Philosophy in the Anthropocene

Numbering Code G-GAIS00 84047 LB34 Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year From 1st to 3rd year students Target Student
Language Japanese and English Day/Period Thu.3
Instructor name SHINOHARA MASATAKE (Graduate School of Advanced Integrated Studies in Human Survivability Program-Specific Associate Professor)
Outline and Purpose of the Course 地震、台風、洪水、山火事、温暖化。これらは自然現象だが、現実に人間生活の条件に影響を及ぼしている。私たちはいったい、何を経験しているのか。この問いを、哲学的に考えること。これが本講義の目的である。起点となるのは「人新世」である。21世紀はじめに提唱されたこの学説によると、産業革命以来の人間活動の積み重ねが、地球のあり方を変えてしまった。農耕革命以来つづいた完新世の時代が終わり、人新世になった。それにともない、2000代後半以降の哲学的な思考は、「人間から遠のく世界」や「人間不在の世界」に向かっている。その代表がカンタン・メイヤスーの『有限性の後で』である。人間不在の世界、人間から離れていて、人間から遠のく世界。たとえ人間が絶滅しても、それでも残ってしまうものとしての世界。ここで問われるのは、人間が自分たちの生存のために形成してきた人為的秩序としての人間世界と相関しない世界であり、この世界ゆえに、自然な秩序とは区別される人為的秩序が、脆く、定まらぬものとして成り立っているという現実である。この現実の変化にともない、哲学的考察のあり方も、根本的に変わらざるをえない。本講義では、ティモシー・モートン、ディペッシュ・チャクラバルティ、カンタン・メイヤスー、ブリュノ・ラトゥールの著作と論文を読み解きつつ、現代の哲学的思考がどのようなものになっているのか、この思考が取り組む現実世界はどのようなものであるかということについて実験的に講義し、参加者と一緒に考えることを目指す。
Course Goals ・現代の哲学的思考の成果物を、人新世、気候変動の状況において生きる人間を考えるためのものとして読解し、そこで言われていることが何であるかを考え、自分なりに理解しようとすることができるようになる。

・ 自分が生きている状況がどうなっているかを筋道立てて考え、そのうえで自分がこれからやろうとすることを導くための価値観や指針を形成できるようになる。
Schedule and Contents 講義は一方通行ではない。質問、発言、ディスカッションとともにおこなう。

第1回 イントロダクション(「人新世の哲学」をめぐって)
第2回 エコロジカルな変容と「人間的尺度」
第3回 エコロジカルな思考とアート:ティモシー・モートンとビョーク
第4回 エコロジカルな共存:モートンの哲学(1)
第5回 ハイパー・オブジェクト:モートンの哲学(2)
第6回 美的領域としてのインターオブジェクティブ空間:モートンの哲学(3)
第7回 人新世と人文学
第8回 人新世における人間の条件
第9回 人新世における破局と連帯
第10回 人新世における時空
第11回 人新世と現代思想:カンタン・メイヤスー(1)
第12回 人新世と現代思想:カンタン・メイヤスー(2)
第13回 人新世と現代思想:ブリュノ・ラトゥール(1)
第14回 人新世と現代思想:ブリュノ・ラトゥール(2)
第15回 まとめ:人新世の未来
Evaluation Methods and Policy レポート。授業中の発言、議論の内容も参考にする。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review) 特にありませんが、アートや音楽の話をすることも多いと思いますので、ときどきギャラリーやライブハウスに足を運んでください。
References, etc. 複数性のエコロジー, 篠原雅武, (以文社)
人新世の哲学, 篠原雅武, (人文書院)
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