Introductory Seminar on Politics and Culture in Ancient and Medieval Japan I

Numbering Code U-LAS01 20008 SJ38 Year/Term 2022 ・ Second semester
Number of Credits 2 Course Type seminar
Target Year All students Target Student For all majors
Language Japanese Day/Period Fri.5
Instructor name YOSHIE TAKASHI (Graduate School of Human and Environmental Studies Professor)
Outline and Purpose of the Course 【日本古代史研究書入門】
1冊の研究書を輪読し、日本の歴史と文化に対する歴史的思考力を高めることを目指す。大学生や一般の人を読者層として想定した、簡易で比較的新しい書籍を取り上げるが、記述の背景を調べ、根拠となっている文献史料の原典を読解することで、記述内容を批判的に検証する。それを通じて、歴史に対する思考力・感覚・想像力を磨くことを目指す。
今期は、虎尾達哉著『古代日本の官僚』を取り上げ、古代日本における官僚の内実について考える。
Course Goals 古代・中世の日本の歴史に関して正確で幅広い知識を獲得するとともに、文献史料の原典を自分の力で読解し、提示された学説を吟味して、自分の見解を対置する能力や、歴史像を組み立てるための技術を身につける。
Schedule and Contents 専制君主国家とされる古代日本の律令国家では、官人たちによる怠業、無断欠勤、無断出席が横行していた。7世紀後葉の天武朝に創出された律令官人は、五位以上の上級官人と六位以下の下級官人とで、世界が大きく分かれていた。忠良たるべきとされた五位以上官人に対して六位以下の官人たちは、君臣観念が希薄であったため、儀式をサボタージュする者が多く、郡司など地方官人だけではなく中央官人の間でも、頻繁に職務放棄が生じていた。また、怠業官人に対する律令国家の制裁もおおむね緩く、人事を担当する式部省が、勤勉ではない律令官人を擁護したりしている。古代日本の律令国家は官僚に対して寛容であったということができ、官人の怠業・怠慢を織り込みながら、合理的・現実的に運営するというのが専制君主国家の実像であった。虎尾達哉著『古代日本の官僚』を輪読しながら、こうした古代日本における官僚の内実の把握に取り組む。あわせて、根拠とされる資料を分析し、内容の可否を検討する。

第1回 イントロダクション
第2回 律令官人とは何か(1) 豪族を官僚に編成する
第3回 律令官人とは何か(2) 律令官人群の形成/律令官人の世界
第4回 儀式を無断欠席する官人(1) 天皇への賀正の儀式に出ない/御前での任官儀式に出ない
第5回 儀式を無断欠席する官人(2) 位階昇進などの儀式に出ない/律令官人は早くから無断欠席していた
第6回 職務を放棄する官人(1) 使者としての派遣を辞退する
第7回 職務を放棄する官人(2) 少納言が重要政務を遅刻・欠席する/郡司が自身の解任を求める
第8回 職務を放棄する官人(3) 職務放棄する中央官人たち/国家的祭祀に集まらない
第9回 古来勤勉ではなかった官人たち(1) 時間にルーズな官人たち/学ぼうとしない官人たち
第10回 古来勤勉ではなかった官人たち(2) 不正を働く官人たち/乱暴な官人たち、取り入る官人たち
第11回 官人たちを守る人事官庁(1) 押しの強い実力官庁
第12回 官人たちを守る人事官庁(2) 官人たちを不当な制裁から守る
第13回 官僚に優しかった「専制君主国家」
第14回 総 括
《期末試験》
第15回 フィードバック
 ※上記の各回の内容は取り上げる書籍の目次による。
Evaluation Methods and Policy 平常点(授業内での報告および発言・50点)と期末試験(レポート・50点)の合計で成績評価する。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review) 授業の進行はシラバスに記載の通りであり、全体の進行をあらかじめ通知するので、各回の輪読個所を読み、また授業内容を想定し、輪読個所の予習をすることが望ましい。
Textbooks Textbooks/References 古代日本の官僚, 虎尾達哉, (中公新書), ISBN:978-4-12-102636-1, 2021年刊行、840円+税
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