Science on water, soil and ecosystems
Numbering Code | U-LAS15 10013 LJ58 | Year/Term | 2022 ・ Second semester |
---|---|---|---|
Number of Credits | 2 | Course Type | Lecture |
Target Year | Mainly 1st & 2nd year students | Target Student | For all majors |
Language | Japanese | Day/Period | Thu.5 |
Instructor name |
NAKAKITA EIICHI (Disaster Prevention Research Institute Professor) SAYAMA TAKAHIRO (Disaster Prevention Research Institute Associate Professor) MATSUSHI YUUKI (Disaster Prevention Research Institute Associate Professor) |
||
Outline and Purpose of the Course |
気候温暖化などの地球環境問題、豪雨による水・土砂流出などの自然災害問題は、ますます深刻になってきており、理系のみならず文系の学生も学ぶべき必須課題である。そこではまず、地球そのものの持つ地殻変動・気象変動、これらと生物圏の相互作用、さらに、人間活動による影響を包括的に理解する必要がある。しかしながら、マスコミなどで取り上げられることが多いにもかかわらず、高校までにその科学的基礎を学ぶ機会はほとんどない。また、こうした環境や災害の問題に関して強い関心を持ち、理学、工学、農学、社会科学に関する個別の学部で研究をしたいと考えている学生諸君も、その分野で深く学ぶと同時に、別の観点での研究もあることをも理解できる基礎知識と視野の広さを持っていて欲しい。 本講義では、環境問題の中心に位置する水の循環を取り上げ、分かりやすく解説する。具体的には、まず水文学(すいもんがく)の基礎として、陸域に降った雨がどのように浸透・蒸発・流出するのか、水の貯留と輸送に関する素過程を物理的に理解する。そのうえで、水循環を斜面、流域、全球へと空間的に広がりをもって考えた場合に、地形、植生、地質、気候帯などの空間的な構造が水循環に影響を及ぼしていることを解説する。さらに時間軸を変えて捉えることで、水循環の変動が渇水や食糧問題など水に関連した環境問題に結びついていることを示す。また水と土と緑にまつわる様々なトピックで議論を展開し、気候変動によって河川の水は増えるのか、それとも蒸発散が増えて減るのか、また森林からハゲ山への変遷がどのように成立し、そのときに河川の流量や斜面の土壌はどう変化するのかなどについて解説する。さらに極端な流出の変動が斜面崩壊や土石流、洪水や渇水などの自然災害を引き起こしていることを示し、千年・万年・10万年・100万年という入れ子状の時間スケールの中で水循環と地形変化の相互作用が維持され、地殻変動や気候変動の影響を受けながら、私たちが目にする地形(流域)を形成していることを学ぶ。 |
||
Course Goals | 水に関連する環境問題・自然災害を物理的な背景をもって考えられるよう、蒸発・浸透・流出など水文学の基礎を理解する。またその知見を様々な時間的・空間的スケールに演繹できる想像力を養い、これまで異なる現象として捉えてきた種々の水に関連する地球科学の問題を結びつけて考えられる力を身につける。 | ||
Schedule and Contents |
中北(各テーマにつき1回,計2回): 1. イントロダクション:地球の営みと皆さんの周りの水循環 2. 流域発達、雨雲・豪雨形成とそれへの温暖化の影響~何百万年という時間スケールを経て~ 佐山(各テーマにつき1回,計6回) 3. 水と熱の貯留と輸送 4. 生態系から大気への蒸発散 5. 気候変動と全球スケールの水循環 6. 流域スケールの降雨流出現象 7. 流域地形と洪水氾濫 8. 近年の水災害と最新の洪水予測 松四(各テーマにつき1回,計6回) 9. 迫る土砂災害: 減災のためにいま何が求められているか 10. 崩れゆく斜面: 岩盤の風化と土層の崩壊 11. 雨水のゆくえ: 降雨の浸透と透過・流出,その変換システムとしての山地流域 12. 土を追いかける: 土粒子の生成・輸送・集積による土層の発達とそのモデル化 13. 森の働き: 植生が斜面にもたらす機能と役割 14. 予測への挑戦: 新しい斜面安定モデルと動的ハザードマッピング 授業はフィードバックを含め全15回とする |
||
Evaluation Methods and Policy | 平常点(出席と参加の状況)30%と中間・期末試験(70%)により評価する。 | ||
Course Requirements | None | ||
Study outside of Class (preparation and review) | 関連書籍を紹介するので、予習・復習として読んで学ぶようにすること。 | ||
References, etc. |
水文科学, 杉田倫明ほか編, (共立出版) エース水文学, 池淵周一ほか, (朝倉書店) |