環境法事例演習[Seminar on Environmental Law]

Numbering Code P-LAW2066300SJ41 Year/Term 2022 ・ 後期
Number of Credits Course Type 演習形式。
具体的な事例や裁判例を素材として、全体でのグループディスカッションを重視する。
なお、人数制限を行う(15名)。
Target Year 2・3 Target Student
Language Day/Period 水5
Instructor name 井奥 圭介
Outline and Purpose of the Course わが国では、大気汚染、水質汚染などの各種の公害訴訟や、干拓工事やダム建設などの各種公共事業にかかる環境訴訟、さらには景観保全やまちづくりに関わる事例など、様々な公害環境訴訟が取り組まれ、豊富な成果や経験が蓄積されてきている。また、こうした訴訟等での実践的な取り組みを通して、環境法をめぐる法理論や主張立証技術なども発展し、公害環境分野の法制度の整備、環境政策にも大きな影響を与えてきた。そして、近時は、経済活動のグローバル化や開発の進展、日常生活の物質的な向上と複雑化等のなかで、地球温暖化問題や原発問題などに見られるように新たに克服すべき問題も発生している。そこで、従来の公害環境訴訟の到達点を理解するとともに、現実に提起されている様々な公害環境問題を取り上げ、こうした問題に法的手段を駆使して実践的にどう取り組むかを共に考え、学び、討論する機会とする。
環境法を選択科目として司法試験を在学中受験する予定の2年次生は、前期に「環境政策と法」を履修した上で、本科目を履修すること。それ以外の学生については、3年次での履修を強く推奨する。
Course Goals 実社会で生起する生の公害・環境問題に、法律実務家として対処するために必要な基礎的知識、法的思考方法、立証方法、気構え等を修得することを目標とする。
Schedule and Contents 1 導入
公害被害、環境破壊等の実態や公害根絶等の取り組みをビデオ等で知ると共に、これまでの公害環境訴訟事例と現在提起されている公害環境訴訟を概観する。
2 戦前の公害事件
足尾鉱毒事件、大阪アルカリ事件など、戦前の日本において発生した公害事件の概要と、それに対する被害救済の取り組み、判例理論などを検討する。
3~5 四大公害裁判
戦後日本の高度経済成長のひずみとして発生したイタイイタイ病、四日市大気汚染公害、水俣病などの四大公害裁判が提起した問題、変革を迫った法理論、司法解決の到達点、その後の立法・行政的対応などを検討する。
6 騒音公害裁判の展開
大阪空港など、騒音公害裁判において争われた公共性理論の内容やその問題点などを検討する。
7~8 大気汚染公害裁判の展開
大阪西淀川、尼崎、東京など、一連の大気汚染公害裁判について、個別事例を検討し、各裁判において原告側が構築した問題解決のための法理論、立証活動、裁判所による判例理論の発展の経緯などを検討する。
9 その後の水俣病問題
四大公害裁判の一つであった第一次訴訟において被告企業の責任が認められながら、その後、第二次~第四次訴訟の提起と水俣病被害者救済等特別措置法の制定を見るに至った水俣病被害者救済の歴史を検証し、公害被害に対する司法的救済のあり方を検討する。
10~13 環境訴訟の新たな展開
公共事業による自然破壊や環境アセスメントのあり方が問題となっている諫早湾の干拓差し止め訴訟、地域住民による景観保護の可否が争われた国立景観訴訟や鞆の浦景観訴訟、周辺住民に深刻な生活被害をもたらしている産廃処分場問題、東日本大震災を契機としてクローズアップされている原発訴訟など、現代社会における新たな環境訴訟の提起と、そこにおける法理論の展開の状況を検討する。
14 事例検討
演習の最後に、仮設事例を題材にして、弁護士としての実践的な対応の方法について、各自書面にまとめた上、ディスカッションする。
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