Interdisciplinary Sciences :Natural Hazards and Disaster Risk Reduction

Numbering Code U-LAS60 10001 LJ17 Year/Term 2022 ・ Second semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year All students Target Student For all majors
Language Japanese Day/Period Tue.5
Instructor name ICHIKO SHIMIZU (Graduate School of Science Associate Professor)
YOSHIDA AKIRA (Disaster Prevention Research Institute Associate Professor)
YAMORI KATSUYA (Disaster Prevention Research Institute Professor)
Outline and Purpose of the Course  近年の激甚災害を受けて、南海トラフ巨大地震、都市直下地震、地球温暖化とスーパー台風など、自然災害に対する社会の関心が高まってきている。自然災害は、自然現象と人間社会とが互いに関係しあって生じるものであり、この関係を理解することで防災・減災について考えることが可能となる。日本列島で頻繁に生じる自然現象(地震・火山噴火・集中豪雨・台風や突風など)と、これらによって誘発される様々な自然災害の発生メカニズムを理解し、その防災・減災について多様な視点から検討を加え、解決策を考える授業を実施する。プレート沈み込み帯における地震・火山噴火の特徴や、集中豪雨や突風などを引き起こす気象現象のメカニズムについて、最新の研究成果を初学者にもわかりやすく解説し、それらの自然現象が引き起こす複合的災害について講義するとともに、災害を予測・軽減する方策について教員・受講者でディスカッションを実施する。各自が積極的に授業に参加することが重要である。
Course Goals  日本列島で生じる多様な自然災害の発生メカニズムと、その防災・減災について、自然科学・社会科学の双方の基本的な知識を修得する。日常生活において、自然災害に対して科学的に考え、行動できるようになる。地域の防災のためにどのような備えが必要か、さらに日本列島における災害軽減のために何ができるか、主体的に考えることができるようになる。
Schedule and Contents 第1回 導入(担当・清水)
過去の自然災害の発生状況を統計にもとづいて概観し、この講義の目的、到達目標、成績評価の方法等を説明する。

第1回~第5回 地震・火山噴火と地盤災害(担当・清水)
概要:プレート沈み込み帯に位置する日本列島では、地震や火山噴火は自然の営みそのものであり、その活動を阻止することはできない。本講義では日本列島における地震活動や火山噴火の特徴について、プレートテクトニクスの基礎知識をもとに理解する。また、どのような地震被害、火山災害および地盤災害が起き得るかを過去の実例にもとづいて学び、災害対策について考える。
Keyword: 地震・津波・火山・土砂災害・プレートテクトニクス
授業内容:
 ◆地球科学の基礎知識:プレートテクトニクス、日本列島の地質・地形発達
 ◆内陸直下型地震:1995年阪神淡路大震災、地震波、活断層
 ◆海溝型巨大地震:2011年東北地方太平洋沖地震、津波、液状化
 ◆火山活動と災害:火山噴火、溶岩流、降灰、火砕流、水蒸気爆発
 ◆地盤災害の要因:土石流、斜面崩壊、地滑り、河川の氾濫
 ◆自然災害の発生予測と減災:南海トラフ巨大地震、原発立地問題  

第6回~第8回 気象現象のメカニズムと災害への備え(担当・吉田) 
概要:日本列島で頻発する気象災害の主要素である、集中豪雨や突風などの気象現象のメカニズムを概観するとともに、台風や豪雨によってもたらされる災害(洪水災害・高潮災害・地すべり災害・斜面災害など)とその対策について学ぶ。また、地球温暖化が進む中で、気象災害の変化とそれに対応するための適応研究の最先端に触れる。
 Keyword: 台風災害・竜巻災害・洪水災害・高潮災害・土砂災害
 授業内容:
 ◆気象現象のメカニズムに関する基礎知識
 ◆気象現象による災害(洪水災害、土石流災害、高潮災害、斜面災害など)
 ◆気象災害への対策、被害軽減策
 ◆温暖化と気象災害
 ◆気象災害との複合災害
 
第9回~第12回 自然災害と人間の関わり(担当・矢守)
概要:自然災害と人間の関わりについて、心理学・教育学・社会学・文化人類学・法学といった社会科学の観点から学ぶ。災害マネジメントサイクルに従って、事前の準備期、突発災害に対する対応期、その後の復旧・復興期にわたる課題をバランスよく学習することをめざす。
Keywords: 災害心理・防災教育・リスク認知・復興支援・災害文化・災害関連法
授業内容:
 ◆自然災害と人間:災害リスク認知、防災教育、防災/減災、災害時の集合行動、心のケアなど
 ◆自然災害と社会:被災者支援、被災地復興、災害情報、危機管理、防災計画など
 ◆自然災害と世界:防災・復興をめぐる国際協力、災害文化、被災地復興、貧困と防災など

第13回、14回 総合討論(担当教員全員)
担当教員全員出席のもと、受講生全員で自然災害やその対策について意見を交換したあと、受講生をグループ分けし、それぞれが選択した検討課題について討論を実施する。討論の進め方として、まず「問題の因果関係:ツリー構造」を整理し、それを基に解決策を議論することとする。

第15回 フィードバック
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総合討論においては、受講生からの自由な課題提案を歓迎する。以下に課題例をあげる。

課題例1:京都市周辺の活断層で直下型地震が生じる危険性は?
     日常的にどのような備えが必要か?安否確認方法は?
課題例2:最近10年間に日本列島でどのような地盤災害があったか?
     災害が繰り返される可能性は?安全確保と避難の方法は?
課題例3:歴史時代や有史以前に大噴火を起こした火山について、
     今後同様な噴火があったときに想定される被害は?とり得る対策は?
課題例4:南海トラフの巨大地震で津波が来たときの避難場所は?防災訓練は?
     被災者支援のためにボランティアとして何ができるか?
課題例5:2011年東北沖地震の津波被害からどこまで復興したか?
     創造的な復興としてどのようなことが考えられるか?
課題例6:突発的集中豪雨による災害を避けるために有効な方策は?
     居住地の特性は?避難場所は?
課題例7:広域大規模気象災害を未然に防ぐために有効な対策は?情報伝達方法は?
課題例8:広域大規模災害の想定および対策はどのようにすれば合意できるか?
課題例9:地球温暖化の影響が考えられる世界各地の異変は?国際協力の方法は?
課題例10:自助・共助・公助・外助を有効にするために日頃からどのようなことができるか?
Evaluation Methods and Policy  12回の講義と2回の総合討論での平常点(授業への参加状況・個別内容の理解力を確かめるためのレポート課題)で評価する。総合討論では、各自の関与度も評価の対象になる。各評価項目の割合の詳細は初回の授業で説明する。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review) 授業にあたっては資料を配布するので、その要点を復習すること.また、それぞれの自然災害項目について、関連書籍を通じて各自で調査すること。実際に自然災害が発生した場合には、報道資料やインターネットで情報を集め、授業内容と関連して考えること。
References, etc. 自然災害と防災の事典, 寶 馨・戸田圭一・橋本学, (丸善,2011年), ISBN:978-4-621-08445-8 C 3044
現代の災害と防災ーその実態と変化を見据えてー, 志岐常正ほか, (本の泉社,2016年), ISBN:978-4-7807-1276-6
災害と防災ーこれまでと今ー, 志岐常正, (本の泉社,2018年), ISBN:978-4-7807-1912-3
京都の災害をめぐる, 橋下学ほか, (小さ子社,2019年), ISBN:978-4-900659-91-9
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