Pedagogy I

Numbering Code U-LAS04 10001 LJ47 Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year All students Target Student For all majors
Language Japanese Day/Period Mon.3/Mon.5
Instructor name ISHIOKA MANABU (Graduate School of Human and Environmental Studies Associate Professor)
Outline and Purpose of the Course  現代社会を生きるわれわれは、必ず何らかの「教育」に関わってきているため、教育に関する現象・問題に対して関心を抱く向きは多い。しかし、こうした初発の関心はしばしば自身の教育経験のみを拠りどころとしており、問題の本質を捉えそこなっている場合も少なくない。
 歴史的観点から教育現象を考察することは、われわれが日常的に抱いている「教育」の概念を相対化し、教育現象の本質を的確に把握するうえで、大きな意義を有している。それぞれの時代・社会における「教育」のあり方が、いかなる社会的諸条件(物理的条件、社会秩序の構成原理、価値意識、等々)のもとで成立しているのかを知ることは、教育という営為を広い視野をもってとらえることを可能にし、ひいては現代社会における教育現象を洞察するうえでも、より深いレベルでの思索を可能なものとする。
本講義では、以上の問題意識に基づき、近代日本教育史の具体的事例の解説を通して、近代教育システムの特質とは何かを追究する。それを通して、教育を神聖視する見方を相対化し、広い視野から「教育」概念を捉えなおすことを目指す。
Course Goals  近代日本における教育の歴史を、政治・経済・文化的状況との関係性において把握し、幅広い視点から理解する。
 教育に関わる諸問題を、歴史的・社会的視点から考察する能力を養う。
Schedule and Contents  本講義では、明治期から1945(昭和20)年までの時期を対象として、以下の計画に基づき授業を進めていく。ただし、受講生の理解の状況によっては、変更を加えることがあり得る。

第1回:イントロダクション
 授業の狙い、方針等について、オリエンテーションを行う。

第2~3回:近代学校システムと民衆社会との軋轢
 明治期の日本社会において、「上からの」近代学校システム導入にどのような意図があったのか、それは民衆社会のありようといかなる齟齬を来しつつ、次第に定着していったのか。このセクションでは、近世社会における教育機関との比較を行いつつ、主として初等教育に焦点を当てて、これらの点について解説する。

第4~5回:「学歴社会」の勃興
 近代学校システムの普及・定着とともに形成されてきたのが、「学歴社会」である。なぜ学歴が重視されることとなったのか、また学歴の重要性は人々にとってどのように認識されるようになっていったのか。このセクションでは、主として高等教育に焦点を当てて、これらの問題について解説する。

第6~7回:男女別学体制
 戦前の日本における中等教育・高等教育は、ほぼ例外なく男女別学体制によって行なわれていた。そこにはいかなる社会的期待が反映されていたのか、またその体制がどのように社会全体のジェンダー秩序と関連していたのか。このセクションでは、主として中等教育に焦点を当てて、これらの問題について解説する。

第8回:「教員」という存在
 近代的な学校制度の成立・普及に伴って、職業としての「教員」という存在が誕生した。教員には何が求められたのか、どのような人々が教員になったのか、教員に対する社会的視線はどう変化したのか、などの点について解説する。

第9~11回:「家庭」の誕生と子育て・教育意識の変化
 学校教育の定着とともに、「家庭教育」という概念が新たに登場する。現在の我々が思い描く「家庭教育」のありようとは、単なる「親から子への教育的働きかけ」という意味以上の含意があり、そこにはやはり近代社会特有の条件が関係している。こうした問題について、家族のあり方の変容との関連に注目しつつ、解説する。特に、人口動態上の変化(多産多死社会から少産少死社会へ)や、子育てに対する意識(誰が育てるのか)の変化に目配りしていきたい。

第12~13回:「進路問題」の誕生
 戦後高度成長期に本格化する教育の大衆化と進学競争激化へ連続する現象として、1920~30年代に社会問題化した進学や就職と教育に関わる問題について照準する。こうした「進路問題」がこの時期に浮上したことの背景について、広い視点から解説をする。また、戦時体制下における教育改革についても解説する。

第14回:授業全体のまとめとふり返り
 「近代社会」とはいかなる特質をもった社会であるのか。最終回では、現在の我々が拠り所とする社会の構成原理と、社会の構成原理の転換が「教育」という営みの意味をいかに変容させたのかについて、これまでの授業内容をふまえて解説する。

第15回:フィードバック
 フィードバックの方法は別途連絡する。
Evaluation Methods and Policy  学期末レポート(60%)を中心に、平常点(40%)を加味して成績評価を行う。成績評点は、素点(100点満点)とする。
 レポートは到達目標の達成度に基づき評価する。
 平常点はランダムに提出を求めるコメントシートの内容に基づき評価する。
 なお、期末レポートおよびコメントシートの提出、授業の出席は、必要条件であっても十分条件ではない。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review)  人間あるいは社会の営みを広い視点からとらえることができるように、教育のみならずさまざまな社会・文化現象についての興味・関心をもってほしい。
Textbooks Textbooks/References 資料としてプリントを配布する。
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