6731010Oriental History (Special Lectures)

Numbering Code G-LET24 66731 LJ38 Year/Term 2022 ・ Intensive, First semester
Number of Credits 2 Course Type special lecture
Target Year Target Student
Language Japanese Day/Period Intensive
Instructor name UEDA MAKOTO (Part-time Lecturer)
Outline and Purpose of the Course  人類はいま歴史的な転換点に立っている。地球温暖化に起因する異常気象、COVID-19などのパンデミック、深刻な経済格差、民主主義の機能不全と権威主義の台頭、さらに全人類の人口がまもなく減少に転ずると予測されている。私たちはよりよい一歩を踏み出すために、長期に亘る歴史的な展望を持つ必要に迫られている。
 本講義では展望を得るための方法論として「史的システム論」を提示し、日本が立地する空間軸として「東ユーラシア圏域」を措定する。現在を相対化する時間軸として16世紀から20世紀までを範囲として、下記のトピックを取り上げて検討する。
 ① 明代民間知識人が観た日本
 ② 人口の視点で見た17世紀以降の中国・朝鮮・日本
 ③ ペストをめぐるアジアの歴史
Course Goals 地球全体の歴史を俯瞰する視点(鳥の目)と地域社会の歴史から仰視する視点(虫の目)とを架橋しうる知的な跳躍力を身につけ、自らの思索と実践に活かせるようにする。歴史的に生起するさまざまな事象について、モノ・ヒト・イミの次元から、全体的に分析していく力を養う。
Schedule and Contents 第Ⅰ部(初日)史的システム論と東ユーラシア圏域
 第1回 システム論的な思考法
 第2回 モノ・ヒト・イミの3つの次元
 第3回 東ユーラシア圏域と生態環境
第Ⅱ部(2日目)明代民間知識人が観た日本
 第4回 ヒト(人物)の歴史
 第5回 16世紀の海域アジア
 第6回 明代知識人の諸相
 第7回 鄭舜功『日本一鑑』を読む
第Ⅲ部(3日目)人口から観た17世紀以降の中国・朝鮮・日本
 第8回 歴史人口学的研究の方法
 第9回 18世紀中国の人口爆発はなぜ起きたのか
 第10回 20世紀から現在にいたる中国人口史
 第11回 朝鮮と日本の人口史
第4部(4日目)ペストをめぐるアジアの歴史
 第12回 雲南の風土病から世界的パンデミックになるまで
 第13回 関東軍731部隊による細菌戦
 第14回 戦争における責任について考える
総括
 第15回 人類史上の転換期における歴史学の役割
Evaluation Methods and Policy 評価60%:講義への参画度。講義では質疑応答・討議の時間を多く設ける。これらの機会での積極的な発言や参与を評価する
評価40%:レポート。本講義で展開される方法論に基づいて、各自の問題関心を展開し、レポートにまとめる。
Course Requirements 本講義は担当者(上田信)の特異な歴史観に基づいて展開されるため、事前に下記の教科書・参考書を読んでおくことが期待される。なお、直接に講義に関する部分については、抜粋して事前にネット経由で送付する予定。
Study outside of Class (preparation and review) 事前に送付するテキストを集中講義の前に読了し、質問・コメントができるように準備しておくこと。
Textbooks Textbooks/References 歴史を歴史家から取り戻せ!―史的な思考法―, 上田信, (清水書院、2018年), ISBN:978-4-389-50084-9, 史的システム論を概説しています
岩波講座世界歴史 12巻, 上田信, (岩波書店、2022年近刊), 上田担当の「展望A」で、15~18世紀の東ユーラシア圏域の歴史を取り上げています。
人口の中国史―先史時代から19世紀まで, 上田信, (岩波書店、2020年), ISBN:9784004318439, 本講義と直接関わる箇所は第4章~第6章。なお電子書籍版は間違いが修正されている。
ペストと村:七三一部隊の細菌戦と被害者のトラウマ, 上田信, (風響社、2009年), ISBN:9784894891357, フィールドワークに基づく著作。史的システム論の実践例となる。
講義と直接に関わる部分を抜粋して、事前にネット経由で送付する。事前に読んでおくこと。講義のあとでも構わないが、書籍の全体を読了することが望ましい。
References, etc. 中国の歴史9 海と帝国 明清時代, 上田信, (講談社、2021年), ISBN:978-4-06-522777-0, 学術文庫版。ハードカバー版(2005年出版)の誤りを修正し「あとがき」を加筆。
シナ海域 蜃気楼王国の興亡, 上田信, (講談社、2013年), ISBN:978-4-06-218543-1, 源義満(足利義満)・鄭和・王直・鄭成功などを取り上げる。海域アジア史の列伝。
東ユーラシアの生態環境史, 上田信, (山川出版社、2006年), ISBN:978-4-634-34830-1, モノ(茶葉・銅)から観た東ユーラシア圏域の歴史。
講義のあとに読んでおくことが期待される。
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