ILAS Seminar :Introduction to Evolutionary Biomechanics in Primates

Numbering Code U-LAS70 10001 SJ50 Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type seminar
Target Year Mainly 1st year students Target Student For all majors
Language Japanese and English Day/Period Thu.5
Instructor name HIRASAKI EISHI (Primate Research Institute Associate Professor)
NISHIMURA TAKESHI (Primate Research Institute Associate Professor)
Outline and Purpose of the Course バイオメカニクスとは、生物の運動や運動に関わる構造を、メカニクス(力学)の視点から考える学問領域である。例えば、ヒトにユニークな直立二足歩行や音声言語は、身体のどの部分のどのような動きによって成り立ち、そこにはどのような力学が働くのか。それを読み解くことは、ヒトのヒトたる所以を知る貴重な一歩となる。本セミナーでは、ヒトの進化、特にその霊長類基盤について、バイオメカニクスの立場から研究するための基礎知識と分析技術を習得するための講義と実習を行う。
Course Goals 身体の動きや身体が発する信号を記載するための手法(運動学、運動力学、筋電図、周波数解析等)について、その理論的背景を学び、得られた結果の意味を読み取るための基本的知識を習得する。また、動きの基盤となる身体各部の構造・形態の基礎的情報を学ぶとともに、形態分析の手法(骨学、生体計測、CT撮像など)の習得を目指す。
Schedule and Contents I.授業形式、日程、場所
本ゼミは、前期期間中に京都での8回の講義と、愛知県犬山市での実習の2つのパートから成る。実習は講義7回分に相当し、夏期休暇中の2日間、合宿形式による。犬山での実習参加のための交通費ならびに宿泊費は本人負担とする。
<日程>
第1回:4月14日 第2回:4月21日(4/28休)第3回:5月12日 第4回:5月19日(5/26休)第5回: 6月2日 第6回:6月9日(6/16休)第7回:6月23日 第8回:6月30日
第9~15回:犬山にて夏休み期間中に集中講義形式で(日程は受講生と相談)

II.講義の内容

1)~4)
・バイオメカニクス研究の手法とその歴史
・ヒトの二足歩行研究
・二足歩行を可能にする形態基盤
・ヒトの直立二足歩行の起源と進化
生物の形やその進化を機能と関連付けて考える進化バイオメカニクスは、我々ヒトの進化を理解する上で重要なツールとなる。講義1-4では、ヒトの最も基本的かつ重要な機能のひとつである歩行を取り上げ、その進化と適応を探る。そのための基礎知識として、研究手法の歴史やヒトの身体構造とその進化的成り立ちについても概説する。

5)~8)
・生物音響学(バイオアコースティックス)の基礎
・音声解析実習
・生物における音声の多様性とその解剖生理学的基盤
・人類の音声言語の起源と進化
講義5-8では、ヒトをヒトたらしめる最も重要な機能である言語のコミュニケーションを支える話しことば(Speech)を取り上げ、その進化と適応を探る。そのための基礎知識として、生物音響学(バイオアコースティクス)の理論的基礎と解析実習を行い、ヒトの話とこばを支える解剖生理学的基盤とその進化的成り立ちについても概説する。

III.実習の内容

講義で紹介した実験、計測を実践する。

・身体運動のバイオメカニクス実習
ビデオ映像を用いて身体各部の時間的変位を調べる運動計測実習、床反力計や圧分布計を用いて身体が支持体に為す力や受け取る反力を分析する運動力学実習、筋電図計を用いて筋の活動を分析する筋活動分析を実践する。ヒト被験者と霊長類被験体を用い、歩行を含む身体運動の進化と適応を考察する。2コマ分。

・デジタル形状データ実習
最近のバイオメカニクス研究での基礎技術となった骨のコンピューター断層画像(CT)や3D表面スキャンデータの取り扱いを習得し、作成した三次元表面形状データをもとに3Dプリンターを用いた複製標本の作製実習を行う。2コマ分。

・骨学実習:
骨は動きの基本である。骨格標本の観察・スケッチ・計測を通して骨のかたちと機能の関連性を考え、霊長類を基盤とするヒトの適応と進化について考える。2コマ分。

・ディスカッション
講義を通して得た知識を元に各自の考え・意見を交換する。教員や大学院生を交えた総合討論形式で行う。1コマ分。
Evaluation Methods and Policy 平常点による。平常点評価は、出席と参加の状況(55%)、授業内での発言(15%)、実習における積極性(15%)、小レポート等(15%)に基づいて行う。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review) 事前の準備等は特に必要としない。しかし、動物の体のかたちや動きに興味があり、ある程度それらの知識があると、実習・講義のより深い理解が得られる。また、前半の講義をもとに一般書などでもよいので、霊長類について予習しておくと、実習の理解がスムーズになる。
References, etc. ヒトの誕生-二つの運動革命が生んだ〈奇跡の生物種〉, 葉山杉夫, (PHP研究所、1999年), ISBN:4569606083
「退化」の進化学, 犬塚則久, (講談社m 2006), ISBN:406257537X
人体は進化を語る, 坂井建雄, (Newton Press, 1998), ISBN:4315515205
Related URL http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/shinka/keitou/nishimura-HP/index.html
http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/shinka/keitai/index.htm
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