文化財保存・展示技術論

Numbering Code G-HUM35 5J029 LJ38 Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year Master's students Target Student
Language Japanese Day/Period Tue.3
Instructor name ASANUMA TAKESHI (Graduate School of Human and Environmental Studies Professor)
Outline and Purpose of the Course  本講義では、日本の仏像を中心とする、東洋の宗教彫刻についてあつかうことを通じ、文化財の保存および展示について考える。仏像はいうまでもなく信仰の対象であるが、信仰の対象であるからこそ、発願者、造像者は、より美しい像を製作することをのぞんだ。その意味で仏像は美の対象でもあるといえよう。本講義では、仏像を精査することで、仏像を通じて日本人の美意識がどのように継承され、あるいはどのように変容してきたかについて学び、あわせてそれにふさわしい保存、展示方法を身につけることを目的とする
Course Goals  仏像の素材・製作技法・構造・年代代的特徴・様式の変化といった基本情報に関して、京都国立博物館の収蔵品を実際に調査・観察することで身につけることを第一の目標とする。そのうえで、それらの知識をもとに仏像の保存・展示方法について理解を深めることを最終的な目標とする
Schedule and Contents  仏像はさまざまな素材・技法から製作されている。このような素材・技法の選択は、単に技術的な問題にとどまらず、宗教的な意味合いまで含むものである。また、木彫像の場合、その構造が時代の特徴や仏師系統の違いを表していることも多い。本講義では、仏像精査の第一歩として素材・製作技法・構造を学び、つづいて年代的特徴、様式の変化と、そこに見られる美意識の変容と継承、さらには仏像の保存・展示方法の問題にもおよぶこととする。具体的には以下のテーマについて講義を行なう予定である。

1講目 オリエンテーション
2講目 素材について① 中国の石仏・金銅仏・塑像・木彫仏
3講目 素材について② 日本の金銅仏
4講目 素材について③ 日本の木彫仏
5講目 素材について④ 木彫仏の樹種
6講目 技法・構造について① 金銅仏 鋳造・鍛造
7講目 技法・構造について② 木彫仏 一木造・割矧造・寄木造
8講目 技法・構造について③ 表面仕上げおよび彩色
9講目 年代および様式について① 平安時代前期・後期
10講目 年代および様式について② 鎌倉・南北朝時代
11講目 年代および様式について③ 室町から江戸時代
12講目 年代および様式について④ 仏師系統による作風の違い
13講目 仏像の保存と展示① 仏像にふさわしい保存環境
14講目 仏像の保存と展示② 仏像にふさわしい展示方法
15講目 総括
Evaluation Methods and Policy 未定。ただし出席と受講姿勢を評価する。
Course Requirements 学期はじめに履修希望の旨を教員に直接連絡することがのぞましい。
Study outside of Class (preparation and review)  『仏像彫刻の基礎知識』(至文堂)、『仏像図典』(吉川弘文館)や、仏像に関する入門書などを通じて、仏教美術および仏像彫刻に関する基本的な用語を知っておくこと。実際に京都・奈良の古寺を探訪して、著名な仏像に絶えず触れておくこと。
Textbooks Textbooks/References とくに指定しない。
References, etc.  とくに指定はしないが『仏像彫刻の基礎知識』(至文堂)、『仏像図典』(吉川弘文館)などの諸書を通じて、仏像彫刻に関する基本的な用語を知っておくことが望ましい。
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