国際取引法理論演習[Seminar on International Business Law and Theory]

Numbering Code P-LAW2087260SJ41 Year/Term 2022 ・ 前期
Number of Credits Course Type 毎回,国際家族法に関する重要な裁判例や論文を読んで予習してもらい,質疑応答しながら進める。出席者による報告は予定していない。本授業では,国際私法2とは異なって,より少人数で,個別の問題について深く掘り下げる予定である。
Target Year 3 Target Student
Language Day/Period 水4
Instructor name 西谷 祐子
Outline and Purpose of the Course 本授業は,「国際取引法演習」と称するが,今年度については国際家族法を中心に検討する予定である。具体的には,離婚や親子関係の裁判管轄及び外国判決の承認などの人事訴訟事件及び家事事件における国際民事訴訟法上の問題について,重要な裁判例や論文等を取り上げて一緒に検討することを予定している。
Course Goals 国際家族法に関する重要な論点について正確に理解し,多角的かつ批判的に分析し,検討できるようになる。また,特定の課題(テーマ)について深く考察し,自ら分析・検討したうえで,論稿としてまとめる能力を身に付ける。
Schedule and Contents 本授業においては,受講者とともに国際家族法及び国際民事訴訟法に関する重要な裁判例及び基本文献を講読し,意見交換することを通じて,基礎的知識を身に付けるとともに,主体的に考え,論理的に議論する能力を身に付けることをめざしている。具体的な内容は,受講者の興味と関心に応じて決定するが,現在のところ,以下のような授業内容を予定している。
第1回 国際離婚(1)
日本の離婚法制の特徴について,比較法的視点も踏まえながら論ずる。
第2回 国際離婚(2)
離婚準拠法の決定と適用について,日本の離婚手続の特徴も踏まえながら論ずる。
第3回 国際離婚(3)
人事訴訟法に基づく離婚事件の国際裁判管轄ルールについて,従前の判例を踏まえて検討する。
第4回 国際離婚(4)
人事訴訟法に基づく離婚事件の国際裁判管轄ルールについて,親権者・監護者指定との併合など,解釈論上の問題点について多角的に論ずる。
第5回 国際的な扶養義務(1)
扶養義務の準拠法決定・適用及び国際裁判管轄について,2007年ハーグ条約も踏まえながら論ずる。
第6回 国際的な扶養義務(2)
国際的な扶養料の回収と外国扶養裁判の承認執行をめぐる現行法上の問題点について,裁判例を踏まえながら検討する。
第7回 国際的な扶養義務(3)
2007年ハーグ扶養料回収条約及び扶養義務議定書の内容と仕組みについて,従前のハーグ諸条約及び1956年国連ニューヨーク扶養義務条約との異同も踏まえながら検討する。
第8回 国際的な親権・監護権の規律
国際的な親権・監護権及び面会交流をめぐる多様な問題について,裁判例を踏まえながら検討する。
第9回 国際的な子の奪い合い(1)
国際的な子の奪取に関するハーグ条約(以下,「ハーグ条約」という)の基本的仕組みについて論ずる。
第10回 国際的な子の奪い合い(2)
日本におけるハーグ条約の運用をめぐる問題点について,特に返還決定裁判の変更に関する最高裁の裁判例を取り上げて論ずる。
第11回 国際的な子の奪い合い(3)
日本におけるハーグ条約の運用をめぐる問題点について,特に強制執行のあり方と人身保護請求との関係を中心に,最高裁判例も踏まえながら検討する。
第12回 国際的な子の奪い合い(4)
日本におけるハーグ条約の運用を改善する方策として,監護権の本案に関する国際裁判管轄との調整と,1996年ハーグ子の保護条約を批准する可能性について論ずる。
第13回 国際的な代理懐胎
日本における向井亜紀事件を素材としながら,国境を越えた代理懐胎に基づく親子関係をめぐる諸問題について,現在ハーグ国際私法会議で進行中の条約プロジェクト案の動向も踏まえながら論ずる。
第14回 国際的な養子縁組
日本における「ベビーライフ」事件などを素材としながら,国際養子縁組の濫用をめぐる問題と,1993年ハーグ養子縁組条約による規制の可能性について論ずる。
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