Rural Community Planning

Numbering Code G-AGR05 7EA45 LB83 Year/Term 2022 ・ First semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year Target Student
Language Japanese and English Day/Period Wed.2
Instructor name HOSHINO SATOSHI (Graduate School of Global Environmental Studies Professor)
Outline and Purpose of the Course 計画論は,端的に言うと,計画づくりの方法論であるが,これは社会的技術に属するものである。よって,コンテクストによって最適な計画技術のあり方は異なってくる。本講義は,農村地域における比較的小さい地域単位,具体的には集落から旧村程度のコミュニテイ・レベルの小地域を対象とする。農村地域は,生産と生活の両面で,地域組織の社会的機能に多くを依存してきた。計画づくりの方法論について詳述すると共に,それをとりまくコンテクスト,すなわち自然的・社会的・制度的諸条件と計画づくり・地域づくりの相互作用について明らかにする。
Course Goals コミュニティ・レベルの計画論の枠組みと計画づくりに関連した技術体系について理解する。また,地域課題の性格やコミュニテイの社会的特性に応じて計画づくりのアプローチが異なることを理解する。これらの理解を通じて,農村コミュニティ計画の実践的な策定能力を養う。
Schedule and Contents 主として計画づくりの方法論にかかわる計画論(第Ⅰ部)と対象となるコミュニティや住民の活性化にかかわる開発論(第Ⅱ部)に分けられる。

【第Ⅰ部 計画論】
1.農村コミュニティ計画論総論(2回):農村コミュニティ計画論の枠組み,すなわち定義,役割,計画主体,計画手段体系,コミュニティ計画の制度などを概説する。以降の講義では,これらの枠組みの中から一部をハイライトした課題について詳しく講義する。

2.農村レジリエンスの再建とコミュニティ計画の展開方向(1回):日本の農村地域の人口,土地利用,農業の推移を踏まえて,農村コミュニティの変化を推察する。レジリエンスの視点から将来の農村コミュニティの姿を予測し,新たなコミュニティ計画論を提案する。

3.参加型計画手法とそのシステム化(2回):農村計画学分野では,1970年代から住民参加を前提とする計画手法が取り入れられるとともに,農村計画独自の参加型計画手法も提案されてきた。参加型計画手法の定義,代表的な手法に加えて,品質管理分野で使われているTQC手法の概要について紹介すると共に,問題解決学の視点から,それらを組み合わせたシステム化について詳述する。

4.コミュニティ計画に関するメタ理論(2回):地域自治組織は住民主体型地区計画の計画主体として期待されるが,既存の地域自治組織の空洞化が進み,多様化しつつある。そこで,地域主体の類型ごとに計画論がどのように異なるか,つまりコミュニティ計画に関するメタ理論の私論を展開する。

【第Ⅱ部 開発論】
5.コミュニティ計画の制度的展開(1回):国の農村コミュニティ計画制度と地方自治体の取り組み(任意施策や条例策定)について紹介する。特に先進的な農村コミュニティ計画制度として位置づけられる神戸市の里づくり計画について詳述する。

6.計画づくりへの意欲とワガコト化プロジェクト(2回):神戸市の里づくりの事例を用いて,住民の計画づくりに対する意欲(関心)が計画評価を大きく左右することを明らかにする。計画づくりへの意欲(関心)を高めるためには,個々の住民がそれぞれの地域課題をワガコト化する必要がある。ここでワガコト化とは,地域の課題を自分自身の課題ととらえ,その解決にあたっては自らも貢献する強い意志をもつようにする意識改革である。近年,先進地域で取り組みがみられるワガコト化プロジェクトについて紹介する。

7.ソーシャル・キャピタルと地域づくり(2回):ソーシャル・キャピタル(SC)はコミュニティの特性を示す概念であるが,それは地域づくりのパフォーマンスを大きく左右する。両者の関連性について,いくつかの事例を踏まえて明らかにする。

8.地域資源の保全とナレッジ・マネジメントの必要性(2回):農村地域の地域ナレッジは,農村住民の日常の生産と生活の中で育まれ,蓄積されてきた知識であるとともに,地域資源を持続的に利用するためにも必要不可欠な知恵である。過疎化・高齢化,技術革新,生活パターンの変化の中で,今日,ナレッジの継承が困難になりつつある。いくつかの異なる事例を踏まえて,農村における地域ナレッジの価値と継承の意義を明らかにする。

9.振り返り(1回)
Evaluation Methods and Policy レポート(50点満点)および平常点(50点満点)により評価する。
評価基準及び達成度については、当該年度農学研究科学修要覧記載の[評価基準及び達成度]による
Course Requirements 学部地域環境工学科の専門科目である「農村計画学」および「農地整備学」を受講していることが望ましい。
Study outside of Class (preparation and review) 授業の折に,それぞれの講義の関連した参考文献を紹介するので,深く学びたいと思う方は,それらを読み進んでほしい。
PAGE TOP