History of Education

Numbering Code U-HUM11 31122 LJ32
U-HUM11 31122 LJ47
Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year 3rd & 4th year students Target Student
Language Japanese Day/Period Wed.2
Instructor name ISHIOKA MANABU (Graduate School of Human and Environmental Studies Associate Professor)
Outline and Purpose of the Course  近代社会において、学校は人間形成・育成の場として大きな期待をかけられてきたと同時に、その育成の結果としての人間の評価(学歴・資格の認定を含む)、そしてそれを媒介とした社会的地位配分の正当化装置としても極めて重要な機能を果たしてきた。
 明治期以降の日本社会において、後者の機能を担保してきたものは、言うまでもなく試験である。しかし同時に、試験は、当事者である児童・生徒・学生らにとっては忌み嫌われるものであり、また社会的には常にそのあり方が批判にさらされ幾度となく「改革」の対象とされてきたものでもある。こうした試験に対するアンビバレンスは、試験及第の結果として付与される学歴への毀誉褒貶とも連動している。
 いったい、人々は、一方で試験にいかなる期待と信頼を寄せ、他方で試験にいかなる批判と不信を抱いてきたのであろうか。そして、なぜ人々はそれほどまでに試験にこだわり続けるのであろうか。この問題を考えていくことは、近代日本社会における能力観、教育観、人間観を明らかにしていくことであり、人間形成の歴史研究において重要な問いであると言える。
 以上をふまえ本講義では、近代学校システムが有する社会的機能の一つである「選抜」(能力主義を原理原則とする社会的地位配分)のありようについて、近代日本において常に重要なトピックであり続けてきた学校の「試験」に照準し、明治期から高度成長期までの注目すべき4つの局面に焦点を当てて解説する。
Course Goals ・近代日本という社会的・歴史的文脈の中で、学校教育システムの「選抜」機能が具体的にどのように受容・展開されてきたのかを理解する。
・試験への評価に関する言説上のコンフリクトを把握し、そこにあらわれた能力観・教育観・人間観の複数性とそのせめぎ合いのありようを理解する。
Schedule and Contents  基本的には以下の計画に沿って講義を行う。ただし、受講生の理解の状況によっては、変更を加えることがあり得る。以下に、各回のテーマとキーワードを示す。

1.イントロダクション

2-5.明治期小学校における試験
 「立身」のための学校、進級制、資格試験と競争試験、試験への批判、就学率、学級制、卒業式の誕生、国民教育

6-8.1920年代の中等学校入試改革
 義務教育皆卒業の達成、「進路問題」の発生、教育と「科学的測定」、入試改革(メンタルテスト、筆記試験の廃止、内申重視、抽籤)

9-10.1950年代の大学入試における進学適性検査の導入と廃止
 進学適性検査、心理学者、受験産業、「練習効果」、努力主義

11-13.1960年代「高校全入運動」の帰結
 高校進学率の急増、高度経済成長、多元的能力主義、受験準備教育の外部化、高校の一元的序列化、「受験戦争」

14.総括
 授業全体の振り返り、総括

15.フィードバック(方法について別途連絡する)
Evaluation Methods and Policy  学期末レポート(50%)、中間レポート(30%)、平常点(20%)を総合し、成績評価を6段階で行う。平常点は授業への参加態度、コメントの内容等によって評価する。
 なお、レポートの提出、授業の出席は必要条件であっても十分条件ではない。
Course Requirements 3回生以上
Study outside of Class (preparation and review)  好事家趣味的な「歴史」への興味ではなく、様々な要因・条件によって変化する社会のダイナミズムに興味・関心を持ってほしい。そのために、狭い意味での「教育」だけにとどまらない、社会・文化現象についての興味・関心を養ってもらいたい。
Textbooks Textbooks/References  授業中に資料プリントを配布する。
References, etc.  
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