中世・近世芸術比較論1
Numbering Code | Year/Term | 2022 ・ First semester | ||
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Number of Credits | 2 | Course Type | Lecture | |
Target Year | Master's students | Target Student | ||
Language | Japanese | Day/Period | Tue.4 | |
Instructor name | YAMAKAWA AKI (Graduate School of Human and Environmental Studies Visiting Professor) | |||
Outline and Purpose of the Course |
中世・近世芸術比較論では、東アジアの中の日本という視点のもとに染織品について扱い、1.では主に室町時代以前を、2.では桃山時代以降を中心に講義する。 保存が難しく宝物視されにくい染織品が現代にまで伝えられる背景には、強固な理由にもとづく先人たちの意志があったはずである。本講義では、染織品が保存されてきた場に注目し、なぜその染織品がそこに伝えられたのかを確認するとともに、それゆえに明らかとなる伝来情報が、作品の製作年代を類推するうえで重要な指標となることを紹介する。そして、指標となる作品の文様や製作技法から作品の有する情報を読み取り、伝来情報の失われた作品へ応用するという、染織史の基本的な技術について学ぶことを目的とする。 |
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Course Goals |
染織品という はかないもの に先人が寄せてきた心情を知ることにより、日本人の心や美意識の一端を理解する。 歴史学で中心となる文字情報に、美術作品から得られる情報を加え、さらに東アジアの中の日本という問題意識を持つことにより、歴史を多角的に把握する視点を習得する。 工芸品を読み解くための要点である、技法分析、様式分析、図像分析などの基礎的な方法論の概要を理解し、自らの眼で作品を分析するための基礎能力を身につける。 |
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Schedule and Contents |
1.ガイダンス 染織品を伝える場 <京都大学にて開講予定> 2.法隆寺裂と東アジア染織<以下、京都国立博物館にて開講予定> 3.天寿国繍帳が語る世界 4.正倉院とその宝物 5.正倉院裂と東アジア染織 6.織物を知る① 素材と単純組織 7.織物を知る② 紋織と複雑組織 8.埴輪と絵画が語る日本服飾史 9.染物を知る 延喜式にみる宮廷染織 10.平安時代の染織品と東アジア染織 11.古神宝と宮廷の服飾 12.伝法衣が語る世界 袈裟と相伝 13.伝法衣と東アジア染織 14.法会と芸能装束 15.まとめ |
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Evaluation Methods and Policy |
【評価方法】 レポート試験の成績(80%)、授業中の発言など積極的な受講姿勢(20%)。 【評価方針】 作品から正しく多くの情報を読み取る眼を養えているかを評価する。 |
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Course Requirements |
京都大学で開講するのは初回のみのため、履修希望者は必ず受講し、以後の京都国立博物館での講義への参加方法などを確認すること。 二回目以降の開講時間に京都国立博物館へ来館できること。 |
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Study outside of Class (preparation and review) | 京都や奈良という歴史都市が身近な環境ですので、作品が伝えられた場である社寺を訪ねるとともに、月に一度は博物館や関連施設に足を運び、自分の眼でさまざまな分野の作品に触れてください。予習・復習を兼ねて、京都の各所に所在する工芸体験施設でものづくりを体験することを推奨します。 | |||
Textbooks | Textbooks/References | 必要に応じて講義中にプリント等を配布する。これまでに日本史を履修していない場合は、高校教科書程度の内容の概説書を読了するのが望ましい。 | ||
References, etc. |
染と織の歴史 日本編, 河上繁樹・藤井健三, (昭和堂), 日本染織史の概要を把握するために一読を薦めます 染と織の鑑賞基礎知識, 小笠原小枝, (至文堂), 染織の技法について概要が把握できます 中近世染織品の基礎的研究, 山川曉, (中央公論美術出版), 染織史において指標となる作品を定める要件について確認できます |