物理化学3(構造化学)

Numbering Code U-PHA00 2A103 LJ86 Year/Term 2022 ・ Second semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year 2nd year students or above Target Student
Language Japanese Day/Period Tue.2
Instructor name KATOU HIROAKI (Graduate School of Pharmaceutical Sciences Professor)
OGAWA HARUO (Graduate School of Pharmaceutical Sciences Associate Professor)
Outline and Purpose of the Course  本講義で受講者は、分子と分子の間あるいは、原子と原子の間の相互作用について物理化学的原理と法則を学ぶ。ついで、それらがタンパク質や核酸など生体高分子の構造形成や分子間相互作用において、どのように役立っているのかを学び、生体高分子の立体構造が機能を発揮する仕組みを深く理解する。さらに、学習した分子間相互作用の解明には、原子間の距離と角度の情報の精密な計測結果が証拠となっていることから、分子の形を原子レベルで決定できる最も信頼性の高い方法であるX線結晶学について学び、分子構造決定の過程と問題点の理解を深める。
 医薬品と受容体の相互作用、受容体の精緻な立体構造形成の仕組みを理解するためには、分子間相互作用と分子の立体構造形成の原理と法則を把握することが不可欠であり、この講義で学ぶ内容は、医薬品の設計合成や薬理活性を研究するための最も重要な基礎である。
Course Goals 1.生体分子の立体構造とリガンド-受容体相互作用を支配する非共有結合相互作用について説明できる。
2.タンパク質と核酸の立体構造について物理化学的な説明ができる。
3.タンパク質と核酸の相互作用について立体構造を基盤とした説明ができる。
4.X線結晶解析によってタンパク質の立体構造が決定できる原理を説明できる。
5.極低温電子顕微鏡を用いた単粒子解析によるタンパク質の立体構造解析を説明できる。
6.立体構造に基づいた医薬品の開発例について説明できる。
Schedule and Contents 1.導入:物理化学における構造論の位置づけ
2.生体分子の立体構造を規定する非共有結合相互作用
3.生体分子の立体構造を規定する非共有結合相互作用その2
4.タンパク質の立体構造形成と分子機能
5.核酸の立体構造形成と分子機能
6.核酸とタンパク質の相互作用の立体構造基盤
7.X線結晶解析とフーリエ解析
8.結晶の対称性と群論の概要
9.X線回折の原理
10.X線回折波の位相決定法
11.電子密度図に基づいた分子モデルの構築
12.立体構造モデルの精度とその確認方法
13.極低温電子顕微鏡を用いた単粒子解析の原理
14.極低温電子顕微鏡を用いた単粒子解析の実際
15.標的タンパク質の立体構造にもとづいた医薬品開発
Evaluation Methods and Policy  小テスト2~3回30%、期末試験70%の割合で評価する。小テストでは、一連のトピックが終了した時点での到達度を評価する。定期試験では、到達目標に挙げた5項目の達成度を評価する。なお、分子構造に関する講義であることから、説明においては化学構造式を用いて表現することが要求される点に注意すること。
 
Course Requirements 1.講義への積極的な参加:本講義では、講述内容の理解度の確認を目的としてクイズ&議論を実施する。この仕組みを成功させるためには、受講者と教員、あるいは受講者どうしの意見交換が重要であり、積極的な取り組みを要請する。
2.指定された資料の精読:本講義では、沢山の教科書と参考書や論文資料などを基に講義内容を組み立てている。そのため、毎回の講義内容のプリントを読むだけでなく、引用元の教科書などを読むことが必要である。また、関連する資料を調査することが深い学びに導いてくれる。
Study outside of Class (preparation and review)  各回の授業前に、指定された予習を行っておくこと。本科目は、単に断片的な知識を学ぶのではなく、論理的な関係性の理解を深める内容となっていることから、授業を基点に各自がさらに参考資料を調査することで深く学習することを奨励します。
Textbooks Textbooks/References アトキンス物理化学(下)第8版, アトキンス, (東京化学同人 (2009)), ISBN:4807906968, 授業計画の1-3に対応
レーニンジャーの新生化学(第5版), デービッドネルソン、マイケルコックス, (廣川書店 (2015)), ISBN:4567244060, 授業計画の4-6に対応
Outline of Crystallography for Biologists, David Blow, (Oxford University Press (2002)), ISBN:0198510519, 授業計画の7-14に対応
References, etc. Introduction to Protein Structure 2nd ed., Carl Branden & John Tooze, (Garland (1999)), ISBN:9780815323051, タンパク質と核酸の立体構造に関する世界的なスタンダードの教科書
The Molecules of Life; Physical and Chemical Principles, John Kuriyan, Boyana Konforti, David Wemmer, (Garland Sciences (2013)), ISBN:0815341881, 創薬研究者志望の学部学生向けに書かれた生物物理化学の名著
Biochemistry 4th ed, Mathews, Van Holde, Appling, Anthony-Cahill, (Pearson, Toronto (2013)), ISBN:0138004641, 物理化学の記述が充実している生化学の教科書
その他コメント:
1. タンパク質分子を表示するために、ソフトウエアPyMolの利用を推奨します。
2. HGS分子構造模型C型セット有機化学実習用(丸善出版(2017))などの分子モデルの利用を推奨します。

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