City and Regional Planning

Numbering Code P-GOV02 64440 LJ45 Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year 1st & 2nd year students Target Student
Language Japanese Day/Period Sat.3・4
Instructor name KUTSUZAWA RYUJI (Part-time Lecturer)
Outline and Purpose of the Course  本授業は、まちづくりや地域づくりに関する政策について、問題点、課題を鮮明にしつつ、その計画のあり方を計画制度や法制度を体系的かつ具体的に学習するものです。まち・地域づくりは、少子・高齢化社会を迎え、健康・医療・福祉や防災の観点などから、より高質で、かつ、きめ細さや安心安全などの多様な施策が求められてきています。これらの施策を総合的に進めるため、都市や地域に係る計画が重要になり、行政が土地利用規制や事業の実施と民間の参画と受容という仕組みを通じて実効性を持ち、その目的を達することができます。こうした計画制度、事業制度及びこれを支える法制度は、時代の要請に基づき、変化していきます。
 本授業は、このような状況を踏まえて、人々の生活や産業の活動が行われているまちや地域に関する計画体系やこれを実現する法制度を明らかにし、理解するとともに、これらの今後のあり方や方向性を考察することを目的としています。
 授業の概要としては、まち・地域づくりの動向、内容を過去のものと比較して明らかにすること、現在の都市や地域に係る政策を実現するための都市と地域の計画制度及びこれを実現する法の体系やシステムの概要を総論として提示します。次に、各論として、個別のまちづくりや地域づくりに関する課題に対応した計画制度、法制度等を理解し、これからのまち・地域づくりの方策を学び、考えていただくこととしています。
 こうした授業を通じて、まち・地域づくりの全体の体系的な問題点や方法論の理解を深めるものです。
Course Goals  公共政策の大きな柱をなす、まちづくり、地域づくりの基本的なあり方並びにこのため利用される計画制度やこれを実現する法制度を理解すること、これにより、的確かつ実効性のあるまちづくり、地域づくりを進める基礎的なツールを習得することができるようになることを目指します。なお、都市・地域計画にかかる行政に携わっておられる経験をお持ちの方は、すでにご存じの内容も多いと思いますが、この機会を通じて、政策の背景や流れ、施策などを体系的かつ総合的に新たな観点から理解を深めることが必要と思われます。
Schedule and Contents  まちづくり、地域づくりの基本となる都市・地域計画について、計画体系・法体系を中心に考察するとともに、最近の重要課題とこれに対する対応に関して具体的な内容を順次提示します。このため、以下の各回のテーマについて、それぞれその箇所に記述する内容により、講義を進める予定です(なお、授業のテーマは、状況に応じて、予告なく変更、入れ替え、調整等を行う場合があります)。
第1回 まち・地域づくりの現状、問題点及び課題
 まちづくり・地域づくりを理解する前提として、これまで内外で行われてきたまち・地域づくりの内容及び課題などを学習します。
第2回 これからのまち・地域づくりの動向、あり方及び方向性
 過去のまちづくり地域づくりを踏まえたうえで、新たなまちづくり・地域づくりの動向、内容及び方向性を具体的に学習します。
第3回 都市計画の法体系(その1)概要、策定手続き、土地利用計画
 まちづくりにかかる都市計画制度の体系、都市計画策定の手続き、提案制度を学習し、理解します。また、都市計画の中の主要な柱である土地利用計画の制度について学習します。
第4回 都市計画の法体系(その2)開発許可、地区計画
 都市計画を実現するための手法である開発許可制度、地区計画制度を提示します。
第5回 都市計画の法体系(その3)事業計画と事業制度
 都市計画の内容を実現するために、道路、公園、下水道等の事業実施のための事業計画がある。これらの施設の整備や管理を行うための法律や都市再開発法、土地区画整理法、密集市街地法等の都市の基盤整備や土地の有効利用を実現する事業手法に関する法律を学習します。さらに、これらの事業の用地取得のツールとしての土地収用法について学習します。
第6回 建築基準法(その1)総論と建築確認制度
 都市環境の維持形成を図るため、都市の基本要素である建築物を規制する建築基準法の法体系、建築物を建てる際に必要になる建築確認制度について学習します。
