Thermodynamics

Numbering Code U-LAS12 10009 LJ57 Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year Mainly 1st year students Target Student For science students
Language Japanese Day/Period Wed.4
Instructor name SASA SHINICHI (Graduate School of Science Professor)
Outline and Purpose of the Course 熱現象と力学現象を統一的に記述する熱力学について講義する。巨視的な測定によって定義される量の関係から普遍的法則を確立する営みを理解することが主な目的である。また、本質的に制御不可能な現象があることを物理学として定式化されることを学ぶのも重要な目的である。
Course Goals 熱力学を用いることで、ある現象の測定結果に基づいて、質的に異なる別の現象の測定結果を予言できるようになることを目指す。
Schedule and Contents まず、熱力学の基本的な考え方を説明する。次いで、エントロピーに代表される新しい物理量を導入する。そして、熱力学をより深く理解するために、興味深い具体例を議論する。概ね以下の構成を予定しているが、若干の変更がある場合もある。2022年度の実際の講義構成は、http://www.ton.scphys.kyoto-u.ac.jp/sasa/thermo22.htmlで公開する予定である。

第1回 はじめに 

1.1 熱学と力学の統一理論
1.2 自然に対する操作限界
1.3 操作的定義について
1.4 マクロな物質とは
1.5 例題 (風船)

第2回 基礎概念 

2.1 法則=原理(普遍性)+パラメータ(個性)
2.2 平衡状態をめぐって
2.3 状態方程式
2.4 熱容量の操作的定義
2.5 熱と仕事へ
2.6 例題 (ファンデルワールス気体)

第3回 内部エネルギー

3.1 前回の復習と補足
3.2 熱と仕事の等価性の問題
3.3 実験の設定と結果とその意義
3.4 「内部エネルギー」の定義

第4回 断熱曲線 

4.1 断熱過程の物理 - 「速い」とは
4.2 断熱準静的過程
4.3 断熱曲線
4.4 例:理想気体の断熱曲線の導出
4.5 一般:内部エネルギーの決定について

第5回 第2種永久機関をめぐって

5.1 第2種永久機関とは
5.2 「第2種永久機関が存在しない」という原理について
5.3 例:第2種永久機関!
5.4 ケルビンの原理、最小仕事の原理
5.5 例:理想気体の等温準静的仕事

第6回 カルノーの定理

6.1 2温度熱機関
6.2 カルノーの定理
6.3 証明
6.4 カルノーの定理の凄い帰結!
6.5 例:理想気体のカルノー効率

第7回 不可逆過程

7.1 補足:温度概念について
7.2 可逆過程と不可逆過程の定義
7.3 可逆過程の例と不可逆過程の例
7.4 パズル:複合系の可逆性
7.5 「補償」という考え方
7.6 相加性

第8回 エントロピー

8.1 パズルの解き方
8.2 示量変数、示強変数
8.3 可逆過程で一定の値をとる変数(エントロピー)の構成
8.4 エントロピーの熱による表現
8.5 例:理想気体のエントロピー

第9回 基本関係式

9.1 熱力学第2法則
9.2 エントロピーと内部エネルギー
9.3 エントロピーと圧力
9.4 熱力学の基本関係式
9.5 注釈:はねかえり係数と熱力学第2法則

第10回 完全な熱力学関数

10.1 完全な熱力学関数の定義と意義
10.2 U(S,V) の完全性
10.3 レポート:U(T,V)の不完全性
10.4 完全な熱力学関数 F(T,V)
10.5 F(T,V)の物理的意味と基本関係式
10.6 エネルギー方程式の導出

第11回 ゴムの熱力学

11.1 設定と問題 - 急にひっぱったときの温度上昇
11.2 自由エネルギー=位置エネルギー!
11.3 熱容量データからk(T)の決定!
11.4 断熱での温度変化
11.5 等温過程での内部エネルギー変化
11.6 内部エネルギー変化=0 vs 復元力!
11.7 エントロピー力 (力の創発)

第12回 気液相転移の熱力学

12.1 気体/液体のP-V図およびV-T図
12.2 気体と液体を区別できないこと
12.3 共存相および気液転移
12.4 臨界点
12.5 潜熱
12.6 クラペイロン=クラジウスの式

第13回 風船の熱力学

13.1 風船の問題とは
13.2 「自然に生じる」変化の向き
13.3 簡単な例題
13.4 自由エネルギー最小原理
13.5 風船の問題を自由エネルギー最小原理で解く
13.6 補足:ラプラスの式、対称性の破れ...

第14回 プレ試験と解説 

14.1 プレ試験
14.2 プレ試験の解説
14.3 全体の復習

期末試験

第15回 フィードバック
Evaluation Methods and Policy 定期試験の結果に基づき評価する。コロナ感染拡大の状況に応じて、レポート評価にもとづく可能性もある。4月の開講時点で通知する。
Course Requirements 1回生前期に受講することが可能である。偏微分に関する高度な関係式などは全く使わない。
Study outside of Class (preparation and review) 講義をもとに自学することを勧める。
Textbooks Textbooks/References 佐々真一、「熱力学入門」(共立出版)があると講義内容を理解する上で有用である。
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