英米法概論

Numbering Code U-LAW00 31671 LJ41 Year/Term 2022 ・ Second semester
Number of Credits 4 Course Type Lecture
Target Year Target Student
Language Japanese Day/Period Mon.3・Thu.3
Instructor name ITAMOCHI KENGO (Part-time Lecturer)
Outline and Purpose of the Course  本授業では、コモン・ローという法体系において使用される基本用語と考え方について講じ、「授業計画と内容」に示す事項のほか、それに関連する事柄を取り上げる。英語で書かれた判決文などに触れ、また英語圏のリーガル・リサーチの初歩的技術についても解説し、受講生にも実践を通してその基本を身につけてもらう。
 そもそも「日本法」について数十単位(かつ数年)をかけて学ぶことが予定されるのであるから、コモン・ロー(英米法。英国と米国にすら限定されない)の全体を4単位で広く深く学ぶことは(受講生諸君に他の科目のみならず寝食をも忘れて英米法の学修のみに専念させたとしても、おそらく)不可能である。授業担当者自身、その全てに精通しているともとても言えない。それゆえ、本授業ではコモン・ローの法域の中でも米国、英国、シンガポールに対象範囲を限定する。これらの3か国に限定する理由は授業内で説明するが、内容についても次のとおり限定する。すなわち、前半でアメリカ法を題材に私法・公法・刑事法などを幅広く取り上げて概説し、もって様々な法領域におけるコモン・ローの特徴を学習する。後半ではイングランド法およびシンガポール法を題材に、私法、特にビジネス法についてヨリ具体的な検討に踏み込む。後半で扱う内容は日本企業も国際取引などでまさに実定法として使用する可能性があり、その意味で実用的でもあるが、受講生には「すぐに役に立つか」という観点を超えて、日本法を相対化する意識も涵養してほしい。
 日本法との違いを意識してもらうために日本語で日本の法律用語との比較も交えつつ議論を行うが、法の理解のためにはそれぞれの法源を読まないことはありえない。条文や裁判例を一度も読まずに民法や刑法を学習したことにはできないのと同じ理屈である。それゆえ、英米の法令や判例は英語の原文をしばしば引用・配布する(もちろん日本語で解説する)。また、受講生には必ず一度は英文判例に取り組んでもらう(取り組み方の詳細は初回および授業用ウェブサイト(後掲)で説明する)。英語に苦手意識を持たずに頑張ってみてほしい。高校英語の知識だけでもコツさえつかめば「意外と読める」ものである。そのコツをつかむ(ないしそのきっかけを得る)ことも本授業の目的である。また、こうした作業の前提となる何が法源でどうやってそれを見つけるか、という調査技法の基礎についても身につけてもらう。こうした知識は授業後には一旦忘却の彼方へと葬り去られるであろうが、仮に将来必要になった場合には、存外、ふと思い出したり、「あのとき何かあった」と探し出すきっかけになったりするものである。
 以上を要するに、本授業は、アメリカ、イングランド、シンガポールの法を題材にコモン・ロー法体系において使用される基本用語や考え方について修得し、今後必要になった場合にさらなる取材調査のために自ら英語の法源で裏を取って確認するための基礎的素養を身につけ、日本法を外国法と比較する初歩的技能を獲得することを目的とする。
 なお、授業担当者が基礎疾患を有するため、感染症の状況および大学・学部の方針によっては、オンラインでの実施もありうる。大学から、または授業用ウェブサイト等を通じた授業担当者からの連絡に留意されたい。
Course Goals 以下の①から③の能力ないしその前提となる基礎を身につける。
① コモン・ローの法体系において使用される基本用語や考え方を理解する。たとえば、イギリスの法律関係のニュースに接した際に素人に解説でき、または不明な点を調べることができるようになる。
② コモン・ローの法体系における具体的な法律問題や法制度について、適切な論拠たりうる法源を探し、議論を組み立て、また分析・批判することができるようになる。たとえば、日本法について「これはアメリカの◯◯という制度に由来する」といった言明に接した際、その論拠とされる法源(まともな論者であれば何らかの典拠を示しているはずであるところ、その原典)を見つけて検討し、当該言明が適切なアメリカ法の説明たりえているかを判定できるようになる。
③ ①②に基づき外国法としてのコモン・ローを精確に把握し、これを日本法との比較において議論することができるようになる。たとえば、上記言明に関し、「実際にはアメリカの◯◯は△△を前提にしたものであるから、同様の前提を持たない日本では□□のように解しなければならない」といった評価を行えるようになる。
Schedule and Contents  基本的に以下のプランに従って講義を進める。ただし講義の進みぐあい、時事問題への言及などに対応して順序や同一テーマの回数を変えることがある。
 *授業予定の修正や詳細については、授業用ウェブサイト(後掲)でも案内する。逐次(少なくとも毎回の授業前には)確認すること。また、授業資料等は同ウェブサイト上で配布し、原則として印刷物の形では配布しない。

《前半:アメリカ法》
第1回 憲法史
第2回 アメリカ法の多元性
第3回 法曹制度
第4回 民事手続法
第5回 契約法
第6回 物権法
第7回 法の調べ方  *この回はアメリカのみでなくイギリスとシンガポールも扱う
第8回 信託法
第9回 会社法
第10回 M&A、資本市場法
第11回 統治機構
第12回 基本権
第13回 刑事法
第14回 刑事法史

《後半:イングランドおよびシンガポールのビジネス法》
第15回 英国とシンガポールの立法と司法
第16-18回 牴触法(国際私法)、国際民事訴訟法、紛争解決法
第19-20回 契約法
第21-23回 財産法・物権法、エクイティと信託
第24-25回 会社法
第26-27回 担保法
第28回 不法行為法

《期末試験》

《総まとめ》
第29・30回 フィードバック
Related URL https://sites.google.com/view/ku-eibeiho2022/home
PAGE TOP