Introductory Seminar:

Numbering Code U-HUM32 14186 SJ38 Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type seminar
Target Year From 1st to 4th year students Target Student
Language Japanese Day/Period Fri.5
Instructor name YOSHIE TAKASHI (Graduate School of Human and Environmental Studies Professor)
Outline and Purpose of the Course 【日本古代史研究書入門】
1冊の研究書を輪読し、日本の歴史と文化に対する歴史的思考力を高めることを目指す。大学生や一般の人を読者層として想定した、簡易で比較的新しい書籍を取り上げるが、記述の背景を調べ、根拠となっている文献史料の原典を読解することで、記述内容を批判的に検証する。それを通じて、歴史に対する思考力・感覚・想像力を磨くことを目指す。
今期は、藤田勝也著『平安貴族の住まい』を取り上げ、日本住宅史のなかで重要な位置にある寝殿造の特質について考える。
Course Goals 古代・中世の日本の歴史に関して正確で幅広い知識を獲得するとともに、文献史料の原典を自分の力で読解し、提示された学説を吟味して、自分の見解を対置する能力や、歴史像を組み立てるための技術を身につける。
Schedule and Contents 日本の住宅様式として知られている寝殿造。しかし、通説となっている寝殿造の定義には〈虚像〉が多く、〈実像〉はまだ謎につつまれている。会津藩の国学者沢田名垂が寝殿造を定義して以来、左右対称性が寝殿造の特徴と考えられてきた。しかし、平安貴族は決して左右対称性を志向しておらず、貴族住宅のうちで著名な東三条殿からは、寝殿と前庭が一体的な空間をつくっていたこと、『年中行事絵巻』が描く貴族住宅からは、表門から寝殿までの定型化したアプローチがあっことをうかがえる。これらの特徴に、母屋・庇・孫庇・縁といった空間の序列、用途・機能に応じた間仕切り、家具・調度などの配置を加えたあり方が、寝殿造の本質と考えるべきである。そうした寝殿造は、私的な生活空間の充実、廊状空間の活用などを経ながら、江戸時代にまで継承されていった。藤田勝也著『平安貴族の住まい』を輪読しながら、こうした寝殿造の特質の把握に取り組む。あわせて、根拠とされる資料を分析し、内容の可否を検討する。

第1回 イントロダクション
第2回 平安時代の貴族住宅とは(1) 平安貴族の住宅と寝殿造
第3回 平安時代の貴族住宅とは(2) 絵巻物にみる寝殿造の建物の構成と配置/寝殿造の内部空間
第3回 平安時代の貴族住宅とは(3) 平安貴族住宅に通じる建物や復元模型、再現された施設
第5回 寝殿造の通説と問題点(1) これまでの寝殿造の定義
第6回 寝殿造の通説と問題点(2) 「寝殿造は左右対称」という幻想/沢田名垂著『家屋雑考』の「寝殿造鳥瞰図」は誤り
第7回 寝殿造の通説と問題点(3) 「寝殿造鳥瞰図」と復元研究
第8回 寝殿造の本質はなにか(1) 不変的な「型」に本質を見いだす
第9回 寝殿造の本質はなにか(2) 鎌倉・南北朝時代の貴族住宅と室町幕府将軍御所/室町時代の貴族住宅に寝殿不在というのは本当か
第10回 寝殿造の本質はなにか(3) 江戸時代以降の貴族住宅/寝殿造の本質
第11回 平安貴族の住宅の変容(1) 私的空間の充実
第12回 平安貴族の住宅の変容(2) 廊状の空間の重要性が増す
第13回 変容は周辺部にはじまる 会所・座敷飾り・書院造/禅宗寺院建築における変容の実態
第14回 総 括
《期末試験》
第15回 フィードバック
 ※上記の各回の内容は取り上げる書籍の目次による。
Evaluation Methods and Policy 平常点(授業内での報告および発言・50点)と期末試験(レポート・50点)の合計で成績評価する。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review) 授業の進行はシラバスに記載の通りであり、全体の進行をあらかじめ通知するので、各回の輪読個所を読み、また授業内容を想定し、輪読個所の予習をすることが望ましい。
Textbooks Textbooks/References 平安貴族の住まい, 藤田勝也, (吉川弘文館), ISBN:978-4-642-05920-6, (2021年刊行、1700円+税)
PAGE TOP