環境経営

Numbering Code P-MGT75 60125 LJ44 Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year Target Student
Language Japanese Day/Period Sat.2・3
every 2 weeks
Instructor name ISHIHARA KATSUJI (Graduate School of Management Practicing Professor, Professional Graduate School)
Outline and Purpose of the Course ビジネスにおいて、環境問題等に係る社会的責任(CSR)は、一層重要となっています。しかしながら、企業経営はボランティア活動ではありません。社会的責任と経済活動を同軸で考え、これらの両立を図る経営が求められます。そして、企業にとっては、環境問題と関連する新たなビジネスチャンスも生まれていることにも留意すべきです。本講義では,CSRに関連する理論や理念を紹介し、ビジネス実務にCSRの考え方を組み込むための枠組みについて事例を用い示します。また、企業が直面する環境問題を中心に取り上げ、CSRに係る課題や取り組み事例を説明し、先人の成功と失敗事例について考察することで、受講者が環境問題等に係る企業のCSR活動に関して自らの考えを整理することを目的とします。
Course Goals 1.企業活動において直面する多様な環境課題の概要を知り、知見を拡げる。
2.国内外で企業の社会的責任(CSR)という概念が広く認知されるようになり、昨今ではCSV、SDGs、ESGなどの概念や活動が提唱されている。これらの社会的責任に係る基本概念や関連する基礎的事項を理解する。
3.それぞれの受講者が、環境課題を中心に、企業の社会貢献,国際貢献のあり方について、自らの考え方や哲学を形作る(あるいは、そのヒントを得る。)
4.課題のペーパー作成を通じて、感想文型のレポートではなく、ビジネス実務で認められるレポートの作成能力を習得する。
Schedule and Contents 本講義は以下の構成を予定します。(各回のテーマについては、受講者数に応じて、若干の入れ替え変更の可能性がある。
第1回(4/9 土2) イントロダクション
本講義のシラバスに沿って、講義内容の概要,目的,趣旨、採点方法などについて説明する。人類そして企業が直面する環境課題を概説し、企業の社会的責任や環境経営について考える上で参考となる人新世に関連する考え方などについて紹介する。
予習課題:なし。以降のリーディングアサインメントについて説明。
第2回(4/9 土3) 生物多様性とビジネス
「自然資本」、「ミレニアム生態系評価」など、生物多様性に関連する基礎的なトピックについて概説する。ビジネスによってもたらされる生物多様性の危機、そして企業の生物多様性の保全に向けた取り組みを紹介する。また、生物多様性を持続的に利用するビジネスの在り方について例示する。
予習課題:なし。
第3回(4/23 土2)CSRの概念,歴史,現状/CSV(Creating Shared Value)
CSRの概念と歴史、その変遷と現状を考察し、日本におけるCSRの普及過程を説明する。また、企業の社会的貢献と利潤追求を両立させるCSVについて、基礎を提供する理論的な枠組みを提示する。
予習課題:リーディングアサインメント【第3回講義分】の精読
第4回(4/23 土3)Purpose 経営/SDGsの概要
Purpose 経営の概念や取り組み事例を紹介し、企業が環境分野における社会貢献に関して、Purpose 経営の考え方を採り入れる可能性を考察する。また、SDGsの概念、歴史、及び取り組み分野の概要について説明する。
予習課題: リーディングアサインメント【第4回講義分】の精読
第5回(5/7 土2)SDGs実践に係る課題/環境貢献の計測
小レポート課題を用いて、ビジネスにおけるSDGsの必要性について、議論する。環境会計など、ビジネス活動における環境貢献を計測する仕組みを紹介し、その有効性について考察する。
予習課題:小レポート課題(SDGsについて)
第6回(5/7 土3)社会的責任投資SRI・ESG
社会的責任投資からESG、そしてインパクト投資へと展開を見せてきた投資に係る社会的責任の考え方について、概念と変遷の歴史を解説する。
予習課題:なし
第7回(5/21 土2)情報開示・統合報告書・格付け
自社の社会貢献に係る情報を適切に開示する取り組みが重要となっており、CSRに関する情報開示の内容・方法の変遷について説明する。また、CSR格付けの特徴を紹介し、小レポート課題に基づき議論する。
予習課題:小レポート課題(格付け改善策について)
第8回(5/21 土3)廃棄物、省資源
廃棄物や省資源に関して、企業を中心とした取り組みの概要とその成果を紹介する。加えて、現状のリサイクルビジネスの具体例を説明し、リサイクルに係る課題を考察する。アスベスト健康被害を生じた企業不祥事のケースを紹介し、議論する。
