Case Study: Analysis of Personnel Policy
Numbering Code | P-GOV24 66280 SJ45 | Year/Term | 2022 ・ Second semester | |
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Number of Credits | 2 | Course Type | Seminar | |
Target Year | 1st & 2nd year students | Target Student | ||
Language | Japanese | Day/Period | Wed.4 | |
Instructor name | SHIMADA-LOGIE HIROKO (School of Government Professor) | |||
Outline and Purpose of the Course |
行政は相手を理屈で論破して勝ち負けを競う場ではなく、様々な利害や価値観を持つ人々を包摂して辛抱強く合意点を探っていく場である。どんな人からのどのような難題も受けて立つオールラウンダーの覚悟が要求される代わりに、法令という後世に残る「ものづくり」を通じた社会貢献を実感できる仕事でもある。また、調整の過程では担当者の力量によって潮目が変わる場面も多く、スポーツと同様、プレイの醍醐味を感じるにはルールや技術への習熟が不可欠である。 本演習では官民の働き方改革を取り上げ、調整担当者と多様な利害関係者の双方の立場を模擬体験(ロールプレイ)する。 前半では、民間企業に関するこれまでの改革の効果をデータ分析するとともに、残された課題に対する具体的政策立案を行い、利害関係者の了解を得る。後半は、労働法制が直接適用されない国の現場について、同様に政策立案と関係者了解獲得を行う。 政策提言が巷に溢れる中、最適解にみえる施策がなぜ実現しないのか、「全体」への奉仕とは何かに気づく契機となることを期待する。 |
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Course Goals |
(1) 実例を用いた政策立案過程の分析及び応用シミュレーションを通じ、エヴィデンス収集や将来予測、法令起案等に向けた基礎能力を涵養する。 (2) 特定のステークホルダーになりきる体験を通じ、長い経緯や仲間を背負ったそれぞれの立ち位置を理解するとともに、多様な関係者から合意を得るための政策調整の意義を理解し、「全体の奉仕者」としての実践的能力を身につける。 (3) キャッチフレーズやプレゼンテーションにまどわされず、政策の本質と帰結を大局から見極める目を養う。 |
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Schedule and Contents |
(授業計画と内容) 1~2 序論:演習に向けた説明 ・政策立案の枠組み(課題把握から政策立案、制度成立までの流れ) ・様々な折衝の特徴(利害関係者、審議会、官邸、与党、予算・定員当局、内閣法制局、各省協議、野党、国会審議、メディア説明等)、公務固有の制約とツール ・キャッチフレーズの虚実、計量的エヴィデンスの意義と限界 ・働き方改革等をめぐる全体像と官民労働法制の基本構造の異同 3~7 課題Ⅰ 企業の「働き方改革」関連政策の改善案を新たに作成し、厚労省の立場で多様な利害関係者に説明・了解を得る 労働時間の上限規制・高プロ・インターバル、育児・介護支援、同一労働同一賃金、高齢対策、副業解禁、一括採用見直し、解雇規制緩和 等 8~12 課題Ⅱ 国家公務員に対する「働き方改革」改善案を新たに作成し、人事院・内閣人事局の立場で多様な利害関係者に説明・了解を得る 勤務時間上限規制、育児・介護支援、官民比較方法、非常勤職員、定年引上げ 等 13・14 各回討議を踏まえた修正案提示と再討議 総括討議:なぜ政策はねらい通りに実現しないのか 15 フィードバック(方法は授業中に説明する。) 上記は、政策立案に携わる面白さが実感できるよう、受講生の関心や理解度、社会状況の変化を見ながら、弾力的に調整する。関連政策に携わった幹部行政官をゲストスピーカーとして呼ぶことも検討。 |
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Evaluation Methods and Policy | 担当分の発表内容(40)と、他の者の発表に対する討議への貢献度(60)とで総合評価する。ディベートではなく、ロールプレイとしての理解の深まりをみる。 | |||
Course Requirements | 人数上限あり。 | |||
Study outside of Class (preparation and review) | 担当分の発表のほか、特定ステークホルダーを代表する立場になりきって、毎回、他の者の発表に対する討議を求める。課題の予習は必須。加えて、常に新聞や政府白書等に目を通して最新の動きを把握しておいてほしい。 | |||
Textbooks | Textbooks/References | 必要な資料・文献等を適宜提示する。 | ||
References, etc. |
よくわかる働き方改革, 日野勝吾・結城康博, (ぎょうせい、2018) 検証 アベノミクス「新三本の矢」, 福田慎一編, (東京大学出版会、2018年) 職業としての官僚, 嶋田博子, (岩波新書、2022年6月予定) ※公務関係の動きは、講師作成の資料を配布するので、それを参照すること。 なお、発表及び討議においては、解説書の引用に先立ち、統計データ、関係府省HP(「働き方改革の実現に向けて」や公務員白書、人事院勧告等)、各ステークホルダーの発言記録、国会議事録などの一次資料の使用が必須。 |