Introductory Seminar:

Numbering Code U-HUM50 19179 SJ69 Year/Term 2022 ・ Intensive, First semester
Number of Credits 2 Course Type seminar
Target Year From 1st to 4th year students Target Student
Language Japanese Day/Period Intensive
Instructor name KATO MAKOTO (Graduate School of Human and Environmental Studies Professor)
Outline and Purpose of the Course  生物学の最新の知見を得たとして、私たちはどれほど、日本の自然を理解したと言えるだろうか?生物多様性とはどのようなもので、守るべき自然とはどのようなものであるか?この授業では、日本列島弧の自然を概説したのち、日本の陸上生態系で最も生物多様性の高い場所の一つである信州の高原において、実際にフィールド調査を通して、自然や生物多様性を見る視点を涵養することをめざす。
 具体的には、京都大学での簡単な講義のあと、8月に、木曽にある京都大学木曽生物学研究所において、4泊5日の予定で、フィールド調査を主体にした演習を行なう。実験所からほど近い場所に開田高原があり、そこにはきわめて豊かな植生と、清冽な渓流、そして多様な生物群集が存在する。開田高原において、植物・菌類の分類、花と昆虫の共生関係、植物と菌根菌の共生関係、森林の群集構造と動態、渓流の水生昆虫群集、魚やサンショウウオの生態などの調査を通じて、冒頭の問いに対する答えを見いだす。
Course Goals  植物・動物・菌類の分類学・生態学をフィールド実習・調査を通じて紹介することと、ナチュラリストを育てることを目指している。植物や菌類・昆虫などの分類の手ほどきをした上で、それらの生物同士の相互作用や共生関係を観察し、自然が多様な生物の相互関係のネットワークで織り込まれていることを理解する。在来種と帰化種の区別や、自然林と人工林の区別ができるようになれば、自然を保護するための方策についても、提案できるにちがいない。また、フィールド調査における基本的な手法や危険回避の知恵なども習得する。
Schedule and Contents  履修者が決定しだい、日程調整を行なったのち、5月にイントロダクションを、8月に木曽でのフィールド実習・調査を行なう。イントロダクションでは、海も含めた、日本列島の生物多様性の特徴とその現状について紹介を行なう。
 8月に4泊5日で、京都大学木曽生物学研究所において集中フィールド実習・調査を行なう。研究所周辺と開田高原でまず最初に下記のようなテーマの実習を行なう。
1.植物の採集方法、さく葉標本の作製方法、同定方法、生態観察方法
2.昆虫の採集方法、標本作製方法、同定方法、生態観察方法
3.菌類の採集方法、標本作製方法、同定方法、生態観察方法
4.潜葉虫の生存曲線の作成
5.花と送粉者の共生に関する調査方法
6.水生生物の群集調査方法とその解析方法
7.植生調査の方法
 上記の実習を経て、各自がそれぞれのテーマで自由研究を実施する。研究テーマについては、前もって計画を発表し、意見を交換した上で、調査に入る。最終日の報告会で、その成果を発表し合う。
 コロナ禍の状況によっては、オンラインでの実施になる可能性がある。
Evaluation Methods and Policy 実習へのとりくみ姿勢と、自由研究の結果発表で評価する。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review) 常日頃からさまざまな自然に触れて、自然を見る目を養うことを強く薦めたい。陸上生態系の理解には、植物の分類に関する基本知識が必須であり、植物標本を作り、植物の同定能力をつけておくことが期待される。
References, etc. 佐竹義輔ほか『フィールド版 日本の野生植物 木本』(平凡社) ISBN:4582535135 (樹木の同定に役立つ図鑑の決定版)
佐竹義輔ほか『フィールド版 日本の野生植物 草本』(平凡社) ISBN:4582535119 (草本の同定に役立つ図鑑の決定版)
加藤真『生命は細部に宿りたまう―ミクロハビタットの小宇宙』(岩波書店) ISBN:400006276X
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