ILAS Seminar :A quantitative study concerning emotions in forests

Numbering Code U-LAS70 10001 SJ50 Year/Term 2022 ・ Intensive, First semester
Number of Credits 2 Course Type seminar
Target Year Mainly 1st year students Target Student For all majors
Language Japanese Day/Period Intensive
Early September
Instructor name ISE TAKESHI (Field Science Education and Research Center Associate Professor)
Yurika Oba (Center for the Promotion of Interdisciplinary Education and Research Program-Specific Assistant Professor)
Outline and Purpose of the Course 人はなぜ、自然を愛し、自然にいやされるのだろう。便利な都会で暮らしていても、なぜときとして森に行きたくなるのだろう。こんな疑問について、科学的な切り口でいどむのがこのILASセミナーの特徴だ。この授業では、森林が現代人の精神的幸福に貢献するメカニズムを探る。従来の「自然保護ありき」で語られる環境保全ではなく、進化生物学や心理学などの客観的な視点から、人々が森を心地よく思い、愛し、敬う感情とは何か・その感情はいつどこで生じるかを考える。近年開発されたポータブル脳波計などの機材を用いることで、従来は研究がむずかしかったフィールドでの人間行動と感情についての実験と研究を進める。これまでは文系の学問で漠然と語られるだけだった「自然のなかでの感動」を、科学で解明してみよう。
Course Goals 京都を取り巻く自然の価値について、特に文化的生態系サービスについての知識を得、また実際に観光客に人気の森林環境を体験することで、エコツーリズムが果たす役割とは何か、今後の社会にどのような貢献を果たすかを考えることができる。フィールド調査学習では、仮説を立て、調査によって検証し、考察するというプロセスを体得する。その結果として、森で生じる感動とは何かを考え、人にとってそれがどのような意味を持つかを分析する経験を積む。
Schedule and Contents (第1回分)吉田キャンパスでの講義および実習の説明会を7月中に行う。その後、9月初旬に実施する二泊三日のフィールド体験を、京都市北部に位置する京都大学芦生研究林で実施する予定である(社会情勢などによる変更の可能性あり)。

フィールド体験は、前半は講義(第2-5回分)、後半はフィールド調査学習(第6-15回分)で構成される。講義では、まず京都の人々と自然のかかわりを歴史的コンテクストと現代の環境問題を通して学ぶ。次に、来訪者が森に抱く感覚を知るため、森林環境への来訪者の調査結果について、また森林の美的価値について芸術家による芦生研究林の体験談と制作物から学ぶ。人間の心理を形づくる要因を知るために進化生物学・進化心理学の基礎も学ぶ。芦生研究林認定ガイドによる講義も行う。

フィールド調査学習では、人間の心理にとって自然の持つ役割は何かを、仮説を立て、調査によって検証し、考察するというプロセスを踏む。近年開発されたポータブル脳波計やウェアラブルカメラなどのデバイスを用いることで、人間の行動や感情を詳細に記録するビッグデータ科学の初歩を学ぶ。学生はグループごとに、来訪者にとって自然のもたらす精神的・文化的効果を明示的・定量的に調べ、森に対する気持ちについての普遍性や法則性を探る。指導教員はそれぞれの仮説の設定や研究手法、結果の解析を密接に指導する。
Evaluation Methods and Policy レポートと授業内での発表で評価する。評価の割合については初回授業にて説明する。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review) 高校の生物で履修する程度の生態学の知識があることがのぞましいので、必要に応じて「学んでみると生態学はおもしろい(伊勢武史著・ベレ出版)」などの入門書を読んでおくことを勧めます。
References, etc. 生物進化とはなにか?: 進化が生んだイビツな僕ら, 伊勢武史, (ベレ出版), ISBN:978-4860644932, 生物進化は誤解の多い学問分野です。本書では、よくある誤解をとりあげて、生物進化とはどのようなものなのか、丁寧に解説します。人間も生物進化の産物です。生物である私たち人間も、生物進化と深く関わっているのです。本書の後半では、人間の「こころ」について、生物進化の視点で考えていきます。生物進化を考えることで、もしかしたら、日常の悩みを解決する糸口が見えてくるかもしれません。生物進化の基礎から、進化心理学といった「こころ」に関することまで、現代人におくる生物進化の入門書です!
学んでみると生態学はおもしろい, 伊勢武史, (ベレ出版), ISBN:978-4860643430, 本書は、サイエンスとしての生態学の基本的な理論を丁寧に解説し、環境を科学的・客観的にとらえる考え方を身につけられます。これからの時代を生きる人の必修科目である生態学をイチから学びましょう。
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