ILAS Seminar :Introduction to Civil Procedure

Numbering Code U-LAS70 10001 SJ50 Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type seminar
Target Year 1st year students Target Student For all majors
Language Japanese Day/Period Wed.5
Instructor name HONDA TOSHIO (Graduate School of Law Professor)
Outline and Purpose of the Course  紛争解決とは、錯綜した事実関係を分析・整理して問題を発見し、一定のルールを基準として解決を図ることである。民事紛争の種々の解決方法を学ぶことは、社会の様々な局面における問題解決を図るための基礎的な訓練となり、実社会で必要な幅広い対応力を身につけることにつながる。
 本講座では、まず、身近な民事紛争の事例を取り上げて、様々な解決方法の利害得失を理解するとともに、特に民事裁判(民事訴訟)について、その特質、基本的な流れ、利用方法等を学ぶこととする。講義では、元裁判官の経験を活かして、世の中に生起する様々な紛争が民事裁判等を通じて実際にどのように解決されているかについて具体的事例をあげて説明する。そして、受講生は、①紛争事案についてどのような解決手段を選択するのが相当か、その場合どのような手続を踏み、実際に交渉等の場面でどのような主張をするのが相当かを全員で議論する、②当事者の雑多な言い分の中から法的に重要な事実を拾い出して法的主張を組み立て、それを記載した裁判関係文書を作成してみる、③模擬裁判(口頭弁論、集中証拠調べ等)を実演して、主張や反論の仕方、事実を引き出すための尋問の仕方などを学ぶといった体験的・実践的学習を通じて、事案の分析の仕方、法的な論述の進め方や討論の仕方を身をもって学び取れるようにする。これらの学習を通じて、受講生が「法化社会」で生きていくために必要な「法的なものの考え方」や事案を分析して法的に論証する力を身につけるとともに、民事紛争解決システムの利用の仕方を理解する一助としたい。
Course Goals  民事紛争の各種の解決方法の利害得失や民事裁判(民事訴訟)の仕組みと特質について基礎的な知識を修得するとともに、紛争を解決するに当たり、事実関係を整理・分析した結果に基づき口頭又は書面により効果的に論証する力を身につける。
Schedule and Contents  基本的に以下の計画に従って講義を進める。ただし、講義の進み具合、受講生の理解度に対応して順序や同一テーマの回数を変えることがある。
第1回 授業のガイダンス/私的紛争の発生とその解決方法(民事手続概論)
   -裁判所、裁判官、裁判所職員の概要を知ろう
   -私的紛争の解決とはどういうことか?どのような解決方法があるのか?
第2回 民事裁判(訴訟)の特質/民事訴訟手続の概要
   -民事裁判(訴訟)の特質は何か?
   -民事訴訟の手続の概要を知ろう
第3回 民事訴訟手続の流れの概観
   -訴えの提起から判決までの手続はどのように進められるのか?
第4回 民事裁判の判断の構造
   -裁判官の判断形成過程とはどのようなものか?
   -判断形成上、法律要件該当事実(要件事実)が果たす機能は何か?
第5回 訴えと請求
   -訴えの種類にはどのようなものがあるか?
-訴状・答弁書にはどのような事項を記載することが求められるか?
-訴訟上の請求(訴訟物)とはどのようなものか?
第6回 民事訴訟の基本原則(処分権主義・弁論主義・口頭弁論の諸原則)
   -民事訴訟はどのようなルールに従って進められるか?
-審理におけるイニシャティブは裁判所・当事者のいずれにあるだろうか?
第7回 民事訴訟と裁判官
-裁判官の判断作用には競技審判などと比べてどのような特色があるか?
-紛争解決に向けての裁判官の姿勢はどのようなものだろうか?
第8回 争点中心の審理と争点整理手続
   -争点中心の審理をするためにはどのようなことが必要になるだろうか?
   -争点整理はどのような目的で何をすることか?
   -争点整理はどのように行われるか?
   -集中証拠調べとはどのようなことだろうか?
第9回 事実認定と証拠(1)
   -民事裁判における事実認定にはどのような特色があるだろうか?
   -事実認定はどのようなルールに従って行われるか?
   -事実認定に当たり自由心証主義はどのような役割を果たしているか?
   -経験則とは何か?これと自由心証主義とはどのような関わりをもつか?
第10回 事実認定と証拠(2)
   -証明の対象になる事実はどのようなものか?
   -証拠調べにはどのような種類があるあるか?
   -どのようにして証拠(書証・人証)の証明力を判断するのか?
   -対立矛盾する証拠がある場合、どのようにして事実を認定するのか?
第11回 模擬口頭弁論
   -具体的な事案について、原告側・被告側の受講生が、それぞれの立場から主張を行い、裁判官役の受講生が質問しながら主張や証拠を整理して、争点を明確にし、証拠調べの対象を絞り込む実演を行う。
第12回 判決と和解
   -判例の拘束力とはどのようなものか?
   -判決書作成の目的は何か?何をどのように記載すべきか?
   -確定判決にはどのような効力があるか?
   -判決以外の訴訟終了事由にはどのようなものがあるか?
   -判決と和解の利害得失は何か?
第13回 模擬裁判(集中証拠調べから判決言渡しまで)
   -具体的な事案について、受講生が原告・被告各訴訟代理人役、裁判官役等を分担して、集中証拠調べから判決言渡しまでの裁判手続を実演する。
第14回 模擬裁判の判決言渡し/講評/全体の補足とまとめ
第15回 期末試験/学習到達度の評価
第16回 フィードバック
    フィードバックの具体的実施方法は後日連絡する。
Evaluation Methods and Policy  討論への積極的な参加・貢献の度合い(10点)、課題に対するレポート起案(2回、各20点)、期末試験(50点)により評価する。
 起案は全回提出を必須とする。起案については到達目標の達成度に基づき評価する。
 期末試験は、民事裁判に関する基礎的な知識を問うものとし、一部は論述式とする。論述問題は基礎的な知識をもとに自分の考えを論理的かつ明確に展開できているかを基準に評価する。

