8231005Philosophy and History of Science (Special Lectures)

Numbering Code G-LET32 68231 LJ34 Year/Term 2022 ・ Second semester
Number of Credits 2 Course Type special lecture
Target Year Target Student
Language Japanese Day/Period Thu.2
Instructor name IIDA YUTAKA (Part-time Lecturer)
Outline and Purpose of the Course  「新しい○○が△△を変える」という言い回しが、世の中にはいろいろとある。たとえば、Twitterが政治を変える、ビッグデータが経済を変える、AIが仕事を変える、オンライン授業が教育を変える、マッチングアプリが恋愛を変える、メタバースがコミュニケーションなど、とくにデジタルメディアに関する事例は枚挙にいとまがない。それにともなって、新聞やテレビなどが伝える情報を批判的に読み解くという意味でのメディア・リテラシーだけでなく、インターネットを基盤とするデジタルメディアが遍在する社会を生き抜くための素養を身につけることが、小学校から大学にいたるまで、教育の現場で重視されるようになってきた。
 もっとも、新しいメディアの「新しさ」を深く追究しようと思えば、結局のところ、古いメディアとの比較を避けて通ることはできない。新しいメディアをめぐるさまざまな現象に興味をもち、積極的に解釈や分析を積極的に試みることは重要だが、同時に、目の前で起こっていることを近視眼的にとらえるのではなく、過去の事例から学び、現在にいかす思考を身につけることが望ましい。
 したがって、メディアについて理解するうえで、技術史の思考法はきわめて有用である。電話やラジオ、テレビが日常生活と不可分に結びついた20世紀を経て、インターネットやスマートフォンが普及した現在、メディアと人間、あるいは技術と社会の関係はどのように変わってきたのだろうか。この授業では、われわれの日常に根ざしたさまざまなメディア技術の成り立ちに目を向け、その将来までを展望する。
Course Goals  近代社会におけるメディア・コミュニケーションの発展が、どのようにして技術的に実現されてきたのかを理解し、それを適切に説明できるようになる。
 「メディア」と「技術」の相互関係に対する理解を深め、それを適切に説明できるようになる。
 メディアの技術変容と不可分に関わりながら発展してきたメディア論の基礎的な思考法を理解し、それを適切に説明できるようになる。
Schedule and Contents 基本的に以下のスケジュールにもとづいて講義を進める。ただし、講義の進捗状況や受講者の理解度などを踏まえて、若干の変更もありうる。

第1回 イントロダクション:メディア技術史とは何か
第2回 技術としての書物:紙の本 VS 電子本への古くて新しい回答
第3回 写真はどこにあるのか:イメージを複製するテクノロジー
第4回 映画の歴史を巻き戻す:現代のスクリーンから映像の幼年時代へ(①光学装置の開発と視覚理論の発展)
第5回 映画の歴史を巻き戻す:現代のスクリーンから映像の幼年時代へ(②初期映画)
第6回 音楽にとっての音響技術:歌声の主はどこにいるのか
第7回 声を伝える/技術を楽しむ:電話・ラジオのメディア史(①電信と電話)
第8回 声を伝える/技術を楽しむ:電話・ラジオのメディア史(②ラジオ)
第9回 テレビジョンの初期衝動:「遠く(tele)を視ること(vision)」の技術史 (①電子式テレビジョン)
第10回 テレビジョンの初期衝動:「遠く(tele)を視ること(vision)」の技術史 (②機械式テレビジョン)
第11回 ローカルメディアの技術変容:ミニFMという実践を補助線に(①初期CATVの考古学)
第12回 ローカルメディアの技術変容:ミニFMという実践を補助線に(②ポストメディアとしてのミニFM)
第13回 文化としてのコンピュータ:その「柔軟性」はどこからきたのか
第14回 開かれたネットワーク:インターネットをつくったのは誰か
第15回 誰のための技術史?:アマチュアリズムの行方
Evaluation Methods and Policy レポート(60点)、平常点(40%)により評価する。
レポートについては、メディア技術史に関する基礎的な知識に加えて、メディア論の思考法について、総合的な理解ができているかどうかを評価する。事象を論理的に説明できているかどうか、要領よくまとめて書けているかどうか、自分の考えを述べることができているかどうかを重視する。
平常点については、コミュニケーションペーパーの提出を求め、その内容にもとづいて参加状況の評価をおこなう。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review) 授業前に教科書の該当部分を一読しておいてください。また、授業で使用するプリントは事前に配布することがあるので、当日までに一読しておき、忘れずに持参してください。
Textbooks Textbooks/References メディア技術史:デジタル社会の系譜と行方[改訂版], 飯田豊編著, (北樹出版、2017年), ISBN:978-4-7793-0532-0
References, etc. 新版 メディア論, 水越伸・飯田豊・劉雪雁, (放送大学教育振興会、2022年), 2022年3月刊行予定。
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