Introductory Seminar: Social Anthropological Research

Numbering Code U-HUM42 16183 SJ40 Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type seminar
Target Year From 1st to 4th year students Target Student
Language Japanese Day/Period Thu.2
Instructor name Iwatani Ayako (Graduate School of Human and Environmental Studies Professor)
Outline and Purpose of the Course グローバル資本主義の進展により、人間も非人間もすべてが土地から引き離され、貨幣と交換可能な資本に置き換えられ、グローバルな流通を余儀なくされている。均質化していく世界のなかで、不確実な足場しか与えられていない私たちは、いかに異なる動植物と共生する未来を描いていけるのだろうか。本講義ではこの問いに対して、複数種の生の絡まりあいから世界を描く、近年のマルチスピーシーズ人類学の代表的な著作、『マツタケ―不確定な時代を生きる術』(アナ・チン、2019年)を精読しながら考察する。日本人にも身近な菌類であるマツタケをアクターとして、広範な地理空間に及ぶマツタケをめぐる資本と権力のネットワークと人々の応答を通して、現在、そして未来の人類のあり方を省察する。
Course Goals ・人間中心主義的な世界観を批判的にとらえ、動物や植物、もの、情報を含む環境の中で、人も動物も植物も生成している点を理解する。
・資本主義社会におけるマルチスピーシーズ的思考の意義について考察できるようになる。
Schedule and Contents 人間と非人間との関係を考察する文化人類学的文献を購読する。以下、( )内は輪読する教科書『マツタケ―不確定な時代を生きる術』の章のタイトルである。

第1回 講義と講師の紹介
第2回~第3回 人新世に起きている世界変動
 (第1部 残されたもの
   気づく術、染めあう、スケールにまつわる諸問題 幕間:かおり)
第4回~第8回 マツタケをめぐるグローバル・エコノミー 
 (第2部 進歩にかわって
   周縁を活かす 
   オレゴン州オープンチケット村
   戦争譚 国家におこったこと 
   ドルと円のはざま 贈り物・商品・贈り物
   サルベージ・リズム―攪乱下のビジネス 幕間:たどる)
第9回~第12回 マツタケを生む攪乱
 (第3部 攪乱―意図しえぬ設計  
   森のいぶき
   歴史 蘇生
   セレンディピティ 残骸
   科学と翻訳 飛びまわる胞子 幕間:ダンス)
第13回~第14回 潜在的コモンズ
 (第4部 事態のまっただなかで
   まつたけ十字軍 
   みんなのもの 結末に抗って 胞子のゆくえ)
第15回 フィードバック
Evaluation Methods and Policy 授業への出席が前提となる。講義内での受講生の報告(60%)、ディスカッションへの参加状況(40%)で評価する。
Course Requirements 他の人類学に関する講義を同時に受講していることが望ましい。
Study outside of Class (preparation and review) 講義で提起された問いを、関連文献の講読によって深めることが求められる。
授業の進度によっては、映像資料の鑑賞、フィールド演習も実施する。
Textbooks Textbooks/References マツタケー不確定な時代を生きる術, アナ・チン, (みすず書房、2019年)
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