5234001 History of Western Philosophy

Numbering Code U-LET03 35234 LJ34 Year/Term 2022 ・ Intensive, First semester
Number of Credits 2 Course Type special lecture
Target Year Target Student
Language Japanese Day/Period Intensive
Instructor name KOMURA YUTA (Part-time Lecturer)
Outline and Purpose of the Course この講義ではイスラームという宗教において展開された思想を様々な観点から概観する。具体的にはイスラームに固有の思想、ギリシアからの思想の移入というふたつのフェーズを取り扱い、その後に花開いたアラビア哲学と、その後の発展を検討する。
伝統思想:イスラーム思想においてすべての基礎になるのは法学である。一部の哲学者などの例外を除き、基本的にイスラームの知識人は何らかの法学派を学び、それによって知識人と見なされる。その上に、神について議論する思弁神学(カラーム)が存在し、これがイスラーム思想の中核を構成する。この幹に対して、ときに近づき、ときに反発しながら発展したのがスーフィズムであった。
外来思想:一方でイスラーム地域における哲学は明確にギリシアの子孫である。アッバース朝期の翻訳運動によってギリシア(またはインド・ペルシア)の科学や思想が精力的にアラビア語に翻訳された。これらの思想はときに伝統的な知識人の反発を受けながら発展していった。科学や数学においては光学や代数学を発展させ、哲学においては後期古代アレクサンドリアから受け継いだ新プラトン主義的アリストテレス哲学が更なる展開を見せた。
その後の発展:アラビア哲学のその後について語るとき、我々はつねに口ごもりがちになる。それはアヴェロエス以降滅んでしまったのか?むしろ東方の神秘思想として生き残ったのか?はたまた正統派神学と融合することによって発展的解消を遂げたのか?講義の最後には、「哲学のその後」をイスラーム地域の内部、そしてヨーロッパとの対話というふたつの観点から検討する。
Course Goals ・イスラームという宗教における思想の個々の要素を理解する。
・それぞれの思想同士の影響関係を学ぶことにより、イスラーム思想全体にたいする複合的な視点を手に入れる。
Schedule and Contents 以下に授業計画を記す。但し、受講生の関心や進行度合いに応じて内容に変更が加えられる可能性はある。

第1回:「イントロダクション」
第2回:「イスラームの形成期」
第3回:伝統思想(1)「法学の形成」
第4回:伝統思想(2)「神学の形成」
第5回:伝統思想(3)「スーフィズムの形成」
第6回:ギリシアからアラビアへ(1)「翻訳運動」
第7回:ギリシアからアラビアへ(2)「自然学と数学」
第8回:ギリシアからアラビアへ(3)「プラトンとアリストテレス」
第9回:アラビア哲学の形成(1)「宗教と哲学」
第10回:アラビア哲学の形成(2)「学としての体系化」
第11回:アラビア哲学の形成(3)「神秘主義と哲学」
第12回:その後の発展(1)「神学と哲学」
第13回:その後の発展(2)「哲学化する神学」
第14回:その後の発展(3)「ヨーロッパとの対話」
第15回:「総まとめ」
Evaluation Methods and Policy ・授業の参加度(リアクションペーパー)30%
・最終レポート70%
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review) とくに事前の予習は必要ないが、それぞれの回で学んだことを振り返るのは知識の定着にかんして有益である。関連するテクストや資料は授業中に指示するので、余裕がある参加者は触れておくと良い。
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