ILAS Seminar :Introduction to Forest Resource Management and Utilization
Numbering Code | U-LAS70 10001 SJ50 | Year/Term | 2022 ・ Intensive, First semester | |
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Number of Credits | 2 | Course Type | seminar | |
Target Year | Mainly 1st year students | Target Student | For all majors | |
Language | Japanese | Day/Period |
Intensive Summer (Guidance in late May) |
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Instructor name | HASEGAWA HISASHI (Field Science Education and Research Center Associate Professor) | |||
Outline and Purpose of the Course |
近年の地球環境問題の顕在化や脱原発等の社会的要請により,社会そのものが大きく変質せざるを得ない状況にある。我々は今後,エネルギーや資源をどのように循環させる未来社会を構築すべきか,その道筋を含めて考え,行動していかなければならない。 日本人は古くから様々な形で森林を改変し,利用しながら,独特の文化を育んできた。現在,日本には2500万haの森林があり,国土に占める森林の比率(森林率)は68.2%(FAOによる数値)と,先進国の中ではフィンランドに次いで2位である。その4割(1000万ha)が人工林化されており,充分な資源量を蓄積している。森林は太陽エネルギーの力を借りて資源を生み出す魔法の工場とも言えるが,林業不振のために近年はあまり利用されず,間伐遅れによる森林荒廃,中山間地域の過疎,伝統文化の断絶など,様々な問題を引き起こしてきた。 一方で,近年は地球環境問題の深刻化から,再生可能資源である林業の意義が世界的に再び見直され,成熟した人工林資源を活用を軸にした林業の成長産業化に関する動きも活発になってきている。 本セミナーでは,植栽,下刈り,枝打ち,間伐,集材など,伝統的に日本で行われてきた林業作業を体験するとともに,最先端の林業の作業現場や木材利用の見学を行う。 世界有数の森林国である日本では,様々な社会要素が森林に直接的,間接的に関与しており,来るべき循環型社会の中で,森林資源をいかに持続的に利用するかについては,様々な専門分野の人材が必要となる。理系,文系を問わず,様々な学生の参加を期待する。本セミナーへの参加を通し,森林国ならではの視点を獲得し,真の国際人としての素養を身につける第一歩として欲しい。 |
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Course Goals | 自分たちの生活と森林との接点を理解し,未来社会での森林との付き合い方を考え行動する基盤を身につける。特に,森林と密接に関係してきた日本文化を幅広く理解し,山村の過疎問題や日本社会の将来像について,具体的に自分なりの意見を述べることができるようになることを目標とする。 | |||
Schedule and Contents |
京都大学フィールド科学教育研究センター和歌山研究林(和歌山県有田川町)において,植栽,下刈り,枝打ち,間伐,集材など,伝統的に日本で行われてきた林業作業を数日にわたり体験する(作業内容は調整中)。 また京都との往復の間に,日本で最も古い林業地のひとつである奈良県吉野地域に現存する260年生のスギ人工林および資料館を見学するほか,長期にわたって持続的に管理されてきた高野山の森林および木造建築の見学,周辺地域の事業体における最先端の林業作業システムの見学,十津川村産材産直住宅の見学等を予定している。 本セミナーは,夏期(8/22または8/29の週を予定)に宿泊を伴う集中講義形式(3泊4日)で開催する。これに先立ち,前期期間中(5月下旬頃)に説明会を実施する。 なお新型コロナ感染症の状況によっては,日程を短縮したり日帰りで実施する可能性がある。 |
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Evaluation Methods and Policy | セミナー開催中における受講態度(積極性・協調性などを4段階に評価)およびセミナー終了時に提出してもらうレポート(理解度・積極性・論理性などを6段階に評価)により,それぞれ40点,60点の配点で採点する。 | |||
Course Requirements | None | |||
Study outside of Class (preparation and review) | 自分の日常生活の中で,木材をはじめとする森林資源がどのような場面で人間社会で活用されているかを観察しておくこと。また,生活圏内にある森林に着目し,その管理状況を観察する(特に時間を割いて観察する必要はない)。観察した森林と森林資源の活用の現状について,それが持続可能な状態であるかどうか,また持続可能な状況にするために,自分の立場からどのように貢献できるかについて,考えておく。 | |||
Textbooks | Textbooks/References | 5月下旬に予定している説明会時に,林業の歴史と現状,近年の動向,将来の方向性などに関する資料を配付する。 | ||
References, etc. | 林業イノベーション-林業と社会の豊かな関係を目指して, 長谷川尚史, (林業改良普及双書), ISBN:ISBN978-4-88138-333-9 |