English Reading ER50,ER56 1T15,9

Numbering Code U-LAS20 10001 SB48 Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type Seminar (Foreign language)
Target Year 1st year students Target Student For all majors
Language Japanese Day/Period Fri.1/Fri.2
Instructor name FUJIOKA MASAKI (Part-time Lecturer)
Outline and Purpose of the Course  本授業は、冷戦期のアメリカ合衆国(以下、アメリカ)の大学における科学研究の歴史に関する研究書やアカデミック・エッセイを題材として、学術的な英語文献を読みこなすに必要な知識――学術英語に見られる文章構造の特徴、語彙、慣用句、文法など――を教授し、かつ、アカデミックな場面で必要となる「読解力・精読力」、そして「(可能なかぎり)短時間で文章全体の内容(とくに筆者の主張や論旨)を把握する力」を受講生に身につけてもらうことを目的に実施するものです。
 上記の目的に加えて、この授業では、アメリカにおける科学研究の歴史に関する知識の習得と、大学や企業における科学研究に政府や軍部が資金面等で深く関与する現象について、歴史的事実を踏まえつつ、かかる関与の功罪両面を、冷静かつ論理的に考えることのできる見識の涵養も目的としています。かかる知識や見識に基づく「教養」は、受講生が科学者やエンジニアなどの道に進む際、いかなる環境や立場に置かれうるのかを予測することに資するものであり、受講生には、本授業を、これからの学生生活や卒業後のキャリアを構想する一助にしてもらいたいと思います。
Course Goals  本授業では、英語で書かれた学術書および論文を読解する際に必要となる「読解力・精読力」、「短時間での文章全体の内容把握力」の習得および向上を目標としています。

具体的には、

(1) アカデミックな英文の読解に必要な語彙・慣用句・文法の知識を習得すること
(2) 学術英語に見られる文章構造の特徴、わけても「トピック・センテンス」と「パラグラフ」の定義および英文におけるそれらの役割について理解すること
(3)「トピック・センテンス」を利用し、単語や表現、文法などが難解な箇所を読み解く方法を理解・習得し、「読解力・精読力」を向上させること
(4)「トピック・センテンス」ならびに「パラグラフ」を利用して「短時間で文章全体の内容を把握する方法」を習得すること

を本授業の到達目標とします。
Schedule and Contents 【「一般学術目的の英語」としての位置づけ】
 この授業は、自然科学、社会科学、人文科学といった分野を問わず、アカデミックな英文において一般的に用いられる語彙や慣用句、文法を習得しつつ、学術書や学術論文に特徴的な文章構造と論理展開に慣れることを目的としています。

【教材の性質や主題】
教材とする研究書と研究論文は、

 (1) Stuart W. Leslie. The Cold War and American Science: The Military-Industrial-Academic Complex at MIT and Stanford. New York: Columbia University Press, 1993
 (2) Jessica Wang. "American Scientists and Cold War Politics: Current and Future Research Directions" Historia Scientiarum, vol. 16, no. 1, 2006.

の2つです。

 (1)は、第二次世界大戦後のアメリカの大学における科学研究が、冷戦遂行の必要性から資金の面でも規模の面でも急激に拡大し、連邦政府や軍部、財団や企業との関係が緊密化していく歴史的過程を、マサチューセッツ工科大学(MIT)とスタンフォード大学を事例に跡づけた歴史書です。さらに同書は、かかる科学のあり様についての考察をも含んでいます。本授業では、同書の“Introduction”を取り上げます。この教材を通じて、第二次世界大戦後のアメリカの科学研究をめぐる概略的知識を習得しつつ、大学における科学研究と国家や社会との関係の緊密化に関する筆者の議論にも注目し、ときに哲学的で抽象的な議論がなされるアカデミックな英文の読解および内容把握の方法を身につけてもらいたいと思います。
 (1)の読解後には、アメリカのみならず世界の科学研究に冷戦が及ぼした影響や弊害を科学者個人のエピソードに注目して分析した(2)の論文(アカデミック・エッセイ)を読みます。

【授業計画】
※受講生の理解度合いによって、回数を変更する場合があります。

第1回 イントロダクション(授業の進め方、成績評価の方法についての説明)

第2回~第10回 (1)の文献の“Introduction”を読む。

第11回 (1)の文献の「論旨」の確認作業(学生との擦りあわせ)を実施し、(2)の文献を読む。

第12回~第13回 (2)の文献を読む。

第14回 (2)の文献を読み、「論旨」の確認作業(学生との擦りあわせ)を実施する。

第15回 定期試験

第16回 フィードバック(フィードバックの方法は別途連絡します。)