予習課題:リーディングアサインメント【第8回講義】の精読
第9回(6/4 土2)気候変動リスクとビジネス
人間活動を主因とする地球温暖化の現状を概説し、地球温暖化によって顕在化する気候変動リスクの内容や影響規模などを、企業活動へのリスクを中心に具体的事例を交えて説明する。二酸化炭素排出削減という直接的対策と、気候変動への適応策について比較する。
予習課題:リーディングアサインメント【第9回講義】の精読
第10回(6/4 土3)カーボンニュートラル・脱炭素経営
近年、地球温暖化対策として注目され、取り組みを始める企業が増えるカーボンニュートラル、脱炭素経営に関して、事例を踏まえ説明する。併せて、カーボンニュートラルの課題について考察する。
予習課題:リーディングアサインメント【第10回講義】の精読
第11回 (6/25 土2)土壌汚染、リスクコミュニケーション
ビジネスに深刻な影響をもたらす土壌汚染に係るリスクについて論じる。土壌汚染に係る企業の不祥事に関して、都心再開発事例を紹介し議論する。ブラウンフィールドの有効活用や、土壌汚染リスクを対象にしたビジネスを紹介する。
予習課題:リーディングアサインメント【第11回講義】の精読
第12回 (6/25 土3)環境不動産
地球環境問題の深刻化が指摘されるなかで、持続可能な社会の実現に向けて、不動産についても環境への配慮が求められている。環境不動産(環境問題に配慮する不動産)に関する企業の取り組みの動向と事例を紹介する。
予習課題:期末レポート課題中間報告(環境SDGsに係る新規企画提案)第10回に詳細を示す。
第13回 (7/9 土1)CSR調達、エコ物流、エコマーケット
企業が,価格だけではなくCSRを重視しながら物品を調達するCSR調達は、サプライチェーンマネジメン
トにおいて重要なテーマとなっている。講義では、関係する周辺トピックとして、各種認証制度やエコ物流なども取り上げ説明する。エコプロダクツ、エコサービスなど、環境課題をビジネスにする事例を紹介し、その特徴を考察する。
予習課題:リーディングアサインメント【第13回講義】の精読
第14回(7/9 土3)総括
期末レポート課題(環境SDGsに係る新規取り組み提案企画書)発表と発表内容に関する議論を行う。一連の講義の総括として、環境倫理に関する話題を提供し、考察する。
予習課題:期末レポート課題(環境SDGsに係る新規企画提案)第10回に詳細を示す。
第15回(7/23 土)フィードバック
期末レポート課題等に関するフィードバックを文書で行う。
Evaluation Methods and Policy (1)小レポート (2回×20%=) 40%
課題について、A4版本文2~3ページ(資料添付可能)の作成。論理性,展開力,洞察力などにより評価。提出ペーパーについては,各回,ペーパーにコメントを書き込み,フィードバックを行う。
予定課題:
① 業界中堅企業●●の環境担当の立場にあると仮定し、自社の環境分野におけるSDGs 推進について考え方(賛否)を整理すること。
② ●●業界でCSR格付けが低位の○○社CSR担当課長の立場にあると仮定し、格付け改善策を提案すること。
(2)期末レポート 40%
課題の企画書を執筆する。アイデアの新規性,論理性,調査内容などで総合的な評価を行う。コメント付きペーパーを返却することにより,フィードバックを行う。
予定課題: ●●会社のCSR担当課長の立場にあると仮定し、社長から新しいCSR活動の企画立案を依頼さ
れたという設定で企画書を作成する。
(3)クラスへの貢献度 20%
議論への参加度,その質により評価。
議論とレポートにおけるロジック、独自性,独創性を重視した評価とする。受講者の考えが、採点者の考え方と一致しているか否かは評価の対象としない。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review) レポート課題以外に、適宜、次回授業で議論する内容に関連したリーディング・アサインメントを課します。
復習は、興味ある分野があれば参考図書を読むことを推奨します。
Textbooks Textbooks/References 毎回、講義パワーポイント資料、参考資料を配布します。
References, etc. 人新世の「資本論」, 斎藤幸平, (2020), ISBN:ISBN978-4-08-721135-1, 2021年新書大賞。(深堀したい学生は「生命の網のなかの資本主義」J.W.Moore, 2021)
持続可能な発展の経済学, H.E.デイリー, (2005), ISBN:ISBN4-622-07174-6
SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは? 17の目標ごとの説明、事実と数字 | 国連広報センター (unic.or.jp), 国際連合広報センターwebサイト
カーボンニュートラルの経済学, 小林光、岩田一政, (2021), ISBN:ISBN978-4-532-35904-1
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