Studies on Postcolonial Thoughts and Cultures A

Numbering Code U-HUM41 26205 LJ31
U-HUM41 26205 LJ36
Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year From 2nd to 4th year students Target Student
Language Japanese Day/Period Mon.2
Instructor name OKA MARI (Graduate School of Human and Environmental Studies Professor)
Outline and Purpose of the Course テーマは「思想としてのパレスチナ」。現代世界に生きる人間の普遍的な思想課題として「パレスチナ問題」を考えます。
20世紀は「難民の世紀」と呼ばれましたが、2021年現在、世界は、空前の大量難民の時代を迎えています。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によれば、故郷を強制的に追われた者の数は世界中で6560万、うち国外難民となっている者は2250万に及びます(その数は年追うごとに増加の一途をたどっています)。Exile(異郷にあること) は、人間にとって《例外状況》でありながら、現代世界においてそれは、この惑星に生きる人間のひとつの――ありふれた――生のありようとなってしまっている。
1948年、パレスチナにおけるユダヤ国家の建設にともなう民族浄化によって、この地に住まってきたパレスチナ人70万人以上が故郷を追われ難民となりました。74年後の現在、国連に登録しているパレスチナ難民だけで500万人以上に上ります。さらに、1967年の第三次中東戦争で東エルサレムを含むヨルダン川西岸地区、ガザ地区も占領され、これら地域の住民たちは、主権がないまま、半世紀以上も「占領」という常態化した例外状況に置かれています。また、「ユダヤ国家」となったイスラエルにとどまったパレスチナ人は、自らのホームランドにいながらにして、祖国の異邦人となってしまいました。パレスチナ人は、パレスチナの内外で、さまざまな形でエグザイルを生きています。
今期は、とくに文学、映画、アートなどの諸作品を導きの糸としながら、ナクバ(ユダヤ国家建国による、パレスチナ人を見舞った民族浄化の悲劇)以来70有余年に及ぶパレスチナ問題の歴史を思想的に辿り、パレスチナ問題を通して、現代世界のありようを問い直します。


Course Goals 以下の諸点について、思想的観点から理解を深める。
・パレスチナ問題とはいかなる問題なのか。
・ヨーロッパにおけるユダヤ人のジェノサイド(ホロコースト)とパレスチナ問題の関係。
・難民的生の実存。
・人間と Homeland の関係性。
・そうした諸問題の考察することを通して、さまざまな思想的問題が、現代世界における今日的諸課題として存在していること。
Schedule and Contents 授業では、「ナクバ」から現代にいたる70有余年のパレスチナ問題の歴史を、通時的に概説します。
各トピックについて1~2回の授業をおこないます。


1.イントロダクション パレスチナ問題の概要
2.ナクバ以前のパレスチナ 
3.ナクバ パレスチナ人の難民化と祖国喪失
4.難民的生1)人が難民となるということ(1948)
5.難民的生2)人が難民として生きるということ(~1967)
6.難民的生3)難民的生から希求されるホームランド(1967~)
7.難民的生4)難民的生の現在(1970~現在)
8.占領1)エルサレム
9.占領2)ヨルダン川西岸地区
10. 占領3)ガザ地区
11. イスラエルのパレスチナ人
12. デァスポラのパレスチナ人

時間が許せば、関連する映画なども適宜、鑑賞の予定。
Evaluation Methods and Policy 平常点と期末レポートから総合的に判断します。詳細は授業で説明します。
平常点は、とくに議論への積極的参加を重視します。しかし、授業では、じゅうぶんな議論をする時間がとれません。PandA の「フォーラム」で、ほぼ毎回、トピックを設定しますので、そこで、積極的に議論に参加してください。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review) 授業ではいろいろな参考文献や映像作品を紹介します。それらを可能な限り、フォローしてください。
また、「成績評価」欄に記載したとおり、ほぼ毎回、PandA の「フォーラム」に、議論すべきトピックを提示しますので、それについて、調べ、自分の意見を述べ、ほかの参加者の意見に応答し、議論してください。
Textbooks Textbooks/References 必要に応じて、適宜、プリント等を配布します。
References, etc. ハイファに戻って/太陽の男たち, ガッサーン・カナファーニー, (河出文庫), 難民的生1)~3)については、カナファーニーの作品を軸に授業をおこないます。
悲楽観屋サイードの失踪をめぐる奇妙な出来事, エミール・ハビービー, (作品社), イスラエルのパレスチナ人については本書を参照します。
アラブ 祈りとしての文学, 岡 真理, (みすず書房), 本書所収のパレスチナ文学に関するいくつかの章を参照します
世界文学への招待, 宮下志朗、小野正嗣, (放送大学教育振興会), アラブ文学、パレスチナ文学の章を参照します
ガザに地下鉄が走る日, 岡 真理, (みすず書房)
シャティーラの記憶, 川上泰徳, (岩波書店), ナクバ~難民的生1)~4)の参考文献です
シャティーラの4時間, ジャン・ジュネ, (インスクリプト), 難民的生4)の参考文献
エドワード・サイードのパレスチナに関わる諸文献。
参考文献は多岐にわたります。文学作品に関しては、英訳作品も多数、あります。
授業で適宜、指示しますので、可能な限り読んでください。
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