Special Lecture on Fundamental and Frontier Biology

Numbering Code Year/Term 2022 ・ Intensive, First semester
Number of Credits 2 Course Type Lecture
Target Year 2nd year students Target Student
Language Japanese Day/Period Intensive
Instructor name YOSHIMURA JIN (Part-time Lecturer)
Outline and Purpose of the Course 本講義では、生態学・進化生物学の「生物から見た理論」を様々な生物の例を通して学ぶ。例えば、平均適応度(成功した子供の数の平均値)の最大化を考えた自然選択理論は、従来の生物学(生態・進化)では確立された理論と思われていた。ところが、生物自身から見ると、自分の子孫が繁栄するには毎世代絶滅しない戦略が重要になり、幾何平均適応度、つまり、世代にまたがる成長率の幾何平均の最大化が生物自身の子孫の絶滅を避けうる最適化戦略となる。また、生態学では競争原理が伝統的にもっとも重要な概念として扱われているが、この原理は基本的に生物種の間では競争により共存ができず最も競争に強い種のみが存続するので、現在の生物群集における種多様性はほとんど説明できない。実際の生物群集(植物プランクトン群集、植物群落、動物・昆虫群集、ホストーパラサイト系、捕食者-被食者系など)で高い種多様性が維持されるメカニズムを各生物群集の相互作用を元に明らかにしていく。このように、理論的・普遍的な生態学の相互作用や進化のダイナミクスを明らかにして、分野を問わず論理的な思考を紹介する。
Course Goals 生態学・進化生物学の理論を、対象生物自身の視点から理解することにより、既存理論にとらわれない自分の理論を構築できる思考を目標とする。
Schedule and Contents 以下の項目について、3日間の集中講義を行うことを計画している。
1.自然選択のプロセスを生物自身の視点から考えて、生物が直面する環境の不確定性が自然選択に及ぼす影響の原理を明らかにする(確率論的自然選択理論)。その発展として、絶滅回避の進化理論を構築する。
2.様々な生物群集における共存・多様性の創出・維持メカニズムを各生物種からみた種間相互作用から明らかにしていく。
3.前出の生物から見た視点の生物科学および人間科学(経済学・経営科学・社会学)における様々な応用例を紹介して、その生態学的・進化理論的な論理を深める。
Evaluation Methods and Policy 講義中または終了時に小テストあるいはレポートの提出を課す。
評価基準及び方針については、当該年度農学部学生便覧記載の「評価基準及び方針」による
Course Requirements None
Study outside of Class (preparation and review) 従来の予習・復習は必要なし。授業中に何をどのように考えるか、教科書をいかにして無視(虫:忘れる)できるかを実体験をもとに話します。その一例として、まず以下の問題を自分で考えてみてください(正答はありません!?)。問題:プテラノドン(またはコウモリ、水棲昆虫)はどのようにして空を飛べるように進化できたか?(ヒント:この疑問は、不完全で飛べない羽の問題。)
References, etc. 強い者は生き残れない, 吉村仁, (新潮選書)
素数ゼミの謎, 吉村仁, (文藝春秋)
なぜ男は女より多く産まれるのか-絶滅回避の進化論, 吉村仁
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