制度・生活文化史2

Numbering Code G-HUM34 5A033 LJ36
G-HUM34 5A036 LJ36
Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year Master's students Target Student
Language Japanese Day/Period Fri.4
Instructor name Rie Suga (Graduate School of Human and Environmental Studies Professor)
Outline and Purpose of the Course 「ケア」の領域と近代文学

人の身体や命の維持に必要なケアの営みは、それなしでは命も社会も続きえないにもかかわらず、自立や生産性の指標にそぐわないために、近代市民社会において軽んじられてきた。本講義は、フェミニズムの中から浮上し、近年活発化している「ケアの倫理」の議論を念頭に置きながら、19世紀から20世紀初頭の文学作品(おもにドイツ語圏のもの)に注目し、近代市民社会の展開の中で私的領域におけるケアの営みがどのように位置付けられ、またどのように問題化されてきたのかを論じる。


Course Goals ・近代化にともなう私的領域の位置付けの変化と、そこで生じた問題について考察を深める。またその問題が文芸文化とどのように呼応し、文学的テクストの中でどのように深められていったのかを理解する。
・公共圏についての基本的な理論を理解する。
・19世紀ドイツ語圏の様々な文学作品に親しむ。
Schedule and Contents 参加者には、ほぼ毎回なんからのテクストを読んできてもらうことになる。共通の課題テクストを読んだ上でグループ・ディスカッションを行う「読書会」を複数回設ける予定である。

1、2 
公共圏の理論における私的領域 
・ハンナ・アーレント『人間の条件』
・市民的公共圏の成立と、私的領域の二つの顔
3、4  
19世紀の基本構図
・「敵対する男女」と、「悪夢としての母性」
 ヘッベル『ユーディット』
5、6、7、8
女性の自立とケアの領域 
・19世紀文学における「若妻の浮気」のモチーフ
 シュトルムの短編作品
 フォンターネ『エフィ・ブリースト』
・女性の自立の物語
 イプセン『人形の家』  
・19世紀におけるフェミニズムと母性
9  
社会問題としてのケアの領域 
・19世紀の「子殺し」について
・ハウプトマン『踏切番ティール』
10、11
「敵対する男女」から「子どもたちの悲劇」へ
・ヴェーデキント 『春のめざめ』
12、13、14 
ケアの視点と資本主義批判
・ブレヒト 『セチュアンの善人』
Evaluation Methods and Policy 成績評価は、平常点(授業中の議論参加)(50%)、および学期末のレポート(50%)による。この二点ともに合格基準に達していることが、全体としての合格の前提条件である。
レポートについては、到達目標の達成度に基づき評価する。
独自性が高いものについては、高い点を与える。
【評価方針】
到達目標について、人間・環境学研究科の成績評価の方針に従って評価する。
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review) 授業で取り扱う作品は、なるべく自分で読んでくること。特に「読書会」として課題作品が決められている回には、作品を必ず読んでから参加すること。
Textbooks Textbooks/References 適宜プリントを配布する。
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