Seminar of Social Anthropology A

Numbering Code U-HUM42 26144 SJ40 Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type Seminar
Target Year From 2nd to 4th year students Target Student
Language Japanese Day/Period Wed.4
Instructor name Iwatani Ayako (Graduate School of Human and Environmental Studies Professor)
Outline and Purpose of the Course アメリカ北西海岸部で行われてきた、相手を圧倒させるほどの返礼で相手の面子をつぶし、自らの威信を高めるポトラッチは、儀礼を通して社会全体に財を流通させる「競覇型の全体的給付システム」(モース)である。ポトラッチのさなかでは、競合者をしのぐために、究極的には財の破壊や蕩尽が生じることもある。ここでは財そのものより、その破壊によって得られる名声や威信という価値が重視される。こうした蕩尽的行為は、ポトラッチのみならず、異なる社会環境でも指摘されてきた。本授業では、内戦の影響と資本主義化にともなう消費熱のさなかで拡大するコロンビアの美容整形について描いた、マイケル・タウシグの『美女と野獣』を蕩尽のひとつの事例としてとらえ、蕩尽という行為の通文化的な意味について考察する。
Course Goals ・消費行動の背後にある暴力性と価値の創出について理解できるようになる。
・蕩尽という行為がどのような社会的な背景で生じるのか、考察できる。
Schedule and Contents 『美女と野獣』(マイケル・タウシグ)を精読するが、その際に必要となる文献と合わせて購読を進める。(6日以降の授業計画は、『美女と野獣』の章立てに沿っている)

1. 講義と講師の紹介
2. マルセル・モースを読む(1)贈与論(序章、第1章)
3. マルセル・モースを読む(2)気前のよさと名誉(贈与論第2章)
4. ジョルジュ・バタイユを読む(1)対抗的贈与(「ポトラッチ」)
5. ジョルジュ・バタイユを読む(2)消費の概念
6.『美女と野獣』を読む(1)神々からの贈与、エル・メヒカーノ
7.『美女と野獣』を読む(2)見たこともない素敵な鳥が飛んでいる、くまのプー
8.『美女と野獣』を読む(3)支出、クール
9.『美女と野獣』を読む(4)デザイナースマイル、デザイナーボディ
10.『美女と野獣』を読む(5)神話大戦、美と切除、爆発する乳房
11.『美女と野獣』を読む(6)仮想大学、美の歴史
12.『美女と野獣』を読む(7)靴の歴史、地下世界の外科医たち
13.『美女と野獣』を読む(8)デザイナーネーム、無法地帯の法
14.『美女と野獣』を読む(9)タブーな割れ目、太った子どもと悪魔
(15.フィードバック)
Evaluation Methods and Policy 授業への出席が前提となる。授業での討論への貢献度(50%)、文献報告(50%)によって総合的に評価する。
Course Requirements 他の人類学に関する講義を同時に受講していることが望ましい。
Study outside of Class (preparation and review) 各自が担当章以外の章も購読すること。
担当する文献については、書かれている内容の背景となる理論や用語についてもできるだけ把握し、レジュメを用意すること。
Textbooks Textbooks/References 美女と野獣, マイケル・タウシグ, (水声社)
社会学と人類学Ⅰ, マルセル・モース, (弘文堂)
呪われた部分, ジョルジュ・バタイユ, (二見書房)
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