な教科書における量子化学が記載されている 有機化学 -生体反応へのアプローチ-, マクマリー, (東京化学同人), ISBN:9784807906918, 量子化学で取り扱う有機化学的な内容の復習に用いる その他コメント: HGS分子構造模型C型セット有機化学実習用(丸善出版(2017))などの分子モデルの利用を推奨します。 |