日本文化表現論4A

Numbering Code G-HUM35 5J114 LJ36 Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year Master's students Target Student
Language Japanese Day/Period Thu.3
Instructor name MINEMURA SHIZUKO (Part-time Lecturer)
Outline and Purpose of the Course  田澤稲舟が文壇にデビューした明治二十年代後半、近代文学の黎明期に、女性作家たちは批評家たちの興味本位の目にも晒されながら、どのようにして小説を執筆していったのか、彼女たちにとって〈小説執筆〉とは何だったのか、当時の、特に女性作家たちが直面していた諸問題に眼を向けながら、その中での稲舟の文学の特質について多角的に考察する。
 受講生の方々に調査・考察したことをレジュメにまとめて発表してもらい、それを受けての全員での意見交換、授業担当者からの講評、といった過程を通して、近代文学研究の方法を考究する。
Course Goals  明治期の女性作家田澤稲舟の作品を読むことを通じて、稲舟の文学と明治二十年代の文学をめぐる状況についての理解を深める。
 作品の精読方法、先行研究の扱い方、作家の他作品(日記・随筆等も含む)・未定稿・同時代資料・同時代小説等の調査とそれらを作品読解に反映させる方法について、理解する。
Schedule and Contents 1.ガイダンス(授業の目標・概要・受講上の注意事項・成績評価の方法等についての解説)。 レジュメの作成方法、書式・論述の注意事項などについての概説。
2.田澤稲舟についての概説。『文芸倶楽部』掲載、稲舟作品概観。発表の順番を決める。
3回以降は、以下のテーマについて、受講生の発表、それを受けての意見交換、教員からの講評を行う。
3.明治二十年代の文壇と女性作家をめぐる状況(『文芸倶楽部』第一巻第十二編臨時増刊「閨秀小説」を材料として)。
4.明治二十年代の文壇と女性作家をめぐる状況(樋口一葉宛関如来書簡を材料として)。
5.明治二十年代の文壇と女性作家をめぐる状況の問題点(稲舟作「しろばら」の同時代批評を材料として)。
6.稲舟作「しろばら」を読む。
7.「しろばら」のヒロインの造形と作品の展開との関連。「しろばら」の語り手の特徴。
8.明治二十年代の女性を取り巻く時代状況(樋口一葉「遠山鳥」、巌本善治「婚姻論」を材料として)。
9.樋口一葉作「十三夜」を読む。
10.「しろばら」と「十三夜」との比較。
11.稲舟作品の同時代批評検討。
12.稲舟と一葉の同時代評価の比較と、当時の批評の問題点。
13.稲舟作「医学修業」を読む。
14.同時代の文壇に対する稲舟の姿勢。稲舟と山田美妙。
15.授業の総括(授業内容を踏まえて、文学史の中での稲舟の位置づけと、近代文学研究の諸問題や今後の展望について考える)。
期末レポート試験
Evaluation Methods and Policy 授業での発表50点、授業参加状況(発表後の質疑応答への積極的参加)20点、発表内容を練り直した期末レポート30点により評価する。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review)  稲舟や一葉の作品を、できるだけ多く読むこと。
 授業で配布されるレジュメや資料、扱う作品などについては、一言一句に拘って隅々まで丁寧に読むなど、予習して臨むこと。
 発表用レジュメやレポート等は、時間に余裕を持って準備し、締切を守って提出すること。
Textbooks Textbooks/References 田澤稲舟の作品を初出誌からコピーして利用する。詳しくは初回授業で説明する。
References, etc. 田澤稲舟全集, 田澤稲舟, (東北出版企画、1988年)
田澤稲舟研究資料, 細矢昌武編著, (無明舎出版、2001年), ISBN:9784895442671
新日本古典文学大系明治編 女性作家集, 田澤稲舟他, (岩波書店、2002年), ISBN:9784002402239
新日本古典文学大系明治編 樋口一葉集, 樋口一葉, (岩波書店、2001年), ISBN:9784002402246
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