第7回 建築基準法(その2)集団規定
 都市環境の維持形成を図るため、複数の建築物の位置や形状等を規制する建築基準法の集団規定について学習します。
第8回 都市再生・コンパクトシティ形成
 人口減少、高齢化の中で都市の空洞化、スポンジ化を防ぎ、経済活力を確保、増進させるため、民間の資金やノウハウを活用した都市再生や中心部に人口や諸機能を集約させるコンパクトシティを形成するまちづくりの取り組みが見られるところです。ここでは、こうした取り組みを進めるための都市再生特別措置法や同法による立地適正化計画制度などについて学習します。
第9回 景観形成と歴史的な風致を保全するまちづくり
 都市の美しいまちなみ、景観や歴史的な風致の確保のために土地利用を制約する景観法・屋外広告物法による制度を学習します。
第10回 都市の緑地・農地を保全・活用するまちづくり
 都市の中のアメニティや防災機能を担う公園、農地や緑地を保全し、活用するための公園法、都市緑地保全法、都市農地法による制度を学習します。
第11回 災害に対して安全なまちづくり、地域づくり
 東日本大震災などの大規模地震をはじめとする災害に対する安全なまちづくり、地域づくりと災害後の復興に向けた制度を学習します。
第12回 環境負荷、エネルギー使用の抑制、福祉・バリアフリーに配慮したまちづくり、老朽化・空き家に対応したまちの維持更新
 エネルギー使用が抑制され、環境負荷が抑制されたスマートシティなどのまちづくりや建築物整備、バリアフリーや医療と一体化した高齢者住宅・団地の整備、老朽化や空き家に対応したまちの維持更新に関わる制度について学習します。
第13回 国土計画
 国土の基本的な地域整備と形成、都市以外の農業、森林などの土地利用のあり方を示す国土形成計画などの制度について、概要を理解します。
第14回 地方計画、地域振興立法と特区制度
 地方計画のほか、国土の均衡ある発展を図るために推進されてきた地域再生法などの地域振興立法や特区制度を学習し、地域振興施策の現状と課題を理解します。
第15回 フィードバック(詳細は授業中に連絡します。)
Evaluation Methods and Policy  期末のレポート提出及び平常点により評価します。平常点は講義の各回ごとに配布する質問用紙で当方からの課題に対する回答の有無により判断します。
Course Requirements  公共政策の中で、重要なまちづくり、地域づくりに関するさまざまな行政計画、行政活動、社会活動等について、問題意識と興味を持っていることが必要です。また、場当たり的な各論のみのまちづくり、地域づくりではなく、基本的なコンセプトを踏まえて、体系的に考える姿勢が必要です。
Study outside of Class (preparation and review)  事前に授業に使用するパワーポイントの資料をPandAを通じて事前にPDFで配布しますので、各回のテーマについて体系とその個別の内容の把握と問題意識を醸成することができます。また、復習については、その資料を元に、まちづくり及び地域づくりがどのような体系や位置付けのもとに行われているのか等についての問題点とこれに対する対処のツールを習得して頂きます。
Textbooks Textbooks/References  授業時に配布するパワーポイントその他の資料を使用します。
References, etc. 都市法概説, 安本典夫, (法律文化社), 行政法の観点から体系的に整理されています。
都市計画, 谷口 守, (森北出版), 都市工学の観点から具体的な事例も提示しています。
都市法入門講義, 生田長人, (信山社), 詳細に論点を掘り下げています。
都市法精義Ⅰ・Ⅱ, 碓井光明, (信山社), 行政法学の観点からの詳細な体系書。
 その他、判例等を含めた解説としては、亘理格他「個別行政法」(有斐閣)が各論としての都市法体系を取り上げています。法体系については、坂和章平「まちづくりの法律がわかる本」(学芸出版社)、都市地域計画の今後のあり方については、学芸出版社、大西隆編「人口減少時代の都市計画」(学芸出版社)、まちづくり、地域づくりの最新の動向は、「国土交通白書」が参考になります。
 各論の具体のテーマとして取り上げるコンパクトシティについては、沓澤隆司「コンパクトシティと都市居住の経済分析」(日本評論社)が、都市の置かれた課題とその解決策としてのコンパクトシティへの取り組みについて述べています。
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