Seminar on Diaspora Thoughts and Cultures B

Numbering Code U-HUM41 26349 SJ37 Year/Term 2022 ・ Second semester
Number of Credits 2 Course Type Seminar
Target Year From 2nd to 4th year students Target Student
Language Japanese Day/Period Tue.3
Instructor name KATSUMATA NAOYA (Graduate School of Human and Environmental Studies Professor)
Outline and Purpose of the Course ディアスポラ(民族離散)とは何か。神の「律法」を守らなかった罰としてエルサレムの神殿を失ったユダヤ人は、世界各地に離散してマイノリティとして生きていくことを自らに課す、そうすることでメシアが到来し終末がもたらされ、来世においてはユダヤ人が全人類のリーダーになるという、本来ディアスポラとは、ユダヤ教の選民思想と深く結びついた概念である。まさにディアスポラこそが、歴史におけるユダヤ民族の生き方(思想、文化)の本質を表す言葉といえる。また、今日では、他の民族における様々な体験にもディアスポラという言葉が広く使われるようになっている。

この授業の具体的な内容は以下のとおりである。
ディアスポラにおけるユダヤ人は、聖書朗読や礼拝などの宗教的な場面で、あるいは各地のユダヤ人同士でコミュニケーションをとるための共通語(リンガフランカ)として、ヘブライ語の使用を続けたが、それ以外の日常生活においては、基本的にその土地の言語を使った。ただし、それらの言語を書く時には、往々にしてヘブライ文字で書いた。このような「ユダヤ語」が担っていた役割を考察することで、ユダヤ人が周辺社会といかに関わっていたかを学ぶ。
Course Goals この授業を履修することで、ユダヤ諸語の言語的特徴や社会的役割に関する基本的な知識を習得したうえで、民族的アイデンティティと使用言語との関わりについて深く考察する能力を養うことができる。
Schedule and Contents 後期の冒頭で、「ユダヤ諸語」の言語学的定義の難しさ、共通の特徴やその多様性に関する概説を行う。その後、後期の前半では、下記のユダヤ語に関してHandbook of Jewish Languagesにおける記事をもとにして、参加者による発表と意見交換を行う。後期の後半では、参加者が既習の言語も考慮に入れながら、ヘブライ語聖書のユダヤ諸語への翻訳を比較しながら読解する。

【ユダヤ諸語の例】ユダヤ・アムハラ語、ユダヤ・アラビア語、ユダヤ・アラム語、ユダヤ・ベルベル語、ユダヤ英語、ユダヤ・フランス語、ユダヤ・グルジア語、ユダヤ・ギリシャ語、ユダヤ・ハンガリー語、ユダヤ・イラン系諸語、ユダヤ・イタリア語、ジュデズモ語(ラディーノ語、ユダヤ・スペイン語)、カライーム語/クリムチャク語、ユダヤ・ラテンアメリカスペイン語、ユダヤ・マラヤラム語、ユダヤ・オック語(ユダヤ・プロバンサル語)、ユダヤ・ポルトガル語、ユダヤ・ロシア語、ユダヤ・スラブ語、ユダヤ・スウェーデン語、ユダヤ・シリア語、ユダヤ・トルコ語、イディッシュ語(ユダヤ・ドイツ語)


第1回~第2回:ユダヤ語に関する概説
第3回~第9回:Handbookをもとに、「ユダヤ語」に関する学生による発表
第10回~第15回:ヘブライ語聖書のユダヤ諸語への翻訳の比較講読
Evaluation Methods and Policy 通常の講義における議論への参加(50%)、およびレポート(50%)により評価する。
Course Requirements ヘブライ語、ユダヤ教、ユダヤ人の歴史などの知識は一切必要ありません。必要に応じて、教員がその場で教えます。むしろ、参加者の皆さんがすでに学んだ(あるいは今学んでいる)一般のマジョリティ言語(ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、アラビア語、ペルシャ語、ギリシャ語など)の知識を大いに生かして、ヘブライ語を専門に研究している教員と協力しながら、ヘブライ文字で書かれた「ユダヤ諸語」という極めて特殊で面白い言語現象に触れてみたいと思っています。
Study outside of Class (preparation and review) 授業中に指示された論文等(主に英語)を読む必要がある。
Textbooks Textbooks/References プリント配布
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