1330001Japanese Language and Literature (Special Lectures)

Numbering Code G-LET10 61330 LJ36 Year/Term 2022 ・ Year-round
Number of Credits 4 Course Type special lecture
Target Year Target Student
Language Japanese Day/Period Mon.2
Instructor name KAWAMURA EIKO (Graduate School of Letters Associate Professor)
Outline and Purpose of the Course 俳諧は、俳句の源流とされる短詩型文芸である。近世初期、俳諧は文学ジャンルとして確立し、以来、急速な成熟と変容を遂げた。そのような俳諧史の変革に最も意識的に与した人物に、芭蕉がいる。芭蕉は、同時代より近現代に到るまで日本文学史上の重要人物とされており、文学・文化・思想における影響力は甚大である。本講義では、最新の研究状況を踏まえ、その文学的特性や表現上の妙味について実践的に把握することを目指す。
 前期は、まず、近世前期の俳諧史・書物史の展開について、具体的な作品・資料に基づきつつ講義する。その上で、芭蕉作品をいくつか取り上げて精読する。作品の生成過程を吟味しつつ、関連資料の運用方法を学びながら、一字一句に込められた作意を繙くことで、作品を実証的に解釈する手法を身につける。
 後期は、近世文学研究を行う上で重要な資料であり、芭蕉の作品とも分かちがたく結びつく書簡資料を取り上げる。書簡資料を扱う上での入門的な講義を行った上で、芭蕉書簡の読解に取り組む。内容に関連する芭蕉の作品や、伝記上の問題、俳壇状況、芭蕉の思想・人間性など、俳諧史の諸問題と併せて解説し、芭蕉の文事を史的動態の中に位置づける。
 芭蕉は、文学作品・書簡を含めた「ふみ」の持つ力について、きわめて意識的な人物として特筆される。本講義の主体的な受講を通して、文学および文学研究の意味について、各自が考察を深めることを期待する。
Course Goals 近世前期から中期にかけての俳諧史と、諸派の俳諧の特性を把握し、その動態の中で、芭蕉文学の特性を説明できるようになる。芭蕉作品の生成過程の諸相を理解し、関連資料を適切に運用しつつ、作品を精密に読解できるようになる。くずし字の読解能力を身につけ、俳諧作品や書簡資料を読解できるようになる。テキストにおける良質な問題点を自ら発見し、それを実証的方法によって解決できるようになる。
Schedule and Contents 1. イントロダクション
2. 俳諧史(1)俳諧之連歌
3. 俳諧史(2)貞門俳諧
4. 俳諧史(3)談林俳諧
5. 俳諧史(4)貞享期の俳諧
6. 俳諧史(5)元禄俳諧
7. 俳諧史(6)俳書の変遷
8. 芭蕉概説
9. 『笈の小文』精読(1)伊賀上野
10.『笈の小文』精読(2)伊勢
11.『笈の小文』精読(3)吉野
12.「幻住庵記」精読(1)冒頭
13.「幻住庵記」精読(2)眺望と庵住生活
14.「幻住庵記」精読(3)末尾
15.「幻住庵記」精読(4)俳文生成の諸問題・前期のまとめ
16.書簡資料概説
17.往来物読解(1)往信
18.往来物読解(2)返信
19.貞門俳人の書簡
20.談林俳人の書簡
21.芭蕉の俳事を支えた人々:智月宛芭蕉書簡(1)前半の精読
22.芭蕉の俳事を支えた人々:智月宛芭蕉書簡(2)後半の精読
23.門人との対話と句作:荊口宛芭蕉書簡(1)前半の精読
24.門人との対話と句作:荊口宛芭蕉書簡(2)後半の精読
25.門人との対話と句作:荊口宛芭蕉書簡(3)芭蕉作品の推敲の諸相
26.新風の探求:去来宛芭蕉書簡(1)前半の精読
27.新風の探求:去来宛芭蕉書簡(2)後半の精読
28.新風の探求:去来宛芭蕉書簡(3)蕉風三変
29.総括
30.フィードバック

授業の進行度や受講者の理解度、新型コロナウイルスの感染拡大状況等によって、内容や順序等を変更する場合がある。
Evaluation Methods and Policy 平常点(30%)、小テスト(20%)、年度末のレポート(50%)による。平常点は、授業への参加度や、毎回提出されるコメント等によって評価する。レポートは到達目標の達成度に基づき評価する。なお、新型コロナウイルスの感染拡大状況により、小テストを課題提出に変更する可能性がある。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review)  版本・写本および書簡資料など文書類の写真を用いるため、くずし字読解への強い意欲が求められる。配付資料の予習・復習はもちろんのこと、不断に古典籍に親しむこと。くずし字を自在に読み解く力を身につけることは、各人の研究活動の幅を広げることとなろう。また、書簡資料に馴染みのない場合、活字化された書簡集を読むなどして書簡の文体に親しむことが、読解能力の向上を支えるであろう。
 俳諧は、和漢雅俗にわたる文化現象を取りこむ文芸であるから、日頃より幅広い読書を心がけることが望ましい。また、授業で扱わない芭蕉作品や、前時代・同時代の俳人の作品についても、積極的に読解を試みてほしい。講義内容を精緻かつ俯瞰的に理解する助けとなるはずである。
Textbooks Textbooks/References プリントを配布する。
References, etc. 俳諧史要, 鈴木勝忠, (明治書院、1973)
このほかの参考書は、適宜授業中に紹介する。
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