1340003 Japanese Language and Literature

Numbering Code U-LET10 31340 SJ36 Year/Term 2022 ・ Year-round
Number of Credits 4 Course Type Seminar
Target Year Target Student
Language Japanese Day/Period Mon.4
Instructor name KAWAMURA EIKO (Graduate School of Letters Associate Professor)
Outline and Purpose of the Course  過去の文献に記されたことがらを正確に理解するためには、言葉の精密な意味合いと、その背後にある世界観を把握することが肝要である。近世前期に花開いた古俳諧は、文学史上初めて、豊富な俗語の資料を残してくれた。本演習では、古俳諧が齎した史上最大の連想語辞書『俳諧類船集』の読解を通して、古人の精神世界に分け入りたい。
 本書に記された連想語群は、日本人の伝統的な共通認識を反映しており、しかも、和漢雅俗にわたる浩瀚な内容を含んでいる。たとえば「語る」の項目を見ると、その連想語として、浄瑠璃、平家、みどり子、謡、梓神子、盗人、遊女などが挙げられている。これを眺めるだけで、「語る」と「話す」とがどう違うのかといった言葉の原義から、物語や歴史叙述の根源的な問題にまで想像が膨らんでくるだろう。本演習では、『類船集』の連想語のネットワークを分析する方法とその意義について実践的に学ぶ。
 本演習では、はじめに教員による概説的講義を行い、以後は受講者の発表によって進める。具体的には、本書の見出語と連想語との関係性を文献上の根拠にもとづいて考察し、そこから浮かび上がる問題点を受講者全員で吟味することによって、言葉の深奥に迫る。
 この授業は、古文献の基礎的な調査・読解の方法を習得し、文学・語学・文化における良質な問題点を発見するための思考を養う場である。近世文学研究の立場にとどまらず、様々な角度から取り組むことが可能であろう。本演習が受講者各々の専門的研究へとつながる視座を獲得する機会となることを期待する。
Course Goals くずし字読解能力と、和本の基本的な扱い方を身につける。多様な資料の性格を把握し、古文献を適切に運用できるようになる。テキストを実証的に解釈する方法を習得する。自ら良質な問題点を発見し、それを適切な方法によって解決できるようになる。
Schedule and Contents 1.イントロダクション
2.『俳諧類船集』概説
3.和装本の扱い方について
4.受講者による発表と討議(1)「腹立」条
5.受講者による発表と討議(2)「腹巻」条
6.受講者による発表と討議(3)「腹帯」条
7.受講者による発表と討議(4)「腹当」条
8.受講者による発表と討議(5)「母」条
9.受講者による発表と討議(6)「はらむ」条
10.受講者による発表と討議(7)「鼻」条・前半
11.受講者による発表と討議(8)「鼻」条・後半
12.受講者による発表と討議(9)「歯」条
13.受講者による発表と討議(10)「針」条・前半
14.受講者による発表と討議(11)「針」条・後半
15.受講者による発表と討議(12)「包丁」条
16.受講者による発表と討議(13)「鋏」条・前半
17.受講者による発表と討議(14)「鋏」条・後半
18.受講者による発表と討議(15)「秤」条
19.受講者による発表と討議(16)「鉢」条・前半
20.受講者による発表と討議(17)「鉢」条・後半
21.受講者による発表と討議(18)「箸」条
22.受講者による発表と討議(19)「箒」条・前半
23.受講者による発表と討議(20)「箒」条・後半
24.受講者による発表と討議(21)「箱」条・前半
25.受講者による発表と討議(22)「箱」条・後半
26.受講者による発表と討議(23)「袴」条・前半
27.受講者による発表と討議(24)「袴」条・後半
28.受講者による発表と討議(25)「脛巾」条
29.総括
30.フィードバック

受講者の理解の度合いや発表の進行度、新型コロナウイルスの感染拡大状況等によって、予定を変更する場合がある。
Evaluation Methods and Policy 授業への参加度(20%)、発表(40%)、年度末のレポート(40%)による。発表・レポートついては到達目標の達成度に基づき評価する。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review) 発表担当者はもちろん、受講者全員が該当箇所を十分に予習し、自身の見解を持って授業に臨むこと。授業では版本・写本および文書類の写真を用いるため、くずし字読解への強い意欲が求められる。授業で扱う資料の予習復習はもちろんのこと、不断に古典籍に親しむこと。『類船集』の注釈研究においては、古俳諧をはじめとした和漢の古典文学作品はもとより、近世期の随筆類、歴史資料や図像資料、時には民俗学・文化人類学など隣接諸学の成果をも参照することが求められる。専門分野にかかわらず、日頃から広い分野の読書を心がけること。
Textbooks Textbooks/References プリントを配付する。
References, etc. 潁原退蔵著作集 第16巻 近世語研究, 潁原退蔵, (中央公論社), ISBN:4124012012
このほかの参考書は、適宜授業中に紹介する。
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