Introduction to Inorganic Chemistry B

Numbering Code U-LAS13 20005 LJ60 Year/Term 2022 ・ Second semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year Mainly 2nd year students Target Student For science students
Language Japanese Day/Period Fri.2
Instructor name UCHIMOTO YOSHIHARU (Graduate School of Human and Environmental Studies Professor)
Outline and Purpose of the Course 理科系学生を対象として、無機物質の化学的、物理的性質を理解する上で基礎となる、原子分子の構造と化学結合を理解し、また物質の構造と性質の関係について修得することを目的とする。
Course Goals 無機化学における諸分野の内容を理解し、無機化学反応および無機材料の物性を理論的に説明できる。
Schedule and Contents 以下の項目等について,フィードバックを含め全15回で授業を進める予定である.

1.酸化反応と還元反応
  酸化還元反応の定義の紹介。酸化反応が電子の喪失、還元反応が電子の獲得であること、電気的中性条件により、酸化還元反応の電荷バランスが保たれることを理解する。
2.酸化還元電位と反応の自発性
  酸化還元反応の進行方向を予測する考え方を理解する。電子のエネルギーは電位によって表されること、電位はギブスエネルギーと関連付けられることを理解する。
3.ネルンスト式
  酸化還元電位は、酸化種および還元種の濃度によって変化し、標準電位からのずれはネルンスト式で示されることを理解する。
4.水との反応、空気中の酸素による酸化、不均化反応
  様々な反応をこれまで学んだ電位の観点で整理する。
5.ラチマー図
  ある特定の元素に対し、複数の酸化還元反応をコンパクトにまとめることの出来るラチマー図の取り扱いを学ぶ。
6.プールベ図
  縦軸に電位、横軸にpHをとったプールベ図は、様々な酸化還元種の水溶液中での安定種を予測するのに有効であることを学ぶ。
7.エリンガム図
  金属酸化物の安定性を理解するために、エリンガム図が有効であることを学ぶ。
8.結晶場理論
  d金属錯体の電子構造について、配位子を点電荷として取り扱う結晶場理論を用いて配位子と金属の結合の性質、d電子の振る舞いについて理解する。
9.配位子場理論
  分子軌道法を応用した配位子場理論により、より定量的に配位子と金属の結合の性質、d電子の振る舞いについて理解する。
10.単純な固体の構造(最密充填構造とイオン固体)
  剛体球が幾何学的に許される限りできるだけ密に詰まることにより構成される最密充填構造の理解と、それを基にした代表的なイオン固体の構造について理解する。
11.イオン結合のエネルギー論
  イオン固体が形成される場合の安定化の効果について、ボルン・ハーバーサイクルに基づく熱力学的側面と、ボルン・マイヤー式から導き出される格子エンタルピーの両面から理解する
12.欠陥と不定比性
  全ての固体は、構造または組成の不完全性を有する。その欠陥について理解する。
13.欠陥の定量的取り扱いと物性との関係
  主に点欠陥の定量的取り扱いと、イオン伝導等の物性との相関を理解する。
14.固体材料化学
  後期に学んだ「酸化還元」、「固体化学」、「d金属錯体の電子構造」の応用として、電気化学材料について紹介する。
Evaluation Methods and Policy 定期試験(80%)及び数回の小テスト(20%)により評価する。
Course Requirements 基礎有機化学I、IIおよび基礎物理化学(熱力学)・(量子論)を履修していることが望ましい。前半(無機化学入門A)の連続した履修を推奨する。
Study outside of Class (preparation and review) シラバスに従い、事前に教科書の該当部分を予習すること。毎回のレポートについて、模範解答を講義するので、それについて復習を行うこと。
Textbooks Textbooks/References シュライバー・アトキンス 無機化学(上)(下) 第6版, 田中 勝久、髙橋 雅英、安部 武志、平尾 一之、北川 進 訳, (東京化学同人), ISBN:9784807908981
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