【受講者が教室で行う作業:「1周目」】
 本授業では、1つの教材を「3周」します。
 「1周目」は、各パラグラフの「トピック・センテンス」(詳細は授業で説明します)の「精読」に取り組みます。講義形式で、「トピック・センテンス」に関する理解度合いを確認します。すべてのパラグラフの「トピック・センテンス」を読み終えたあとは、クラス全体で、英文全体をいくつの「パート」に分けうるのかを議論します。

(1)「トピック・センテンス」の解説
(2)「トピック・センテンス」における「トピック」と「アイディア」を参照し、その段落の内容を「予測ないし推測」
(3)Thesis Statementの探索

ただし、パラグラフによっては、「トピック・センテンス」のみならずパラグラフ全体の精読をしてもらう必要がある箇所があります。ですが、受講生が自らそれらを見分ける力を習得すべきとの観点から、担当者から事前に受講生に伝えることは極力控えます(予習の方法については、下記「授業外学習(予習・復習)等」を参照)。

【受講者が教室で行う作業:「2周目」】
   「2周目」は、「トピック・センテンス」の理解を踏まえたうえで、パラグラフ全体の内容を理解する授業を実施します。授業では、「1周目」の「パート」分けに沿って、グループを組み、グループ内で役割分担をして、以下のプレゼンテーションに取り組んでもらいます。

(1) 「パート」全体の概略の説明(英語ないし日本語)。
(2) 読解にあたって難解と思われる個所を、「パート」内から3~5ヶ所選定し、スライド等を用いて説明。
(3) 担当者からの質問への回答。

「2周目」の授業の解説を通じて、受講生には「トピック・センテンス」がいかにパラグラフ全体の内容と情報を凝縮したセンテンスであるかを理解してもらうことが、「2週目」の学習のねらいです(予習の方法については、下記「授業外学習(予習・復習)等」を参照)。

【受講者が教室で行う作業:「3周目」】
   各教材を「2周」し終わった直後の1回の授業を「3周目」の読解に当てます。ここでは、教材の「論旨」について、受講生と担当者との間での擦りあわせ作業をおこないます。この「論旨」についても、受講生が自力で読み取る力を身につけてもらうべく、「1周目」と「2周目」の授業では担当者から受講生に伝えることは極力控えます(予習の方法については、下記「授業外学習(予習・復習)等」を参照)。
 
【履修の心得など】
(1) リーダーズなど中レベル以上の英和辞典を毎回持参して下さい。
(2) 出席確認の方法は、授業開始時の点呼とします。この際に返事のなかった人(返事をせず、無言で手だけを挙げる人も含む)は、カードリーダーの読み取りによるKULASISへの記録の有無にかかわらず「遅刻」とします。「遅刻3回」で「欠席1回」とカウントしますので、十分注意して下さい。
Evaluation Methods and Policy 【成績評価の方法・観点及び達成度】
 平常点(予習の有無、授業への積極的な参加や発言、プレゼンテーションにおけるパフォーマンス、「論旨ペーパー」の提出):40%、定期試験:60%

【成績評価に関する注意事項】
 (1) 5回以上欠席した場合は成績評価の対象としません。また、この「欠席」には、上記「履修の心得」に記載の通り、「遅刻3回」で「欠席1回」とカウントされた場合の「欠席」も当然含まれます。欠席のみならず遅刻もしないよう、十分注意してください。
 (2) 授業を円滑に進めるために予習は必須とします。怠った場合には平常点を大幅に減点します。
Course Requirements Refer to "Handbook of Liberal Arts and General Education Courses".
Study outside of Class (preparation and review) 【「1周目」の予習】
 辞書や文法書を用いて、「トピック・センテンス」の分析と解釈(日本語訳を含む)に取り組んでください。合わせて、「トピック・センテンス」のみの読解で足りるパラグラフと、初回からパラグラフ全体の内容の理解を要するパラグラフを見分け、後者については、パラグラフ全体の概略を理解する作業に取り組んでください。

【「2周目」の予習】
 まず辞書等を使わず、「1周目」の授業内容(とくに「トピック・センテンス」の内容)を想起しながら、内容を理解するように試みてください。次いで、不明な点について辞書や文法書で調べて精読をするという作業に取り組んでください。

【「3周目」の予習】
 「2周目」の授業の最終回で配布する「論旨」に関わる質問をまとめた紙(「論旨ペーパー」と呼びます)に回答を記入し、授業に持参してきてください(※「論旨ペーパー」は授業後に提出を求めます。また論旨ペーパーの提出およびその出来は「平常点」の一部に組み込みます)。

【復習時の学習】
 パラグラフ単位で英文の内容を理解するように、授業で扱った箇所を再度読んでください。さらに、教材の「論旨」について考える時間を取るようにしてください。
Textbooks Textbooks/References  上記の【授業計画と内容】の項目で紹介した文献のコピーを配布します。
References, etc. 京大学術語彙データベース 基本英単語1110, 京都大学英語学術語彙研究グループ&研究社, (研究社), ISBN:978-4-327-45221-6
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