6972001 European History

Numbering Code Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type Seminar
Target Year Target Student
Language Japanese Day/Period Fri.5
Instructor name SATO HITOMI (Part-time Lecturer)
Outline and Purpose of the Course  本演習では、ヨーロッパ史に関係する欧米の相対的に新しい英語研究文献を読解し議論する。これにより英語で専門研究文献を精読する力を養うとともに、現在の歴史学方法論、解釈理論、史料論、および研究上の諸論点を学び、理解を深め、ヨーロッパ史についての基本的な知識を身に着ける。本演習では中世史の文献を扱う。
 今回のテーマは前近代史における「個人」と「行為」である。
 歴史学の中核には、歴史を動かす主体は何かという問がある。個人か、集団か、構造か。それらの関係はどのようなものか。社会的な動物としての人間の理解にとって、「個」と「個」を超えた「つながり」の諸形態の関係の理解は本質的な重要性を持ち、それゆえに前近代にさかのぼる長期の歴史の中で問われなければならない永遠のテーマである。だがその時私たちの前に立ちはだかるのが「前近代の個人」を考えることは可能なのかという問題だ。
 今回の演習では、この問いから出発して、最新の研究成果に向き合い、歴史研究の思考力と知識と技術を磨きながら、参加者各自が新たなヨーロッパ史像を考えることを目指す。
Course Goals ・英語による西洋史学の専門文献の読み方を習得する。
・授業で扱うテーマを中心に、ヨーロッパ史に関する歴史学研究上の諸論点を理解する。
・専門的な文献と史資料の理解に基づいた議論を行い、適格な説明や問題提起を行うことができるようになる。
・各参加者が自らの研究を深めるための知識、技術、考え方を習得する。
Schedule and Contents 授業は総合人間学部、大学院人間・環境学研究科、文学研究科の授業と共通。英語文献精読のテキストとして以下のものを用いる。

I. Epurescu-Pascovici, Human Agency in Medieval Society, 1100-1450, The Boydell Press, 2021.


 近代を「個人の確立」の時代とみなす長い伝統と、史料上の困難のために、中世の個人は長い間集団に埋没した存在であると考えられてきた(あるいは史料の限界がそのように対象を扱うことを強いてきた)。だが本当にそうなのか。この古くて新しい問に切り込む本書の武器は二つある。社会学における行為理論の積極的導入と、近年有力な史料類型として注目されるエゴ・ドキュメントの利用である。これらを手掛かりに、史料に確かな土台を置きつつ理論と実証を統合する方法も探ってゆく。

授業は基本的に以下の計画にそって進めるが、参加者数等に応じて変更がありうる。

第1回 イントロダクション 
 取り上げる文献の概要と方法論、研究状況についての導入的説明を行う。また中世史を中心にヨーロッパ史研究の基本的な道具を紹介し、授業の進め方の確認と担当の分担を行い、第2回・第3回に用いる導入用文献の配布を行う。

第2回~第3回 行為理論とエゴ・ドキュメントの史料論の概要について主に日本語の導入的文献を読解し議論を行う。

第4回~第14回 文献Human Agency in Medieval Society, 1100-1450の読解・発表・議論を行う。受講生の関心と必要に応じて、適宜補助的な資料の配布と読解、説明、議論を行う。

第15回 フィードバック
Evaluation Methods and Policy 平常点で評価する。演習時の報告と討論への参加に基づき、上記到達目標を踏まえて総合的に評価する。
Course Requirements ヨーロッパの歴史や文化に関心を持ち、英語の研究文献を読む意欲を有すること。
Study outside of Class (preparation and review) 文献の予習は必須。随時紹介・配布する参考となる文献や資料も読んでおくこと。その他、関連する文献や資料を各自主体的に読み進めていくことが望ましい。
Textbooks Textbooks/References Human Agency in Medieval Society, 1100-1450, I. Epurescu-Pascovici, (The Boydell Press, 2021), ISBN:9781783275762, テキストとなる文献の入手については別途指示する。補足資料は随時配布する。
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