国際民事手続法[International Civil Litigation]

Numbering Code P-LAW2066040LJ41 Year/Term 2022 ・ 後期
Number of Credits Course Type 講義形式と双方向・多方向形式の併用
後者を中心にする。教科書およびレジュメに基づいて基礎知識の部分を講義形式で説明しながら、指定のケースについて双方向形式で検討することで、理解の定着をはかる。
Target Year 2・3 Target Student
Language Day/Period 金1
Instructor name 中西 康
Outline and Purpose of the Course 外国企業と日本企業との取引から紛争が生じる場合、実務上より重要なのは実は、準拠法の問題よりも、どの国で裁判をするのかなどの手続法上の問題である。
このような外国と関わりを持つ国際民事紛争(国家間の紛争ではない)においては、純粋の国内事件とは異なる特殊な手続上の問題が生じる。例えば、国際裁判管轄、国際訴訟競合、外国判決の承認執行などである。この科目では、このような問題を取り扱う国際民事手続法について、具体的な紛争事例を取り上げつつ検討する。
国際私法を深く学ぼうとする学生は国際私法1に引き続き、国際私法2とともにこの科目も履修すること。
また、そうでなくても、将来の法曹としての活動において、財産法関係でも家族法関係でも国際裁判管轄などの国際民事手続法上の問題に直面することは頻繁にあると思われる。したがって、実用的な意味を考えて受講する学生も歓迎する。なお、準拠法を主に扱う国際私法1と異なり、国際民事手続法は手続法上の問題を扱うので、国内の民事手続法と思考方法はあまり変わらず、取っつきやすい。
Course Goals 上記「授業内容」記載の各項目についてその内容を具体的に説明できるように理解して、上記「概要」記載の成果を得ること。
Schedule and Contents 第1編:序論
1.国際民事手続法とは何か
国際民事紛争の例を挙げつつ、国際民事訴訟においては、純粋の国内民事紛争と異なるどのような特殊な問題が生じるかを明らかにすることで、国際民事手続法の意義について説明する。さらに、国際民事手続法の法源について説明する。
第2編:民事裁判権とその制約
2-4.国際裁判管轄―財産関係事件
国際裁判管轄に関する基本概念について説明した後、民訴法3条の2以下の規定を順に検討する。
5.裁判権と国際裁判管轄
(本来は2-4回の前であるが、学習の便宜から後ろに回してここに置く)
わが国の裁判所が訴訟について実体審理をしない場合には、裁判権が存在しない場合と、国際裁判管轄が存在しない場合の2通りがある。両者の区別について確認した後、裁判権について、裁判権免除の意義、根拠及び免除の範囲などについて、対外国民事裁判権法を中心に討する。
6.国際裁判管轄―家族関係事件
家族関係事件に関する国際裁判管轄について、従来の裁判例を、人事・家事事件の国際裁判管轄に関する新設規定に照らして、包括的に検討する。
新法に関する参考文献は授業中に指示する。
第3編:民事裁判権の行使過程―判決手続
7.手続は法廷地法によるの原則・当事者
国際民事訴訟における手続に関する諸問題を扱う前提として、手続は法廷地法によるの原則を検討する。
後半では、渉外的訴訟手続における当事者をめぐる問題として、当事者能力、訴訟能力、当事者適格に分けて検討する。
8.国際司法共助―送達と証拠収集
国際民事訴訟手続において、国境の存在をはっきりと認識させられるのは、他国の領域においてわが国が主権的行為を行うことができない場合である。このような場合には、当該外国とわが国の間で合意に基づいて協力を要請する一定のルートを利用する必要があり、これが国際司法共助である。このような国際司法共助に関して送達と証拠収集について、ハーグ条約を中心に検討する。また、このような司法共助のルートをバイパスする手段の利用可能性と問題点についても検討する。
第4編:外国による民事裁判権の行使の内国における受容
9-11.外国判決の承認執行
外国判決の承認執行の基礎理論について解説した後、民事訴訟法118条各号の要件を検討する。また、執行手続における問題にもふれる。
(第3編の続き)
12.国際訴訟競合及び内外判決の抵触
外国とわが国で同一事件について並行して訴訟が起こされている状態が国際訴訟競合と呼ばれ、これを検討する。これに関連して、英米法と大陸法の国際裁判管轄に関する理解の相違と、比較法的に見たわが国の立場の位置付けについても考える。また関連する、内外判決の抵触の処理についても検討する。
第5編:その他
13.国際仲裁
国際取引においては、国家裁判所ではなく仲裁人による判断に紛争解決を委ねる仲裁条項を入れることの方が一般的である。このような国際仲裁について、仲裁契約、仲裁判断の準拠法、仲裁判断の承認執行などの諸問題について検討する。
14.国際民事保全・国際倒産
前半は、国境を越える民事保全措置に関して、国際裁判管轄などの問題を扱う。
後半は、国際倒産に関して、内国倒産手続における問題と、外国倒産手続に対するわが国の承認援助手続とに分けて検討する。
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