サービス・イノベーション特論

Numbering Code P-MGT75 60472 LJ44 Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year Target Student
Language Japanese Day/Period
Instructor name MAEGAWA YOSHIKAZU (Graduate School of Management Program-Specific Professor)
Outline and Purpose of the Course サービス産業におけるイノベーションの成立と進行について調査・論考する。サービス現場における相対する概念を5組、導入する(フロントステージvsバックステージ、 おもてなしvsサービス設計、サービスマネジメントvsコンテンツデザイン、衛生要因vs動機付け要因、その他)。受講者はそうした概念のひとつひとつで実際のサービス現場を分析する。その方法は、各現場において、理論構想、定性的方法ま、定量的方法、あるいはそれらの組合せとする。こうした調査分析を通じて、新たなイノベーション実践に資する着想を得ることを目的とする。

  
Course Goals 経営学はそもそも製造業を対象に構築してきた学問であり、サービス業に対応させるためには、まったく新しい理論体系を構築すべきであるとするのは自然である。一方で、従来の考え方から連続的にサービスを志向するならば、次の3つの点で有利である可能性もある。
 第一に、特に我が国の特殊事情として、かつて隆盛を極めた製造業からサービス業へのシフトが喫緊の課題であるならば、これまでの製造を前提とした経営学を見直すことが重要なテーマとなりうる。第二に、サービス・ドミナント・ロジックの指摘を待つまでもなく、製造業にもサービス要素があり、サービス業にもものづくりのフェーズが備わっているものも多い。両者の間には明瞭な境界があるわけではなく、連続的に変化する割合の中で、どちらに比重があるかで製造業かサービス業かが分かれるという主張にも説得力がある。第三に、いずれの業態にせよ、結局のところ現在求められているのは、イノベーションであると想定することにも妥当性がある。
 以上の観点を踏まえつつ、本講義ではサービス産業におけるイノベーションの成立と進行について調査・論考する。その際、必要に応じて製造業との対比を試みるが、そのねらいは2つ。第一に、わが国の産業を牽引して来た製造業での経営のノウハウを、次代を牽引するサービス業にも適応できる可能性を探ること。第二に、より焦点を絞って、イノベーションのあり方について、製造業(技術経営またはMOT:Management Of Technology)とサービス業(たとえばMOS:Management Of Service)とでどのように異なり、どのように似ているのかを考察する。
Schedule and Contents 以下は2017および2018年度の実績であり、2019年度向けには更新する予定。

それぞれのテーマに沿ったモジュールを、以下のような構成とする。
第1時限相当:テーマの理解(文献または講義)
第2時限相当:現実と対比させた論考(レポート作成) (例:理論の理解1ページ、現実との対比2ページ以上)
第3時限相当:論考をもとにしたディスカッション(それぞれ下記の日付にて)
(Face To Faceは第3時限だけで、それ以前に、次週で第1、2時限分を「自習」で済ませていることが前提)

各モジュールで扱うテーマ(案)は下記のとおり。

 (モジュール1) 
  ・パズル理論 知恵の輪型 vs ジグソーパズル型
         第1時限のための文献
         http://www.jaba.jp/category/select/pid/10481

         さらに学習するなら
         http://www.hakutou.co.jp/book/b113352.html


 (モジュール2) 
  ・衛生要因 vs 動機付け要因
         ネガティブ要因の排除 vs ポジティブ要因の創出
        (モチベーションに関する2要因理論の、サービス分野や
         観光分野への適応可能性を探る)
 このモジュールのための事前課題は添付PDF2種
 レポート作成時の問題意識
 ・2要因理論のサービス分野への適用可能性
 ・ネガティブ要因の排除で思考停止している例の列挙
 さらに学習するなら
         「新・観光立国論」デービッド・アトキンソン

 (モジュール3) 
  ・フロントステージ vs バックステージ
          顧客から直接見えるところでの価値の付加 vs 
  顧客から見えない部分での価値づくり
          (典型的には、フロントがサービス部分で、バックが
   製造部分と考えられるが、さらに深めて考察する)
  ・おもてなし vs サービス設計
          日本的・属人的・長期的 vs 西洋的・制度的・短期的
          (典型的には、高コンテクスト vs 低コンテクストと
   考えられるが、さらに深めて考察する)

 (モジュール4) 
  ・イノベーション理論のサービス分野への適用
   以下の理論をサービス分野に拡張して思考する
     創造的破壊
    破壊的イノベーション
    持続的イノベーション

 (モジュール5) 
  ・総括課題と議論

Q1 コモディティ化の本質とは何か?
製造業とサービス業との対比も含めて議論せよ。

Q2 労働生産性の本質とは何か?
製造業とサービス業との対比も含めて議論せよ。

Q3 価値競争と顧客(商品提供先)サイズとの関係を考察せよ
製造業とサービス業との対比も含めて議論せよ。

その他のテーマ(トピックス)候補 デザイン思考、リードユーザー、経験価値・・
Evaluation Methods and Policy テーマ5つのレポート 100%
原則として授業の欠席、早退、遅刻は認めない
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review) 5つのモジュールごとに要求されるもの。
・課題リーディング
・課題参考書に関するレポート作成と提出
・レポートの授業での発表
・授業後のレポートへの加筆
References, etc. Frei Frances and Anne Morriss (2012) Uncommon Service: How to Win by Putting Customers at the Core of Your Business,
     Harvard Business Press. (池村千秋訳 (2013) 『ハーバード・ビジネススクールが教える 顧客サービス戦略』日経BP社)
Herzberg, F. (1966) Work and the Nature of man, World Publishing. (北野利信訳 『仕事と人間性―動機づけ-衛生理論の新展開』
     東洋経済新報社)
Teboul, J. (2006) Service Is Front Stage, Palgrave Macmillan (小山順子, 有賀 裕子訳 (2007) 『サービス・ストラテジー』
     ファーストプレス)
Vargo, S. L. and Lusch, R. F. (2004) “Evolving to a New Dominant Logic for Marketing,” Journal of Marketing, Vol.68, pp.1–17.
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