Media and Culture Studies (Special Lectures)

Numbering Code U-HUM13 21236 LJ35 Year/Term 2022 ・ Second semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year From 2nd to 4th year students Target Student
Language Japanese Day/Period Mon.4
Instructor name Hori Junji (Part-time Lecturer)
Outline and Purpose of the Course  映画についての学術的言説としては、1960年代に北米で成立した「フィルム・スタディーズ」の紡ぐ言説が今なお一定の有効性と影響力を誇っている。しかし、映画をめぐる言説は、もちろんそれだけにはとどまらず、フィルム・スタディーズ成立以前の古典的理論や映画批評も存在すれば、フィルム・スタディーズに先だって、あるいはそれと並行して映画についての別種の知のあり方を提示しようとする言説も枚挙にいとまがない。この授業では、そうした広い意味での映画論・映像論を対象に、何人かの鍵となる著述家やいくつかの重要概念に焦点を当て、演習形式も取り入れつつ、彼らの言説の可能性を探る。
Course Goals 1)映画をめぐる言説の多様性を概観し、鍵となる著述家の展開する思考を十分に理解する。
2)それに基づいて映画・映像作品を分析するための応用力を身につける。
Schedule and Contents  以下の内容を予定している。一方的な講義だけでなく、随時、受講生による報告(文献のレジュメなど)や、文献購読を採り入れる。

第1回-第3回 古典的映画論のアクチュアリティ
 近年の再検討・再評価の動きをふまえて、フィルム・スタディーズ成立以前の映画論の現代的な可能性を探る。ベラ・バラージュ、ジャン・エプシュタイン、ジガ・ヴェルトフ、ジークフリート・ クラカウアーなどの重要概念を取り上げる。

第4回-第6回 映画批評の系譜
 映画についての言説は、個々の作品に評価を下す批評活動と切っても切り離せない。学術的な映画論に先行し、それに寄り添い、時にはそれを凌駕する言説の系譜をたどる。アンドレ・バザンからセルジュ・ダネーに至るフランス映画批評の流れに焦点を当てる。

第7回-第9回 現代映画理論の展開
 古典的映画論をふまえつつ、1960年代の知的風土を背景に、映画記号学という新たな学術的な装いで始動した現代映画理論の誕生と、その後、現代に至るまでの顛末をサーヴェイする。クリスチャ ン・メッツ、レーモン・ベルール、ローラ・マルヴィを中心的に扱う。

第10回-第12回 フィルム・スタディーズの冒険
 1960年代から制度化し始めたフィルム・スタディーズの枠内で、デイヴィッド・ボードウェル、 トム・ガニングなど、新しいパラダイムを切り拓いた論者に焦点を当てる。

第13回-第15回 哲学者たちの映画論
 フィルム・スタディーズ成立以降、そのディシプリンの外から、映画をめぐる独自の思考を展開した論者を取り上げる。特に、ジル・ドゥルーズやジャック・ランシエールといった、フランスの哲学者が展開した映画論に注目する。
Evaluation Methods and Policy 授業参加(20%)、授業内での報告(20%)、学期末レポート(60%)で評価する。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review) 授業内で指定文献の紹介を求めるので、授業外学習として、レジュメの準備等を事前に行うことが必要となるほか、上記の参考書を読むことで知識や考え方の定着を図ることを推奨する。
References, etc. 映画論の冒険者たち, 堀潤之・木原圭翔編, (東京大学出版会、2021年), ISBN:978-4-13-083082-9, 授業の構成は、本書の構成をそのまま採用している。本書の記述内容をそのまま講じるわけではないし、本書で取り上げていない人物や概念を取り上げることもあるので、授業の進行に応じて参考に読み進めてもらうことを想定している。その他、参考文献は多数あるので、授業中に適宜紹介する。
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