7331002 Sociology

Numbering Code U-LET30 17331 LJ45 Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type special lecture
Target Year Target Student
Language Japanese Day/Period Tue.3
Instructor name OCHIAI EMIKO (Graduate School of Letters Professor)
Outline and Purpose of the Course  ケアとは人が生きることを支える活動である。社会を維持するためには人間を維持しなければならないのは自明だが、コロナ危機においても明らかになったように、「経済を回す」ことは課題とされても、(とりわけ家庭での)ケア負担が正面から論じられることはほとんどない。わたしたちは「ケア」と「生」を排除する社会に生きていると言わざるをえない。しかしこれはすべての人間社会において当たり前なのではなく、「20世紀体制」という一時代の社会システムの構造的特徴であり、1970年代以降、転換が模索されている。
 本講義では、現代日本社会における子育ての困難とケアの不可視化という問題から出発し、「20世紀体制」の成立と変容を縦軸、日本とアジア、欧州、北米等との比較を横軸として、生とケアを包摂する社会への転換が世界各地でどのように模索されているかを検討する。さらに、こうした転換の指針となる理論的枠組みとして、世界の研究者が構築をめざしている「生とケアを包摂する社会科学」の基本的考え方を紹介する。
Course Goals 1.「20世紀体制」の特徴を学び、それが歴史的に一時代のものでしかないことを理解する。
2.人口転換、福祉レジーム、ケアの家族化/脱家族化など、この問題にアプローチするために必要な概念や理論的枠組みを学ぶ。
3.世界の諸地域の国々と比較して、日本の現状にはどのような問題があるのかを知り、そこから脱却するための展望をもつ。
Schedule and Contents 1 日本の子育て困難と視えないケア
2 アジアの子育てネットワーク(1)
3 アジアの子育てネットワーク(2)
4 アジアの高齢者
5 グローバル化した家族
6 アジア女性は主婦になるか
7 社会的ネットワークから福祉レジームへ
8 人口転換と近代
9 社会的再生産の20世紀体制―ケアの不可視化
10 20世紀体制からの転換―人口・労働・ジェンダー
11 ケアの家族化/脱家族化
12 分岐する世界―欧州の道・北米の道
13 分岐する世界―日本の道・他のアジア諸社会の道
14 親密圏と公共圏の再編成―生とケアを包摂する社会へ
15 質疑と討論
Evaluation Methods and Policy 期末レポートにより評価する。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review) 参考書や授業中に指示する参考文献を読む。
References, etc. 21世紀家族へ――家族の戦後体制の見かた・超えかた(第4版), 落合恵美子, (有斐閣,2019年)
親密圏と公共圏の再編成―アジア近代からの問い, 落合恵美子編, (京都大学学術出版会,2013年)
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