1531004History of Chinese Philosophy (Special Lectures)

Numbering Code G-LET12 61531 LJ36 Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type special lecture
Target Year Target Student
Language Japanese Day/Period Thu.2
Instructor name KURAMOTO HISANORI (Institute for Research in Humanities Associate Professor)
Outline and Purpose of the Course  中国初唐の道宣が撰した『続高僧伝』は、南北朝期から初唐にかけての中国仏教史を考える際に最も基本となる史料であり、日本仏教にも大きな影響を与えている。この書は、僧伝にかかわる関連史料の網羅的な収集と各地の実地踏査をもとに幾度も増補改訂がなされ、同種の書に例をみない豊富な内容と版本ごとの大きな異なりを有している。特に日本の寺院が所蔵する古写本は、版本よりも以前の形態を保存しており、近年研究が進み、その増補過程が次第に明らかとなってきている。
 本授業では、『続高僧伝』の各種版本・撰者道宣の伝記について概観した後、主要な僧の伝について、研究史を紹介し、複数の版本を比較検討し、同一人物についての他の史料と比較検討しながら読み進める。それによって、中国仏教史の理解を深め、僧伝の内容にいかに撰者の主観が大きく影響しているかを考えてみたい。なお時間の関係上適宜省略しつつ読み進める。関連する石刻資料があれば現物の写真・拓本なども紹介する。
 基本は講義形式と講読形式を交互に併用して進めるが、進捗状況に応じて柔軟に対応する。講読にあたっては受講者の状況に応じて、一部分の現代語訳担当を御願いする。それが難しい場合はレポート提出とする。
 前期は講義では主に北朝後期から隋代の僧をとりあげ、北周の廃仏と隋文帝の仏教復興政策とインド・西域の仏教との関係について考察する。講読は前年度に引き続き隋の訳経僧、闍那崛多の伝から読み進める。
Course Goals 内容面
一、インド仏教と中国仏教との差異を学ぶ。
二、北朝・隋代の主要な僧の経歴を把握し、隋の仏教復興政策について理解する。
三、僧伝執筆の時代的背景や執筆者の思想的立場を理解する。
四、伝記の記事内容を事実として鵜呑みにせず、相対化する視点を身につける。

技能面
一、僧伝に使用される常套句やロジックに親しみ、仏教漢語読解能力を高める。
二、CBETA・SATなどの電子仏典資料について理解し適切に使用できるようになる。
三、複数の版本を用いた文字の校勘の仕方を習得する。
Schedule and Contents 第1回:『続高僧伝』を読むために必要な基本的資料と工具書
第2回: 『続高僧伝』講義 道宣の略伝・諸版本・訳注レジュメ作成方法の説明
第3回: 『続高僧伝』講義 隋代の訳経僧:那連提黎耶舎・闍那崛多・
                    達摩笈多・彦琮
第4回: 『続高僧伝』講読(1)
第5回: 『続高僧伝』講義:曇延
第6回: 『続高僧伝』講読(2)
第7回: 『続高僧伝』講義:曇遷
第8回:『続高僧伝』講読(3)
第9回:『続高僧伝』講義:浄影寺慧遠
第10回:『続高僧伝』講読(4)
第11回:『続高僧伝』講義:霊裕
第12回:『続高僧伝』講読(5)
第13回:『続高僧伝』講義:智顗
第14回:『続高僧伝』講読(6)
第15回:『続高僧伝』講義:志念
Evaluation Methods and Policy 平常点(授業内での発言・発表状況または小レポート)100%。
Course Requirements 古典漢文読解の基礎的な能力や現代中国語文読解能力があれば望ましいが、
学ぶ意欲のある方であればどなたでも受講を歓迎する

Study outside of Class (preparation and review) 予習:僧伝をあらかじめ下読みしておく。関連する僧伝の現代語訳や書き下し(国訳一切経)各種版本の文字の異同などを調べておく。
復習:講義内容を復習し、疑問等があれば関連する資料を調査し、次回講義時に発表する。
References, etc. 国訳一切経 和漢撰述部 史伝部8,9,10, , (大東出版社), 書の解題と書き下し・簡単な注釈を掲載したもの
大乗仏典 中国・日本篇, , (中央公論社), 『続高僧伝』の何人かの伝記について現代語訳と注を掲載
新国訳大蔵経・『続高僧伝』1, , (大蔵出版), 卷六までの書き下し・簡単な注釈を掲載したもの
その他の参考文献については講義中に随時提示する。
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