1841010 Buddhist Studies

Numbering Code U-LET14 21841 SJ36 Year/Term 2022 ・ Second semester
Number of Credits 2 Course Type Seminar
Target Year Target Student
Language Japanese Day/Period Wed.5
Instructor name KISHINO RYOUJI (Part-time Lecturer)
Outline and Purpose of the Course 18世紀にヨーロッパで成立した近代仏教学(インド仏教研究)では、当初より経典や論述書といった教義に直接関わる文献が研究の中心であった。結果、インド仏教徒の思想については解明が進む一方で、彼らの活動や生活の実態は充分には明らかにされていない。この偏重を是正する試みの一つとして、20世紀後半より律(vinaya)の研究が本格的に進められている。律とは、ブッダの入滅後、数世紀の間に形成された仏教グループ(部派)によって、経(sutra)と並んで、ブッダの直説として伝持されたテキストである。そこには出家者個人や教団全体が遵守すべき行動規範、儀礼作法から、説話、教団史に至るまで多種多様な情報が集められており、現在に至るまで教団運営の基盤として強い権威を持ち続けている。
 律は、まとまった形では所属部派の異なる六種類が現存している。そのうち、四つは漢訳のみで現存し(『四分律』『五分律』『十誦律』『摩訶僧祇律』)、一つはパーリ語のみで現存する(「パーリ律」)。残るもう一つの律は、チベット語訳で全てが、義浄(635-713)訳で三分の二ほどが、サンスクリットで四分の一ほどが現存する「根本説一切有部律」である。「根本説一切有部律」は浩瀚で、綱要書や注釈書も比較的多く現存し、またチベット・漢字文化圏の両域に伝播した唯一の律典でもあるため、他律を凌ぐ資料的価値を有している。そのため、昨今では、律研究者はもとより、写本、説話、美術、建築等の様々な領域の専門家により注目・参照され、その全貌解明が進んでいる。
 本授業では、この学術的な関心が高まっている「根本説一切有部律」(ないしは、その綱要書)を輪読する。ただし、この律典は、先に述べた通り浩瀚である。そのため、授業においてはその一部分しか解読することはできないが、実際にどの部分を読むかは、初回の授業において受講生の関心や意欲に応じて決定する。
Course Goals 1) サンスクリットやチベット語訳・漢訳で現存する仏教文献を精読することができるようになる。
2) 律(Skt. vinaya)についての基礎知識を身につけることができるようになる。
3) 仏教文献を批判的に精読する文献学的アプローチに基づく仏教研究の研究手法を習得することができるようになる。
Schedule and Contents 初回の授業では、イントロダクションとして「根本説一切有部律」についての概説的な説明をし、第2回目からは、課題テキストを精読しながら、関連する諸問題について議論する。第15回目の授業にはフィードバックを行う。

※フィードバックの方法等は、授業中に説明する。
Evaluation Methods and Policy 本授業では、仏教文献の輪読を主とするものであるため、そのための準備の周到さ、実際の解読における正確さなどを総合的に勘案して成績をつける(テストは行わない)。
Course Requirements サンスクリットとチベット語訳で現存する仏教文献を解読する基本的な能力を既に身につけていることが求められる。
Study outside of Class (preparation and review) 授業時には、課題テキストを輪読するので、毎回その和訳を用意しておくことが求められる。
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