【評価基準】*平成27年度以降のカリキュラムの適用学生
  到達目標について以下の評価基準に基づき評価する。
   96~100点:目標を十分に達成しており、とくに優れている。
   85~ 95点:目標を十分に達成しており、優れている。
   75~ 84点:目標について良好な達成度を示している。
   65~ 74点:目標について標準的な達成度を示している。
   60~ 64点:目標につき最低限の水準を満たすにとどまる。
    0~ 59点:目標について最低限の水準を満たしておらず、さらに学習が必要である。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review)  レジュメの該当箇所について参考書や指定された文献等を手がかりに予習して授業に臨み、授業後は、必要に応じて参考書等も参照しつつ何を理解できたか確認することが望ましい。事例問題については、予め検討し、授業での討論に備えること。
 特に準備が必要な事項(模擬裁判の準備、課題に対するレポート起案の作成・提出方法等)については授業中に別途指示する。
Textbooks Textbooks/References  教科書は特に指定しない。
 事前にレジュメ及び事例問題等をKULASISに登載する。
 ただし、小六法(『ポケット六法』、『デーリー六法』等。どこの出版社のものでもよいが、最新版を用意すること)は必須。
References, etc. 民事裁判入門[第3版補訂版], 中野貞一郎, (有斐閣), ISBN:978-4-641-13623-6
Courses delivered by Instructors with Practical Work Experience 分類:

A course with practical content delivered by instructors with practical work experience

Details of Instructors’ Practical Work Experience:

裁判官経験:約36年(民事、刑事、家事、少年)。民事関係では、第1審である地方裁判所及び第2審の高等裁判所で、裁判長及び陪席裁判官をそれぞれ経験した。

Details of Practical Classes Delivered:

民事裁判の仕組みなど基本的な知識を提供するとともに、裁判官として具体的事件を通じて経験したことを伝えて、紛争解決に向けての裁判所や裁判官の役割について学生とともに考えたい。
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