反応動力学II
Numbering Code | G-SCI41 57008 LJ60 | Year/Term | 2022 ・ First semester |
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Number of Credits | 2 | Course Type | Lecture |
Target Year | Master's students | Target Student | |
Language | Japanese | Day/Period | |
Instructor name | SUZUKI TOSHINORI (Graduate School of Science Professor) | ||
Outline and Purpose of the Course | 化学反応は、原子分子衝突によって起こる二分子反応と光励起によって起こる光化学・単分子反応に大きく分かれます。本講義では主に後者を取り上げて講述します。化学反応は量子論に従いますが、極短光パルスによって分子の量子状態をコヒーレントに励起すると量子状態の重ね合わせ(非定常)状態が形成され、波束は電子状態のポテンシャル面上で古典粒子が転がるように運動し、ポテンシャルの交差点や近接領域において電子状態間を乗り移ります。超高速分光と量子波束運動の観測は、現代の化学反応論の発展に大きな役割を果たし、今日でも中心的な研究手法となっています。本講義では光と分子の相互作用、電子状態の変化、電子運動と振動運動の相互作用、超高速分光による実験手法などについて基礎的な事項を学習し、フェムト秒領域の反応動力学について理解を深めます。 | ||
Course Goals | 学部段階の量子化学の知識の上に、光化学反応を理解する上で必須の知識を習得します。分子の電子状態、振動運動、光吸収過程、電子状態間の遷移などについて最重要の基礎概念を理解し、時代と共に変化する先端研究においても変わらず要求される基礎的事項について習得します。 | ||
Schedule and Contents |
だいたいの流れは以下の様なものを考えていますが、進めながら調整します。 1. 量子力学と波束 ① 時間を含むSchroedinger方程式 ② 非定常状態 ③ 自由粒子 ④ 物理量の時間発展 ⑤ 光パルスの分散 2. 調和振動子 ① 昇降(生成消滅)演算子 3. 電磁波を記述する方程式 ① Maxwell方程式 ② 真空を伝搬する電磁波の式 ③ 電磁場のエネルギー ④ 電磁場の量子化 ⑤ 電磁場中と荷電粒子の相互作用 4. 時間を含む摂動論 ① 摂動解の表現 ② 遷移強度とFermiの黄金則 5. 光と分子の線形相互作用(吸収と放出) ① 一光子過程と双極子近似 ② 時間に依存した量子力学によるスペクトルの解釈 6. ポテンシャル面の交差と非断熱遷移 ① Born-Oppenheimer近似 ② 非交差則と円錐交差 ③ 非断熱遷移の遷移確率 7. Jablonski図と種々の緩和過程 ① Jablonski図 ② 内部転換と項間交差 ③ IVR ④ Step-Ladderモデル ⑤ El-Sayed則 8. 電子スペクトルと振電相互作用 ① 許容遷移と禁制遷移 ② 振電相互作用 9. レーザー光と波長変換 ① 非線形光学過程のあらまし ② 位相整合 ③ 第二高調波発生 ④ 自己収束と自己位相変調 10. 各種の超高速分光・イメージング ① 光電子分光 ② 可視紫外過渡吸収分光 ③ 赤外過渡吸収分光 11. 極端紫外光、X線、電子線パルスを用いた実験 |
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Course Requirements | None | ||
Study outside of Class (preparation and review) | 学部段階での基本的な量子化学の知識について不足していると感じる人は、復習しながら学習すると良いと思います。 |