The Tradition and potentialities of the Kyoto School

Numbering Code U-LAS00 10020 LJ34 Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year All students Target Student For all majors
Language Japanese Day/Period Fri.3
Instructor name DEROCHE,Marc-Henri Jean (Graduate School of Advanced Integrated Studies in Human Survivability Associate Professor)
SUGIMURA YASUHIKO (Graduate School of Letters Professor)
MURAKAMI YUMIKO (The Kyoto University Museum Associate Professor)
Outline and Purpose of the Course ・本講義では、近代日本の形成期に、人文科学の分野で京都大学(京都学派)が果たした役割を学史的に明らかにし、現代社会の抱える様々な人間と社会の問題を考える。講義と討論のなかで、国際的な視野をふまえ、京都学派の学問の継承と発展を計り、統合的でグローバルな京都の現代知形成の一翼を担おうとするものである。授業の形態としては、総合生存学館での経験を活かし、学生が授業での討論に参加する対話型を重んじたい。今年度は、哲学、宗教学、仏教学、考古学の分野に限る。
Course Goals ・近代日本の形成期に、人文科学の分野で京都大学(京都学派)が果たした役割を理解する。
・分野のそれぞれで、実践している教員が講義をすることにより、京都学派の社会における実態を理解する。
Schedule and Contents ・第1回 杉村靖彦、マルク=アンリ・デロッシュ、村上由美子:授業全体のガイダンスと、京都学派の全体像についての概説。

・第2回~5回 杉村靖彦:「京都学派の哲学:その特徴と可能性」
 20世紀の初めに西田幾多郎から始まった「京都学派」の哲学は、西洋と東洋、哲学と宗教、原理的思索と生き方の探究といった形で、さまざまな面で重層的な性格をもち、その分難解ではあるが、従来の哲学像を破る創造的な可能性を秘めている。この授業では、西田幾多郎、田辺元、九鬼周造、西谷啓治など、京都学派の代表的哲学者の思想に触れながら、彼らが共通して問うてきた事柄を、哲学の知識を前提しなくても理解できるように、できるだけ具体的な仕方で解説していきたい。それによって、難解な言葉遣いで知られる彼らの思索が、つねに「今ここ」で生きる「生身の」人間自身を直接つかみとりたいという情熱によって動かされていることが見えてくるはずである。

・第6回~9回 マルク=アンリ・デロッシュ: 「京都学派と仏教学:「聞・思・修」の意義と可能性」
京都学派の哲学は、近代の課題を克服すべく、西洋と対話しながらアジアの伝統的な智慧について再考してきた。その過程で特別な役割を果たしてきたのが、仏教である。仏教は、インドから日本に及ぶ汎アジア的な現象であり、その他のアジアの伝統とも深く結びついている。この授業では、仏陀の教えの核心と仏教の歴史をわかりやすく紹介し、京都大学と世界で現在まで発展し続けてきた学術的な仏教研究の基礎を提供する。
仏教は哲学か、それとも宗教か。この問いに答えるには、仏教がみずからを「智慧の探究」として位置づけていること、しかも三段階の智慧(三慧)、つまり口伝または経典の学習(聞慧)、合理的な検討(思慧)、心身修練(修慧)の三つを探究していることに着目したい。この自覚と教養を育むモデルが、いかにアジアの文化と芸術の繁栄の駆動力となってきたか、さらに現在、いかに科学と哲学の批判的対話において人類の生存と調和ある共存に貢献しうるか、考察していくことにする。

・第10回~13回 村上由美子:「考古学京都学派と博物館の考古資料」
 人類の過去を物質から研究する分野は、日本においては明治初期のモースによる大森貝塚の発掘から始まるが、歴史学としての物質文化の研究は濱田耕作によって京都大学文学部に考古学講座が開設されて以来、100年の歴史のなかで蓄積してきた。濱田は大学博物館の設立にも関与し、現在では約20万点におよぶ考古資料収集の礎を築き、その資料群が研究の進展をもたらした。
講義のなかでは、濱田に始まる考古学京都学派の研究を紹介して考古学の方法論に触れるとともに、総合博物館の見学を行い、考古資料が研究のなかでどのように活かされてきたか、資料の収集がどのように進められたか、その過程をたどっていく。さらに、資料の保全を行ううえでの問題点を探り、文化財の保護・文化遺産の継承と活用という観点でも議論を深める。

・第14回 杉村靖彦、マルク=アンリ・デロッシュ、村上由美子 全体のまとめと、3教員による討論。

・第15回 試験はおこなわないが、レポート等の準備日とする。
Evaluation Methods and Policy ・3分野ごとの評価を平均する。
・毎回提出を義務づける出席表に書かれたコメントと、各分野ごとに掲出を義務づけるレポートにより評価する。
・詳細は各講義で説明する。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review) 授業中に与えられた、または提示された資料を勉強および復習することをを期待します。
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